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【さかばなし45】隠し味はアレです

「さかばなし」は、酒場(さかば)であった、ちょっとしたエピソード(はなし)について綴っています。「さかば」の「はなし」で、「さかばなし」です。


ひどく暑い日だったので、一杯目はハイボールのメガジョッキにした。持ち上げるのにも、少し力を込めないといけないほどの重さだ。

で、この酒場のマスターが本当に酒好きなので、この人が作るハイボールががんがんに濃くて旨いのだ。氷が少し溶けたところで、薄まる感じがしない、ストロングスタイルのハイボールで、かなり嬉しい。

「はい、お通しーーーー」
「ありがとうございますーーー」
「キャベツと大葉の浅漬けネ。自信作」
「ほほー、どれどれ、おーー、旨い。奥行きがありますね」
「お、わかるかい、うれしいねぇ」
「ハイボールにめっちゃ合います」
「隠し味、アレだから、アレ」
「アレってなんすか、アレって」
「アレといったらアレなんだよ、某料理研究家で炎上してるヤツ」
「あーー、アレっすね、アレ。うん、うまい」
「うまけりゃいんだよ、アレだろうとコレだろうとドレだろうと」
「いやー、懐かしいですね、アレの味。おばあちゃんの浅漬けっすね」
「あ、そうそう、そうなの。昔の漬物って、アレの味だったよね」
「わかります。なんならアレかけて醤油かけて、喰ってましたもん」
「そうそう、二級酒がすすむんだよね、アレのおかげで」
「で、マスター、今日のアレはどのアレっすか」
「うん、カツオ風味の『xxだし』。近所のスーパーで特売してたから」
「どうりで。そこかしこにいるもん、カツオさん」
「ひさびさ買ってみたけど、よく出来てるね」
「某YouTuberさんも製造工場行ってましたもんね」
「そうなんだ、工場見学楽しそうだね」
「そうなんすよ」

わたしも、久々に、「xxだし」を買ってみようかと思わされた。

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