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静かな遅れ フジバカマ

秋の風に揺れるフジバカマ、その柔らかな紫色の花弁は、どこか懐かしい風景を思い出させる。昔からこの花には「遅れ」を意味する花言葉があるという。その「遅れ」は、何を表しているのだろうか。

世の中が急ぎ足で進んでいく中、フジバカマはひとり静かに立ち止まる。季節が巡り、夏の終わりに少し遅れて咲くその姿は、あわてず、焦らず、ただそこにある。時間に縛られず、自然の流れに身を任せるように。私たちも時には「遅れ」を恐れず、自分のペースで歩んでいくことが大切だと、フジバカマは教えてくれるのかもしれない。

花の香りがふわりと漂うその瞬間、過去の思い出や、忘れていた感情が静かに胸に広がる。フジバカマの「遅れ」は、ただ遅いだけでなく、忘れ去られた時間への道しるべでもあるのだろう。


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