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バッハの故郷への旅


ゲヴァントハウスの室内楽団との演奏
バッハ資料財団の高野氏とフューラー牧師
ペーターダイルマンの船

リバークルーズの旅
東西ドイツが統一され、旧東ドイツ側の町々を訪れる旅を企画した。ライプツィヒやドレスデンなど音楽家に所縁のある場所を訪れるにはエルベ川のクルーズが最適である。ドイツで開催されたGTM(ジャーマントラベルマート)という商談会でペーターダイルマン社を紹介されエルベ川の船を見つけた。
ベルリンの郊外に停泊していた船「Katharina von Bora」号を視察してチャーターの契約をした。エルベ川クルーズの観光寄港地にはライプツィヒという町があり、バッハが活躍しそこに眠る「聖トーマス教会」がある。バッハのお墓の前で演奏を捧げることができないか、という天満さんの希望から直接教会に電話すると、幸運にも許可証をFaxで受けとることができた。この教会はバッハがカントール(音楽監督・指導)を長年勤めていた教会である。祭壇の下に眠るバッハの前で天満さんのシャコンヌやパルティータの演奏が教会に響き渡った。
すべてが繋がっていく
この演奏がご縁となりライプツィヒ在住の高野昭夫さんと出会った。彼はバッハ資料財団やゲヴァントハウスの広報担当の仕事をしており、彼の尽力でその後の聖ニコライ教会での演奏や世界遺産ヴァルトブルク城での演奏が実現した。聖ニコライ教会での演奏時にはフューラー神父(ドイツ統一運動の指導者となった方)が臨席され、「遙か極東の国、日本の演奏家にバッハの魂の音楽を聴かせていただき感動した。」というお言葉をいただいた。当時の聖ニコライ教会カントール兼チェンバリストであるユルゲン・ヴォルフ氏との共演を行ったヴァルトブルク城では、NHKドイツ支局が衛星放送の機材を搬入し、生放送でNHK「7時のニュース」で紹介されることになった。2台のチェンバロを同時に操るユルゲンの演奏と、天満さんのストラディヴァリウスの調べが古城に響き渡り、古城から外を眺めるとチューリンゲンの田園風景に美しい虹がでていた。全てが巡り合わせ。不思議なご縁とタイミングでバッハへの旅は一期一会の貴重な体験となった。
その時の高野氏との出会いは20年後に「一般社団法人日本バッハ協会」の設立から、当社が事務局を引き受けるというご縁にまで繋がることになった。


日本バッハ協会

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