![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78750258/rectangle_large_type_2_1ff02060a8753ae643f5953712a789e2.jpeg?width=1200)
高知仁淀川町ひとり旅『雨の池川の街角で、出会い、そしてまた泣く』
2022年4月 高知仁淀川町紀行 Vol.04
![](https://assets.st-note.com/img/1652795830172-16gLIfC78i.jpg?width=1200)
安居渓谷の辺りで宿泊していた『宝来荘』から、『いち川』という宿に移動。
初高知上陸ということもあり、距離感が掴めてなかったんだけど、その2つの宿は、車でほんの20分ほどしか離れていない。
![](https://assets.st-note.com/img/1652795866212-JiqkfYgXK7.jpg?width=1200)
雨降ってよかったね!
いち川は"池川"という地区にある。
正しくは『旧池川町』だろうか。仁淀川町は、この池川を含めた3つの町が合併してできたらしい。
しかし地元の人たちは、この町のをこと『池川』と呼んでいた。
だから私もそう呼ぶ。愛を込めて。
![](https://assets.st-note.com/img/1652796189615-tT0NOsBYpF.jpg?width=1200)
昼過ぎにいち川に到着したものの、まだチェックイン時間には早かったので、荷物だけ置かせてもらう。
雨は降り続いている。
当初予定していた中津渓谷は昨日のうちに行ってしまっていたので、この日は評判のプリン屋さんに行って、そのあとは雨の池川の街をぶらぶらするくらいで終わりそうだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1652797565677-eKgkTsRedN.jpg?width=1200)
プリン屋さんでパフェを喰らい、そうそうにお暇する。少し肌寒い。どこかでコーヒーでも飲みながら、チェックインの時間までゆっくりしよう。そう思って店を出た。
ところがだ。コーヒー屋がまったく見つからない。
ひとつ、道の駅みたいな食堂を見つけたんだけど、時短営業で今日はもう終わり、とにべも無い。
コーヒー…もうコンビニでもいいんだけど、コンビニも見つからない。
生協があった。棚に陳列するきなこもち、落雁、ボンカレー…しかしコーヒーの気配は感じない。
あああアタイはカフェイン中毒だ!5分も歩けばどこかのコーヒー屋にぶち当たる環境に毒されてすっかりジャンキーだ。あああああああアタイのバカバカバカ、このド腐れカフェイン中毒!
私はそう自分を呪いながら、雨の街を彷徨い歩く。
![](https://assets.st-note.com/img/1652796562625-dVBRDXsSRM.jpg?width=1200)
いよいよ池川の街を1周してしまうという頃、宿の目と鼻の先に『珈琲&スナック』の看板を発見する。その名も『街角』。
外から中の様子が見られず、普段ならスルーしがちな店構えではあったけど、カフェインに飢えていてそれどころじゃない。思い切って扉を開け、こんにちは!と声を張る。誰もいない店内にアタイの声が響く。
『こんにちは!』3回くらい呼びかけた頃、奥から品の良いご婦人が現れる。
ご婦人は、『旅のお方落ち着いて』と言わんばかりの優雅さでおしぼりを出してくれる。ご婦人の呼び名は『おかあさん』。
おかあさんの淹れてくれた濃いめのコーヒーとチョコレートで、おしゃべりに花を咲かせる。
![](https://assets.st-note.com/img/1652796717348-Z7hLBLgAjB.jpg?width=1200)
私が高知名物のイタドリと鰹のたたきを楽しみにしていることを告げると、『そんなに楽しみにてたんなら絶対に食べさせてあげたいわ、電話してあげる!』と言って、なんとその場でいち川に電話をしてくれた。
『今日のお客さん、名前?高橋さん。おるやろ、イタドリと鰹のたたき楽しみにきたんやって。今日の食事に出してあげてね!』
もうアタイ感激!
![](https://assets.st-note.com/img/1652797214399-iY4RG7wvUv.jpg?width=1200)
その晩、本当にイタドリと鰹のたたきにありつくことができた。後でいち川のマスターに聞いたのだが、その日はお刺身の予定だったとのこと。確かに他の宿泊客の御膳には、たたきではなく刺身盛りが載っていた。
たたき、最高にうんんんまかった。なんなんだろ、あの秘伝のタレ。絶妙。食べたことない味。
ありがとういち川のマスター、そしてありがとうおかあさん!
![](https://assets.st-note.com/img/1652797466174-wQ0ualctDZ.jpg?width=1200)
いち川さんの宿泊料、晩ご飯込みで8000円くらいだったんだけど、
私、このお料理だけでも8000円断然払うわ。ああ恋しい。。
閑話休題、おかあさんとの会話は続く。池川のこの辺は昔は飲み屋さんがいっぱいあって、そりゃ賑わっていたとのこと。
でももうほとんど残っていない。
『今ではもう人口も2000人もいないじゃないかね』
おかあさんは2年ほど前にとても悲しい出来事を経験していて、その話をしながら、しみじみと涙ぐんだ。
悲しい。想像するだに、辛すぎる。
私も涙が溢れてきた。
でもおかあさんのコーヒーはとても美味しかったし、きっとお酒も美味しいのだ。
だから『街角』はまだまだ現役。
![](https://assets.st-note.com/img/1652797538948-EOSxhcfHJ3.jpg?width=1200)
高知再訪の際はまた必ずこの濃いめのコーヒーをいただきに来ます!と固く心に誓っておいとましようとした時、おかあさんが言った。
『なんだか娘と喋ってるみたいで楽しかった、ありがとね』
![](https://assets.st-note.com/img/1652797788122-ZC8cQjHUF6.jpg?width=1200)
泣き。。
私も池川にお母さんができたみたいですごく嬉しい。
ありがとう、池川のおかあさん!
![](https://assets.st-note.com/img/1652797899308-CwOFNx56rL.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1652799070289-TN1acVgAm0.jpg?width=1200)
雨のおかげで、池川が大好きになりました。