感謝の糸 ミズヒキ
ミズヒキの花言葉は「感謝」と「慶び」。その姿は、結び目の形状から古くから祝い事に使われ、紅白の糸が縁起物として人々に愛されてきた。この花を見つめると、不思議と過去の記憶が蘇る。
ある秋の日、私はふと、昔のことを思い出した。幼い頃、祖母の家の庭にはいつもミズヒキが咲いていた。祖母は私に、その花の名の由来を教えてくれながら、いつも「感謝する心を忘れてはいけない」と優しく諭してくれた。子どもだった私は、ただ紅白の細い花が揺れる様子を見ていたが、その意味までは深く考えていなかった。
時が経ち、祖母はもういない。しかし、庭先に咲くミズヒキを見るたびに、あの言葉が心に蘇る。どんなに時が流れ、環境が変わっても、人が人に対して持つ「感謝」と「慶び」は決して失われるものではない。ミズヒキの紅白は、まるで人と人を結びつける糸のようだ。
私はこの花を通じて、人々とのつながりや、何気ない日常の中で感じる感謝の気持ちを再確認する。ミズヒキは静かに、しかし確かに、私たちにそのことを伝えてくれているのだ。
これが、秋風に揺れる小さなミズヒキが持つ、大きな力なのかもしれない。