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ためらいの風に揺れて フジバカマ
フジバカマの花が風に揺れている。秋のやわらかな陽射しに包まれて、淡い紫の花びらが静かに揺れるその姿は、どこか懐かしさを感じさせる。「躊躇」と「ためらい」──そんな花言葉があると知った時、私は少し驚いた。確かに、その佇まいには決して強く主張するものはなく、控えめで、風に身を任せるような柔らかさがある。
私たちの心も、どこかフジバカマのようだと思う。何かを選ぶとき、決断するとき、その手前でためらいが訪れることがある。それは恐れや不安からくるものかもしれないし、ただ静かに見極めようとする慎重さからかもしれない。でも、そのためらいの中には、私たちが自分自身を守ろうとする優しさがあるのではないか。
ある日、ふと足を止めて振り返ると、自分が歩いてきた道には、たくさんのためらいがあったことに気づく。その一つ一つが私を形作り、今の私をここに導いているのだと。
フジバカマの花びらがまた、風に揺れる。私もまた、その揺れに身を任せ、ためらいながらも、歩みを進めていこうと思う。