ときどき都会、ときどき田舎【2拠点生活・農業】
【この記事の読みどころ!】
☑ 名古屋〈都会〉↔飯田〈田舎〉の二拠点居住!
☑ 秘密基地のようなビニールハウスでスモモを栽培!
☑ 元商社マンが取り組む〈農〉の形とは!
―飯田市と名古屋の距離感はこんな感じ
―山下さんのビニールハウス ほんとにビニールのハウス。大きさは……なんと250坪!
名古屋と飯田市とを往復する生活をしている山下裕輝(やましたひろてる)さん、62歳。専門商社を定年退職され、現在飯田市のビニールハウスで数種類のスモモを栽培されています。今回、人生の大先輩である山下さんから、ご自身のライフスタイルについてお話を伺ってきました。そこには私たち若い世代にも通用する、今後の生活のためのヒントがありました。
聞き手:上野裕史
なぜスモモなのか
好きなんですよ、スモモが。
スーパーで売ってるの、おいしくないでしょ?酸っぱくて、ガリガリしてる(笑)。でも、北海道で食べたスモモがおいしくて。かじると果汁がぼたぼた落ちた!
そのことを憶えていて、自分でも作ってみようと思ったんです。家に庭ができたから、スモモを植えてみたりして。それで近所の人に配ったりしてました。だから、ビニールハウスでも自分の好きなものを植えようと思いました。それがきっかけですかね。
甘くておいしそうなやつを全部植えて、それで味見をしたんです(笑)。成長した木は高さ4メートルくらいに大きくなるのかな。そうすると、木一本から2000個くらいとれる。でも素人なので、いまは20~30個くらいかな。去年は虫がついたりしましたが、今年は数回の消毒で済んでます。
ないですね。ただし草刈りは本当に大変。放っておくとここまで車も入れなくなる。雑草の生命力はものすごいんですよ。毎日これるわけではないですからね。必要最低限のところだけはやるようにしてます。これなら、週一でもできますから。
名古屋の家の近所に、民家レストランっていうのかな?そこの人が、スモモが大好きだってことだから、パック詰めで置いてもらってます。
まだまだ流通なんて考えられる段階じゃないけど(笑)。何か言えるなら、買って食べたスモモは美味しくない。完熟で食べられないからかな。だから、手の届く価格で、甘くて美味しいスモモが食べれるようになればいいかな、とは思いますね。
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「自分の好きなものを作る」と同時に「きちっと収穫してきちっと販売できるようになりたい」と語る山下さん。趣味と道楽の世界、癒しのための「農」のある生活と、小規模ながら生産・販売という生活のための「業」のある生活。この二つがうまく組み合わされば、「若者」向けの「農」のある生活が見つけられそうだと感じました。
飯田の魅力
まったくの偶然なんです。
まったくの(笑)。HPで偶然見つけたのかな。ほかのワーキングホリデーをしらないくらいですよ。でも名古屋からいい距離なんです。軽トラで2時間かからないくらい。長野市になってくると遠すぎますから。こっち側(南信州)は人があったかくてよくしてくれるし、気候もいいし、景色もいい。
疎外感を感じたことはないですね。場所によっては、農村は閉鎖的なとこがあるでしょう?
せっかくきたのに「地域に貢献」ばかりを考えなきゃいけなくなったらつらいでしょうから。「その土地にお世話になる」という気持ちを忘れずにいれば、その土地の人もあとからやってきた人も、心地よく暮らしていけると思いますよ。
二拠点居住のススメ
木曜日を中心に週に二日くらいですかね。これるときは土日も来ます。だから二拠点居住というよりは、いまは三割移住かな(笑)。
いないなあ。でも五年前に私が農業やりたい!って言ったときに止めた人たちに、「いまなにしてる?」って聞いたら、「畑耕してる」って言うんだよ(笑)。いわゆる移住政策とかは若者を集めたいのかもしれないけど、それは難しんじゃないかな。自分の人生をかけて初めから農業をやるのはそうとうな覚悟が必要だと思いますよ。反対に、60歳から農業を始めても15年はやれる。
「仕事」と「農」の拠点が近ければ考えやすいかもしれませんね。例えば、飯田市には2027年にリニアの駅ができます。名古屋の家からここ(飯田市のビニールハウス)まで…ドアからドアまで1時間かからないんじゃないかな。とても移動が楽になるよね。
それでも、若い人は、いろんなとこにいきたいって願望があるんじゃないかな。農業をやると、月に一度や二度、草刈りで丸一日潰れる日が出てきますからね。そもそも、学生のうちにこんなのんびりしたことを覚えちゃうのはよくないのかも(笑)。
「農業」以外の働き方を知っていれば視野が広くなりますから。いきなり農業をやらなくても、5年か10年か勤めれば「こうしよう」「ああしよう」と考えるようになるからね。それはいいことだと思いますよ。とは言いながらも、脱サラの人はすごいと思う。なぜなら、「農業」でお金を稼がなきゃいけないのだから。農業だけで生計を立てるのは、かなりの覚悟が必要だと思いますよ。
今日の話が、なにか参考になるといいんだけど。
「農のある生活」に憧れる若者とは、どんな若者でしょうか。
もちろん、仕事に疲れ、生活に疲れ、とにかく「農のある生活」をしたい!と考えてる人もいるでしょう。私も、そんな人が多いのではないかと勝手に考えていました。しかし、脱サラ、新規就農者としての農業は、「農業」=「仕事」となってしまうだけに厳しいものとなってしまう現実があります。
そこで、改めて二拠点居住について考えてみたいと思います。例えば、飯田市にはリニアが開通します。名古屋から飯田市が15分。東京から飯田市でも1時間かからなくなる。これならば時間的にも金銭的にも「農」と「仕事」の拠点が近づく。このような状況なら「農」のある生活に押しつぶされることもなく、「農」のある生活の拠点を手に入れられるのではないでしょうか。
もちろん問題はまだまだあるかもしれませんが、田舎暮らしを希望してる「若者」が多い割に、移住が進まない現状を考えた時、山下さんのお話は、「若者」の「農のある生活」を考えるための大きなヒントになりました。
文責:上野
※この記事は2017年9月に作成されたものです
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