ミシュランの道路地図とレストランガイドを助手席に・・・
グランプリを転戦して35年・・・。今年は久しぶりにクルマでヨーロッパ大陸を移動している。先週、第5戦フランスGPが終わり、フランスGPの開催されたル・マンから次戦カタルーニャGPの開催地、スペインのバルセロナへと移動してきた。急ぐ旅ではなかったので、大会の終わったル・マンの宿に3泊。急ぎの原稿仕事と写真仕事を終わらせてから、1100km、10時間のドライブでバルセロナに到着した。
途中のサービスエリアで、ひさしぶりにヨーロッパ全土を網羅するミシュランの地図とミシュランのレストランガイドを買った。この仕事を始めたころはインターネットもナビもなかったし、地図で一日の移動ルートを調べ、当時ホテル&レストランガイドだったミシュランでホテルに電話、もしくはファックスを送って予約するか、飛び込みでホテルを探しながら移動した。
そんな時代も21世紀になると、ホテルはインターネットでサクサクと予約できるようになり、2010年頃には、ガーミン、トムトムというナビが一気に普及して、住所を入力すれば道に迷うことなく目的地に行けるという時代が到来した。
思い返せば、「エンドーさん、ガーミンすごくいいですよ。チームで使っているけど最高です」と教えてくれたのがしょーやこと富沢祥也で、それまで何度も道に迷いながら走っていたタビビトも、ガーミンを購入、後にトムトムも買って2台体制になってからは、道に迷うことなくヨーロッパ大陸を移動できるようになったのだ。
以前はガーミンやトムトム、いまはiPhoneのグーグルマップで移動しているが、こうしたナビは、移動する距離、時間を正確に教えてくれる。08年のリーマンショック以降、ヨーロッパ各国は、環境問題に力を入れたこともあり、スピードの取り締まりが一段と厳しくなった。どの国も至るところにカメラが設置されるようになり、きっちりと制限速度を守って走るドライバーが増えた。その効果は大きく、10kmや20kmスピード違反をして走ったとしても、どれだけ時間を短縮できるのか?ということもナビで知ることになり、加えて、渋滞区間は回避ルートも指示してくれるので、もう、本当に「ナビの言う通り」に走るようになったのだ。
そんな旅が、とても便利だけど、どうもつまらないなあと思うようになってからどのくらいが経つのだろう。ミシュランの道路地図とレストランガイドは、ガーミンやトムトムが普及するまでは、どのサービスエリアでもいっぱい置いていたが、いまほとんど見かけることがなくなった。今回はたまたま立ち寄ったサービスエリアで何冊か置いてあるのを見て手にしたのだが、「そのうち買うことも見ることもできないかも知れないなあ」と思ったのだ。
偶然なのだと思うのだが、先日、成田空港の書店で角幡唯介さんの「極夜行前」(文春文庫)を購入して機内で読んだ。この本は、著者の角幡さんが、一日中太陽が昇らない極夜の時期に北極圏をそりを引いて歩くという冒険の書で、続編として「極夜行」がある。著者は、その他にもさまざまな冒険を経験し、それを書いているのだが、どの本も書きだしからぐいぐい引き込まれる力強い著書ばかりで、多くの賞を受賞している。
その「極夜行前」で角幡さんは、衛星携帯電話やGPSに頼らず、地平線と星の角度を測り現在地を知る六分儀(どういうものか説明を読んでもよくわからなかった)という昔ながらの手法を用いて冒険に挑んだ。そんなスケールの大きい話しとはまるで違うけれど、今年は、もう10数年買っていないミシュランの道路地図とレストランガイドを助手席に置いて、ヨーロッパの旅を続けようと思ったのだ。
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