「蔵元は経営者、杜氏が作り手」がメジャーだった。25歳で300年以上続く老舗酒蔵・福禄寿酒造で酒造りと経営を行う道を進み、全国新酒鑑評会金賞受賞酒 「一白水成」の生みの親となった渡邉 康衛さんインタビュー【U30限定日本酒イベント開催あり】
日本酒の原料である「米」の産地・栽培方法から改善し、全国新酒鑑評会金賞受賞酒 「一白水成(いっぱくすいせい)」の生みの親となった渡邉 康衛(わたなべ・こうえい)さんと出会った。
日本酒は従来、蔵元(くらもと)という経営者と、杜氏(とうじ)という製造者に役割分担されていた。酒造りの世界に惹かれ、大学卒業後に家業に入った渡邉さんは、日本酒好きなら誰もが知っている日本酒「一白水成」を作り上げた。
渡邉さんが代表を勤める、福禄寿(ふくろくじゅ)酒造について、そして、近年力を入れる酒造りから広がるまちづくりについてお話しをうかがいました。
書き手:田丸さくら(TABETAI編集長)
渡邉さんが東京でゲスト登場!「【U30限定】酒と肉。」参加者募集!!
詳細は取材記事の後ろへ
「地元のお米を使うこと=いいこと」ではなかった
看板商品は「一白水成」。2006年からスタートした、ブランド・ラインです。「白い米と水から成る、一番旨い酒」という意味を持っています。純米酒で、全国的に販売をしています。
大学を卒業して蔵に入った当時は、秋田県湯沢市などからお米をいただいてはじめていました。地元にも田んぼはあり、仲のいい農家もいるので、地元産のお米を原料で使っていくことができると気づき、2008年に蔵がある秋田県五城目町と街ぐるみで地元の酒米生産に注力をしていきました。父親が町長になったこともあってね。
「地元のお米を使うこと=いいこと」と思ってスタートしたけど、地元の農家が町でも知られていて、「あの農家なら安心」といういい声もあれば、「あの農家に作らせているのか」と一概にいいとは言えない反応もある状態でのスタートで。
地元産のお米を使っていけるように、研究会を毎月開催して、圃場調査や意見交換会をして全体の質上げをしていく意識をして。それがあってか、今では米の品質への疑問の声はほとんどなくなりました。
湯沢市のほかに能代市からも米を買っていたのですが、同じ秋田県でも地域によって気温や土壌などの環境が異なり、質にばらつきがあった。けど、地元産にすることで栽培の環境にばらつきがなくなったことが一定の品質の酒造りに繋がっています。
今注目の「NEXT5」は、酒造りを語り合う飲み仲間だった。
近年、日本酒業界で注目を浴びている「NEXT5」をご存知でしょうか。
NEXT5は秋田県の若き蔵元経営者5人が集まり日本酒を楽しめるイベントの企画運営などを行う、人気ユニットです。
今だと”イベント屋”としてみられるけど、酒質向上のためのメンバーなんだ。酒蔵は、親父の世代が特に、蔵元は経営者で杜氏が作り手、と分業が多い。蔵元でありながら杜氏をやっているのがNEXT5に今いる「白瀑(しらたき)」を作る山本合名会社、「ゆきの美人」の秋田醸造株式会社、「春霞(はるがすみ)」の合名会社栗林酒造店、「新政(あらまさ)」の新政酒造株式会社、そしてうちの5つしかつしかなかった。
同じ県の酒蔵で集まったりして、飲むといつも酒造りの話ばっかり。他の酒蔵は企業秘密的に情報を漏らしたくないのかあまり製造の話はなく。けどこの5人は情報交換もたくさんして、いつも2次会3次会と進むと残るのはいつもこの5人で(笑)。
例えば、米を運ぶ作業すら変えてきた。他の酒蔵と共同で酒造りをする取り組みも初めてみると、「なんでこの作業やってるの?」と会話に上がることがあり。聞くと逃げられていたよ(笑)。
そんな中で一つ一つの作業を確認することができた、いい作業だった。別の方法あるよね、とか。
それをみんなで相談しあえたのがよかったね。
伝統として残っているものはほとんどないね。
伝統として残っていることはほとんどないね!(笑)。新しく始めたことばかり。
何年か前に、333周年を迎えて新しいことをやりたかったけど、コロナでできなかった。その時に今までを振り返ると、「何も残ってねえな」と思った。
うちは16代やっているが、代によって変わっていくというのは蔵元の思考が変わっていて、作りたい酒を作っていくことで変化している。そんな文化がある蔵だと思う。
けど、ずっと残っていたのは ”水” 。蔵がある”ここ”で創設者が酒造りをはじめたのは、この水があったから。敷地内の水は中硬水で、周りより硬い。近くの酒蔵とも水が全然違う。ご先祖様はたまたまか、調査してかはわからないけど他にない水がここにあるからこの地で酒造りを始めたんだと思う。
それが酒造りのこだわりにも繋がってる。
仕込み水は蔵の敷地内からの地下水。原料米は地元「五城目町酒米研究会」に所属する農家との契約栽培を実現した。
地の「米」、地の「水」、地の「人」をテーマに、秋田県五城目町の文化を感じさせる酒造りを目指していることが基本。
今時、どの日本酒も飲めば美味しいじゃないですか。不味いものを探すほうが難しい。
美味しくて当たり前。そこでより美味しいものを作る工夫としては水と、酵母だね。
家って、設計士がいて大工が作る。日本酒も一緒で、こういう酒を作りたいからこういう酵母を使って……と設計して作る。その設計士が蔵元で、大工が杜氏。
設計士として、糀や酵母は作るたびに微調整をしている。培養も自分でやっていて、ここはこだわりだね。同じ蔵の人でも「さわらせねえぞ」と言うくらいに(笑)。
秋田県醸造試験場という恵まれた施設があって、酵母開発にはそこを使っている。開発から関わっているね。秋田県として恵まれているのは、その施設があるから。県単位で持っているところは東北は多いけど、全国的にはないところが多いです。
3,000万円かけて、新施設「HIKOBE」を設立
下タ町醸し室「HIKOBE」を立ち上げて、今運営しています。
酒蔵は一般の方と触れ合う機会が限られている。特に、地元の人との触れないがない。東京などでの販売イベントは多くても、地元ではイベントがない。それを解決したいのと、発酵文化を伝えるいい機会を作れたらと思って。
3,000万円ちょっとリフォームでかかった。施設の元は箪笥(たんす)屋さんで。ご主人が体調を崩して店を畳むとなった時に、蔵の駐車場に隣接していた施設だったこともあり譲り受けました。
店の中では五城目で作られたものの販売なども行っています。
やってみたら、地元のおばちゃんたちが結構きてくれるようになって。そこがすごく嬉しいなと思っている。県外・町外のお客さんが多いと思っていたが、コロナ禍でも地元の人たちに支えられたよ。
そのほかに、最近は地元の温泉施設の閉館があったときに温泉復活のための会社・株式会社ゆあみを立ち上げた。去年は地元の企業が集まって宿泊施設を作ろう!と有志の会社を立ち上げて、来年から施工予定です。目指すは発酵のテーマパーク。
ぜひ、気軽に秋田に遊びにきてください。
渡邉さんが東京でゲスト登場!「【U30限定】酒と肉。」参加者募集
2024年2月18日16時から18時、NIPPON TABERU TIMES ✖️SAKEPA®”宴”コラボイベント開催決定!
ゲストに福禄寿酒造代表・渡邉さんにお越しいただき、作り手の話を聞きながら日本酒を楽しめる唯一無二の食体験を楽しめます。
★当イベントは事前申し込み制です。下記サイトで新規登録の上、チケットをご購入ください★
https://www.sakepa.jp/blank/dai1kaisakepa-under30
日本酒が大好きな人から、日本酒に興味があるけど踏み込めていない……という方まで楽しめるイベントとなっております。TABETAIのイベントに初参加!という方でも、スタッフがフォローしますのでご安心ください。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
—-------- イベント情報 —--------
日程
2024年2月18日(日)16時〜18時(15時半開場、10分前にはお集まりください)
会場
シュラスコ&ビアレストラン ALEGRIA Kagurazaka(アレグリア神楽坂)
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4丁目3 神楽坂楽山ビル 4F
(お店HP https://alegria-kagurazaka.owst.jp/)
参加費
8,000円(税込) ⭐️日本酒飲み比べ+シュラスコ食べ放題(ソフトドリンク飲み放題)
2次会も開催予定(任意参加)
ゲスト:渡邉 康衛(わたなべ・こうえい)さん
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一白水成の購入方法のご案内
ネット販売は行っておらず、HIKOBEの施設での購入か、取扱店での購入をお願いしております。一下記へご連絡をいただくと、お住まいの地域など購入希望エリアの取扱店をご紹介いたします。
メールアドレス watahiko29610@cup.ocn.ne.jp
電話番号 018-838-1033
公式HP https://www.fukurokuju.jp/
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