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久しぶりの完全なる異国-ウズベキスタン記2-

5月26日
昨夜が遅かったのでゆっくり目の朝。8時半くらいに最上階の3階レストランに朝食へ。朝食はビュッフェ。パン、シリアル、ジュースにヨーグルトとサラダやフルーツ、ハム類、そしてエスプレッソマシンのコーヒーが用意してあった。。シンプルなメニューだが、新鮮なチェリーやアプリコット、チーズにテンションがあがる。特にジャムとナッツ、ドライフルーツは種類が多く、美味しい。砂漠気候のウズベキスタン。アプリコットの原産国の1国でもあるらしく、ドライフルーツやナッツは種類が多くどのホテルでもたくさん用意してあった。

ホテルの朝食 小さなホテルでもブッフェスタイル


部屋からの眺め 
時間があればプールにも入ってみたかった

朝から快晴のテラスで優雅に朝食。気持ちのいい旅のスタートだ。レストラン内はまだ静かでスタッフの女性ものんびりモード。用事がない時は、イスで携帯を触っている。こんなところは万国共通なんだなー。まぁお客さんがいてもお構いなしなのは、これから発展する国あるあるだが。
私達の他には韓国人の家族、ロシア人らしきカップルとウズベク人が数名で、観光地という感じはあまりしない。そのゆるい雰囲気が心地よかった。
朝食の後は荷物をまとめチェックアウト。このホテルはカードが使えたので、これからの現金温存のためカードで払う。今日は夕方夜行列車に乗って西方の町に移動するので、それまで荷物を預かってもらう。
ホテルから歩いて20分くらいで最寄りの地下鉄があると言われたので歩くことに。昨日は暗くて気づかなかったが、ホテルは閑静な住宅街の中にあった。道すがら街路樹にアプリコットやぶどうの木をみてビックリ!大通りに出てみると、町並みは思ったよりも整然としていて小綺麗だった。歩道は段差が多いし道にゴミも落ちてはいるが、建物が石造りなのもありしっかりと立っている。ただ崩れている建物や空き店舗、建設途中の建物も多く、その雑多な感じは少し東南アジアの町を思わせた。

タシケントの街並み
路上のジュース屋さん
1杯1000スムくらいから買える


駅に着くと、まずは改札前のカウンターでチケットを買う。普通に1回券も買えたが、旅の思い出に私達は地下鉄パスを買った。これはタシケントの SUICAのような物で、デポジット込みで15000スム。どこまで乗っても料金は均一のようで、この1枚で2回は乗れたのでかなり安い。1回券は5000スムくらいなので乗れればいい人はそちらをどうぞ。

駅の構内
タイルの装飾が至る所に施されている


繁華街に出るにはタクシーの方が簡単で、値段もそんなに高くない。そんな中あえて地下鉄に乗ったのは、駅のホームが見たかったからだ。ここタシケントには、内装のタイルが素晴らしい駅がいくつもあるらしい。私達は3つの駅を見たが、特に駅が好きだった。
駅を出てからは街歩き。今回の旅は西から順番に周り、最後にタシケントに戻り観光するつもりなので、今日はただ町を見てウズベキスタンに慣れたかった。
お昼を過ぎ日が高くなると、暑い。まだ5月だが真夏のようで、朝涼しかったのがウソのようだ。通りは賑やかだったが、オフィス街のようで仕事中らしき人が多い。イスラム教国だがここではスカーフをしてない人も多く、開放的な都会の空気があった。暑さの中歩いていたら、疲れてお腹も空いてきた。広い歩道にテーブルとパラソルがたくさん出ていたレストランがあったので、入ることに。メニューはウズベク語とロシア語だったが写真があったので、それを頼りにドリンクとサラダ、サモサとお肉の串を頼む。ドリンクは薄いスプライトにミントがたくさん入った感じで、ゴクゴク飲めた。暑い日差しにピッタリだ。サラダはビーツにパクチーがドバッと入っていて、パクチーが苦手な私にはキツかったが好きな人にはたまらないだろう。サモサは塩、胡椒とクミンで味付けしたポテトで、食べやすい味。ちなみにチキンやビーフもあった。お肉は…来なかった。待っても来ないので聞いてみると、注文した肉はないと言う。(注文した時は言われなかった)で、違う肉にしたが、結局来なかったのだ。まあそんなこともある。言葉が通じない国では行き違いは当たり前。気にしないでいこう。そこそこお腹も満たされたので、会計を済ませる。ドリンク2つ、サラダ、サモサ2つで190000スム。1人500円くらいかな?首都のど真ん中ならかなり安いだろう。

レストランの中

最後にトイレにと中に入り、ビックリ!レストランの中がとても広い。客席は200席はありそうで、厨房もそれぞれの料理ごとにセクションが分かれていて、キッチンと厨房を合わせれば30人以上が働いていた。内装は至る所をタイルの模様で埋め尽くしていてとても華やかだ。ウズベキスタンは日常の建築にタイルを使うのが当たり前で、それからも寺院以外にもあちこちでタイルの装飾を見かけた。
食事を終えホテルに戻る途中、行きしなに見かけたジェラートショップへ入ることに。イタリアと親交があるのか、レストランのほとんどがウズベク料理な中、ピザ屋とジェラート屋はちょくちょく見かけた。ジェラートショップは普通に日本にもありそうなオシャレな感じで、味も普通に美味しかった。
ホテルに戻って宿泊証明をもらい、タクシーを呼んでもらう。宿泊証明は旅行者がホテルに泊まったことを証明する小さな紙で、今はもう要らないと言われたが、念の為に。待つ間にWifiを使って日本に電話したが、1分くらい繋がったのみ。ラインを送ったりメールのチェックはできるが、通話は基本出来ないらしい。タクシーが来たので慌てて電話を切り、駅へ。夜行列車はユージニー駅という特急列車の発着駅とは別の駅から出ている。15分くらいで駅に到着。タクシー代は21000スム。
駅は思ったより新しく立派。しかし柵で囲まれていて駅正面手前右側にブースのようなゲートがある。切符もそこで見せるため、駅には入らない。何のための建物なんだろう?

夜行列車の駅
高速列車の駅とはまた別
右が寝台列車

後に他の駅を利用して駅の作りを知ることになるが、この時は不思議でならなかった。列車は16:30出発。ホームに入ろうとして小さなキオスクのようなテントがあるのを見つける。時間がなく夕食に何も買ってなかったので、慌ててナン(ウズベクナンは大皿サイズの平たいパン)と水を買い車内へ。車掌さんに聞き自分たちの座席に行ったが先客が。ウズベク一家が既にお茶を入れて寛いでいたのだ。声を掛けると冷たく追い払われて…なんてことはなく、親身に切符を確認し、自分たちが座ってるところだとわかると荷物をまとめてアッサリ退いてくれた。どういうシステムかはわからないが、寝台の数以上の人数で乗っている家族が多く、ベッドがなくなったおばさんは笑いながら車両の奥に消えていった。友人と相談し、私は下、彼女は上の寝台に寝ることに。荷物から必要な物を出したりと、今日の宿を整えていると、車掌さんが新しいリネンの入った袋を持ってきてくれた。前のおばちゃんが勝手に使っていたので諦めていたのだが、ちゃんと車掌さんに伝えてくれたようだ。みんなとても親切だ。英語は誰もわからないが、身振り手振りで寝台の上への上がり方を教えてくれたり(ハシゴはなく、寝台横に突き出ている足場を使って器用に上がらなければならない)、トイレの場所を教えてくれたり。
そうしているうちに列車はギギギ〜と音を立ててゆっくりと動き出した。身支度が終わった私達は下の寝台に並んで座り、一息ついた。しかし暑い。車両は古く、エアコンは無い。窓は上10cmくらいが前にパカっと開くタイプで風はほぼ入らない。カーテンはレースの小さいものがあったりなかったりで、西側の席の私達には西陽が直接当たるのだ。しかも車両はほぼ満席で、熱気が追い打ちをかけているのだ。元ガイドの友人は用意周到で、扇子を出して扇ぎ始めた。狭い車内では1つの扇子でも風が届く。私達は汗を拭き拭き交代で扇いでいた。先にこの席にいたおばちゃんが前の席の旦那さんの元に戻ってきて、私達に話しかけてきた。 「コリア?」「ジャパン」「 ヤポネ‼︎」 そして周りの人達に日本から来たんだと言って回っている。周りの人は珍しそうに私達を見て、口々に話しかけてきた。が、何を言っているかわからない。コミュ力最高レベルの友人は、聞かれていることを想像しながら身振り手振りで答える。通路を歩いている人は何なのかと近くの人に聞き、ちょっとした騒ぎになっていた。

寝台列車のベッド
キレイなリネンが支給される


そのうち太陽が傾き、美しい夕日が地平線を彩り始める。騒ぎも落ち着き、人々は思い思いに話し、お茶を飲み、時間を過ごし始めた。まだ日中の暑さの残る車内で、私達は汗を拭きながら夕日の写真を撮っていた。山に住んでいる私達は、普段夕日が見れない。地平線に沈む夕陽は、私達が見たかったものの一つだ。赤い大きな太陽が、遮るものののほとんどない土の大地を、茜色に染めながらゆっくりと沈んでゆく。埃でくぐもった窓ガラス越しでも、それは美しかった。今もハッキリと思い出せるくらいには。
一通り写真を撮り終え小腹が空いてることに気づいた私達は、ナンのコトを思い出した。
「そろそろちょっと食べてみる?」「そやね」Lサイズのピザくらいはあるパンを一口サイズに千切って食べてみる。少しパサついた、何の変哲もないプレーンなパンだ。水と食べると味気ない。車内販売があったのを思い出し、500mlのソフトドリンクがあったら買おうと思ったが、ウズベク人のおじさんがスーパーのカゴに入れて売りに来たドリンクは全て1.5lのボトルだった。日中が暑いせいか、こちらの人は水のように炭酸飲料を飲むようだ。
結局ナンは水で食べた。ちょっぴり切ない思い出だ。

ウズベキスタンのナン


日がすっかり落ちた頃、列車はサマルカンドの駅に到着した。休憩が15分くらいあるというので、ホームに出てみた。日の落ちたホームは、日中の熱気はどこへやら、すっかり涼しくなっていた。熱のこもった身体に夜風が心地いい。キオスクのようなお店があったので覗いてみると、ブラブラ吊るされているソーセージの束‼︎の横の冷蔵庫に500mlのドリンクが。リプトンのアイスレモンティーを見つけ、買ってみた。日本の物より酸味があり、めちゃくちゃ美味しい!英語が話せるロシア人のお姉さんが、町はあっちの方だと説明してくれるのを聞きながら、遠くの町灯りを眺めた。

駅構内のキオスク

列車はサマルカンドを出発してからは夜の闇をぐんぐん進んでいく。周りの人も少し静かになり、ボディシートで体を拭いたりして寝支度を始めた。22時前になり私達も寝ることに。私も汗をキレイに拭き取り、着替えて少しサッパリした体でシーツに潜る。もう闇以外何も見えなくなった車窓をぼんやりと眺めていたら、そのまま眠りに落ちていた。

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