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#1-9 ゴキゲン唐津生活。
久々の更新になりました。
全て唐津のせいです。
唐津は僕に多くの事を気づかせてくれました。
唐津を離れてもしばらく消えない余韻が深く残り、滞在中の気づきの実践と検証に多くの時間を取られ、ブログ更新が遅れたことをまずここにお詫びします。
ある方のご縁で、2019.4/18~5/16までお試し移住制度を活用し唐津のアパートに滞在しました。
この制度、有料の所もあるのだが唐津は無料。さすが城下町。太っ腹。とても綺麗なアパートで驚いた。
旅する中で多くの唐津出身者から伝え聞いていたのは「唐津には何もない」という事。
その真意を確かめたくなったのも唐津に決めた理由の一つ。
滞在三日間、虹の松原、曳山展示場などひとしきり楽しんだ後に気づいた事。
「確かに何もない。所謂一般的な娯楽を潤うす都会的なファッションビルやカフェは何処にも見当たらない」
あるのは綺麗な海、静かな古い街並み、小規模な夜の飲み屋街。
事前に聞いていた噂に間違いはないように見えた僕は、気付いたら不本意ながらも昼間からパチンコ、時折熊本に仕事に出かける生活になっていた。
が、そんな中でも唐津滞在で一つだけ心待ちにしている事があった。
1819年から始まった唐津の秋の例大祭「唐津くんち」が今年で200周年であるという。加えて年号が平成から令和に変わることに際して例年は11/2~4の三日間のみなのだが今年に限り5/5のみ町ごとにある14種14体の曳山が町中を曳き歩く特別奉曳があるというのだ。事前にくんちの事は聞いていて11月だからと諦めていたのでそれを聞いた時はもうビックリ!なんとう言う偶然、なんと言う僥倖。正に目の前にくんちの神々が舞い降りたような、そんな感覚。
後日伺ったアンデルセンと言う老舗喫茶店のママに伺った所、唐津の人たちは一年間この祭りを楽しみに生活していると言う。町人たちは”赤獅子”や”青獅子”や”酒呑童子”などなど各々異なる自分の町の曳山に誇りを持っており、滞在中何度か伺った美味しい居酒屋「大八車」のスタッフの男の子も当日が楽しみでならない様子で「ウチの曳山が一番かっこいいすよ!」と気合いのは入った刈り込み頭で熱く語っていたのを今でも思い出す。
因みに大八車は唐津の老舗居酒屋。刺身はもちろん「スリ身天」が絶品。是非唐津に行った際は伺って欲しい居酒屋。
唐津くんちのもう一つの側面である「くんち料理」はその三日間、各家庭を解放して曳山を曳く人はもちろん地域の人や知らない人に対してまで豪勢に振舞われ、そこに3ヶ月分の給料を使うと言うから驚き。
その一年で貯めたお金をくんちの三日間で使い果たすというのだ。なんと言う心意気。なんというホスピタリティ。広島のフラワーフェスティバルしか知らない自分は200年の歴史と伝統の深みに魅了されました。11月の本番も是非伺いたい。
数日後。
実は滞在当初、唐津滞在を紹介してくださった黒川さんと約束していた事があった。
黒川さんは2018年東京から唐津へ移住された方で、この夏、東の浜にご自身のギャラリーをオープンされる予定だ。 参照 : ニジノネ
「釣りやろうよ!俺の知り合いが教えてくれるってさ!」
釣り。
自分にとっては20代前半の頃友達に誘われていった事があったが、朝早いし寒いし釣れないしでいい思い出はなかったので「あ〜いいですね〜」位の軽い返答をしていたが、ただ一つの言葉が長い間僕の脳裏にこびりついていた。
「一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」 中国古諺
※ちなみに釣りにまつわる諺は枚挙にいとまがない。
長らく釣りとは距離は起きつつも、この諺の真意をいずれ自分なりに一度確かめる必要があるとも感じていた。
が、黒川さんからはあれから一向に釣りへのお誘いが届かない。
教えてくれる方が忙しいのだと言う。
まー仕方ないと諦めふとスマホでボンヤリと釣りのシーズンを調べる。
するとそこには
「春の鱚シーズン到来!」
との文字が!
鱚!鱚!鱚!
鱚といえば僕の行きつけの串カツ屋で最初に必ず三本頼むほど大好きなメニュー。
その瞬間、長らく眠っていた僕の中の釣りマインド、その導火線に火が付いた。
冒頭にも書いたが唐津には「綺麗な海」がある。コレはやるしかない。GOだ!
気が付けば僕はYOUTUBEで「鱚の釣り方、糸の結び方」を調べていた。
あ!簡単やん!これそもそも講師必要?
調べ終えたら、スマホで見つけたすぐ近くの釣具店「キャスティング」へと直行。「人のいない唐津とインターネットはすこぶる相性が良い」事に気づく。
「すみません、鱚釣り始めたいんですけど。鱚は初めてです。」
「竿は持ってる?リールは?」
「あ、いや、何も。。」
「はぁ〜〜〜、、、コレとコレ(釣り竿セット)、天秤(オモリ)はま〜12号かな仕掛けは8号くらいで」
と、かなりめんどくさそうに勧められたそれらをなんら反論ぜず全部買った。総額一万でお釣りがくる程度。釣りセットの他「この店員を絶対に見返してやる!」そんな新しいモチベーションもキャスティングで獲得。
そのまま鱚が上がっていると言う西の浜に向かう。長いロングビーチに釣り人は3名程度。たどたどしく天秤と仕掛けを取り付け第1投目。難なくキャスティングできたのは過去の経験が活きた。
動画で見た通りゆっくり引きながらアタリを待つが竿先になんら反応はない。二、三回投げても何もないので近くの釣り人に話しかける。
「釣れてますか?」
「いや〜型(大きさ)が小さね。遠投しないと20cmはあがらないね。」
クーラボックスを拝見すると十匹程度の鱚が入っていた。
「釣れるんだな」
そう確信した僕は自分のポイントに戻り、再度キャスト。
竿先にかすかなアタリを感じる。その直後、グッと引き込まれた!
これか!?夢中でリールを巻きあげる。
HIT!!!!! 鱚だ!!!*以下はその時の写真。
大きさも天ぷらにするには十分で気分は高揚!!!
それから気づけば夢中で4〜5時間餌をつけては投げ続けていた。水を飲むのも携帯など見る時間さえ惜しい。そんな時間あればアタリを探っていたい。こんな気持ちになるのは初めてで僕はその場で一気に釣りの虜になった。この日は結局4匹程度の鱚の釣果。「3年鱚」といわれる20cmクラスも釣り上げた。
さあ!!!冷たいビールを買って鱚天パーティーだ!
。
。。
。。。
。。。。鱚の捌き方がわからない。
すかさずYOUTUBE「鱚の捌き方」でチェック!!うん!出来そうだ。
「人の少ない唐津とインターネットはすこぶる相性が良い」事を改めて実感。
行きつけの串カツ屋の大将の手つきを思い出しながら釣りたての鱚を熱い油の海へと還す。表面が唐津の沈む夕日のような黄金色に染まったらその揚げたてをそのままハフハフと頬張る。ふわふわの鱚の白身とサクッとした衣がバランス良く口の中でスィングしている。めっちゃおいしい。🍺も進む進む。幸せ。
その2日後には見た事ない魚が!自分の手のひらより大きい。30cmはあろうか。⬇️強烈なヒキだった。
すかさず明石の漁師の知り合いに尋ねる。
「これメゴチっす!白身の高級魚ですよ!」
地元の釣り人に聞いてもメゴチが釣れる事はなかなか無い事だと言う。
事此処に至り、さすがの僕も確信した。くんちの事も合わせてこれはもう完全に唐津の海に歓迎されているなと。
唐津の海神「古本さん、ようこそ唐津にお越しくださいました。くんちは楽しんでいただけましたか?こちら白身の美味しい魚です。どうぞ召し上がってください」と言われているなと。
そしてその翌日。蟹まで!台湾蟹というらいしい。
早速塩茹でして無口で貪る。うますぎる。
メゴチのアラと浜で一個だけ目の前に落ちていたのを拾ったハマグリと台湾蟹で自家製贅沢唐津汁の完成。こんな美味しいあら汁飲んだの初めてでした。
釣りによって身体的ファインチューニングされた後の料理は格別で、プロセスが料理をおいしくする事を実感。
その日から僕は毎日釣りをした。
1. 朝5時に起床
2. 車で朝四時からオープンしているホクト釣具店で餌と仕掛けを買っての西の浜へ。昼まで投げて一時帰宅。
3. 釣ったキスの天ぷらにビールで極上のランチを終えたらしばしシエスタタイム。
4. 夕方四時からまた西の浜へ出かけ、夕刻のキスを狙う。
5. そしてまたキスやカニの夕飯。
6. 朝早いので当然早めの就寝に至る。 (1.に戻る)
アレ。毎日の食が釣りで賄えている。
都市で働くほとんど99%の人は「食べる為と住む為の仕事」をしている。「食べる為と住む為の仕事」なら唐津に関しては食べる為の仕事が限りなく必要ないのではないか?つまり唐津ではより純粋にしたい事を仕事にできる環境が整っているとも言えなくもない。しかも地元の魚を釣って食べる毎日は体にもいい影響を及ぼしている。事実釣りを始めてから自然と足腰は鍛えられ体重は最適に減った。
そう考えると冒頭に書いた「唐津には何もない」に違和感さえ覚えてくる。
資本主義の名の下、テクノロジーと産業の発展とともに追い求めてきた合理性の枠組みの中で排除されてきたもう一方の人間的豊かな合理性が唐津にはある。
※ここでいう「人間的豊かさ」とは偶発性や未規定性にシンクロして楽しめる人間本来の性質の事を指しています。釣りは偶発性の塊とも考えられる。
ある種の「わからなさの排除」の為に発展してきたテクノロジーは一見追い求め続けてきた”便利快適”を得たように見える。が同時に人間の得られる享楽要素でもある「偶発性や未規定性」を奪ってもいる事をしっかりと自覚しておくべきだ。
翻って釣りには「偶発性や未規定性」に満ちている。
そして最終日。鱚がたくさん釣れたので黒川さんをはじめとして期間中知り合えた方々4名をアパートにお招きしてお礼を兼ねて鱚天パーティーを企画させていただき皆さんに喜んでもらえ最高の滞在ラストナイトとなり名残惜しく唐津を後にしました。ちょうど釣りに慣れた頃に離れるというこの寂しさよ。
その後、有明海天草、三池港、別府港で釣り三昧でした。
今年は全国で竿を投げるつもり。
以下、滞在中気に入った場所やお店を紹介しておきます。
牟田食堂。ここのちゃんぽんも美味しい!
波止岬キャンプ場。次回はここでキャンプを張る。釣った魚その場で捌いて乾杯するのだ!
よしみ荘12号室。唐津に新しくできた本屋。ここのクリームソーダに釣りで火照った体を癒されました。 唐津に来たなら必ず食べて欲しいメニューのひとつ。
ありがとう唐津!また帰ってきます!唐津!
: 唐津お試し移住にご興味ある方は「唐津スイッチ」までお気軽にお問い合わせしてみてください。