馬日記・その17
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2004年5月8日
(25歳)
in Costa Rica
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朝起きると、顔がさらに腫れている。昨日よりも、だいぶ視界が狭い。視界が悪いほどに瞼が腫れているとは、どんな顔になっているのだろう。鏡もないもので、デジタルカメラで撮影してモニターを覗き込む。ありゃりゃ、こりゃ、無惨なものだ・・・。しかし、ありがたいことに、ぐっすりと寝れたのはよかった。痛みで寝れないものかと思っていた。
テントからモソモソと出てくると、皆はもうとっくに起きていた感じだ。ぼくは、ずいぶんと遅寝坊したようだ。そうか、そうか、やっぱり初日はやっぱり怪我もあって、相当疲れていたのだろう。昨晩から今日は移動せずに、ここで一日お休みすると聞いていたので、朝の準備の気を張らずに寝れたこともあるだろう。起きてからもずっと、頭がポーッとしている。昨日の熱中症気味だった影響もあるのだろう。この倦怠感に、今日一日何もしたくない気分だ。
朝食はベルギーの女の子のエバと、タカコとキンちゃんの日本人チームが用意してくれていた。昨晩のディナーの時間でも話題に出ていたのだが、働く人、働かない人の差が大きすぎて、そのことがグループの中で問題になっているらしい。そのことで、タカコがだいぶ怒っている様子だった。日本語が他の人たちがわらかないのをいいことに、皿洗いをしながらどうどうと愚痴を言い合う。
朝食が片付くと、馬たちを放している場所へ行って、餌をあげる。昨日の落馬後にヨヨに交換して乗せさせてもらったファントムが、餌をもらいにやってくる。この子はとても人懐っこくてかわいい。とても甘えん坊の、愛らしい性格のようだ。
また野営地にもどってきて、その後は昼寝をよくした。ぐっすりと昼寝した後には、疲れがすっかりと取れていた。まだ、日本からの時差の影響もあるのかな?
午後は、ヨヨと近くの馬を数頭見に行った。しかし、どの馬もあまりピンとこなかったので買うことはしなかった。あぁ、はやく、自分の馬が欲しいものだ。自分だけ馬がないことに、焦り出す。
夕食には、イスラエル人チームが、イスラエル・フードを作ってくれた。にんにく・たまねぎ・ピーマン・そして沢山のトマトが煮込まれた、シャクシューカという名前の料理だった。とても美味しかった!
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2004年5月9日
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朝5時にスタートする組の声で、日の出前に目が覚めた。ぼくは、あとからスタートの組だったので、まだ寝る時間があったのだが、昨晩はあまり寝れなかったにもかかわらず寝付けなかったので、そのままテントで瞑想をした。そういえば、日本から、日々寝床が変わるような慌ただしいここまでだったので、瞑想を落ち着いてする時間がもてていなかった。久々の瞑想は、だいぶ感触を忘れていて、あまりよくできなかった。
アメリカ人男性のジェシーに呼ばれて、誰か地元の人が「この馬はどうだ、買わないか?」と持って来てくれた白い馬を試してみたが、この馬はすぐ右によっていく癖があって、あんまりフィーリングが良くなかった。そしてサイズもぼくにはすこし小さく感じたので、「この馬は、ぼくには違うかな」とお断りをした。
朝食は、ぼくが皆のために作った。作ること自体は全く苦ではないのだけど、「ご飯ができたぞー!」と声をかけてからの皆の集まりがとても悪いので、本当にいらいらする。なんと、呼びかけてから食べ出すのに、一時間もかかった。ご飯を作った人たちはそれをずっと待っていて、自分のことが何もできない。ご飯も冷めるばかりだし。ああ、本当に馬鹿馬鹿しい!、と腹立たしくなる。昨日、タカコやキンちゃんが怒っていたのは、こういうことなのだろう。働いている人ばかりが、二重にも三重にも損をしている気分・・・。
朝食後、皆はそれぞれの馬に乗って出発したが、ヨヨの提案で、ぼくとジェシーの馬探しのために車をチャーターして、噂の白いアンダルシアンを3人で見に行った。白いアンダルシアンは、噂通りの美しくて大きな馬だった。しかし、いざ鞍をつけて、乗ってみようとしてみたが、とてもナーバスになって暴れる一方で、なかなか人を乗せてくれるような状況ではない。人に慣れていない馬なのだろう。しかし、さすがのヨヨは、そんな馬にもなかば強引に飛び乗る。しかし、馬は飛び跳ねるばかりで、どうにもならない。ぼくは、つい先日の落馬のこともあり、この馬を手懐ける自信は全くない。せっかくのヨヨの労力には申し訳ないが、この馬はお断りさせてもらおう。断るが、しかし、同時に焦りも感じる。Caravanは移動の段取りも日に日に整って来ていて、この先、今日の様に後に残って馬探しの時間を取る機会も少なくなってくるであろうことに、心配な気持ちが出てくる。はやく、自分の馬が欲しい。
何故か、ヨヨは、ジェシーのご飯代など、全てのお金を払ってあげている様子だった。どうしてだろう?? まあ、ジェシーはみるからにお金がなさそうだ。今日の車のチャーター代は、僕が全て払った。ヨヨに「以前にぼくが馬の移動費を払ったから、今回はタクヤが払ってくれるか」ということだった。はっきりいってその馬の移動費はぼくに関係ないし、ジェシーの分もぼくが払うのかと納得いかなかったが、「今回はぼくのために時間を使ってくれたから」と言って、払うことにした。しかし、「もし、ぼくが日本に帰っている間によい馬がいたら、このお金でKeepしておいて欲しい」と言って、ヨヨに預けていたUS300$もまだ返してもらっていない(というか、もうそのお金はなんだかんだで使ってしまったらしい・驚)。うーん、こちらもキリキリの金銭事情なだけに、ついつい、お金のやりとりで敏感になってしまう。お金のやりとりで気持ちをすり減らすのは嫌である。なるほど、金銭感覚もお国柄それぞれに異なるようである・・・。日本人は、他の国の人から見たら、とてもきっちりしすぎているようではあるが・・・。とにも、このCaravanは、人間関係に、お金のやりとりに、対人関係に強くなっていかなければいけなそうである。
夕食は、ピザだった!美味しいものを食べると、嫌なことも忘れて、ハッピーになるね。作ってくれた人、ありがとう!!