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管理栄養士から角度を変えて食にアプローチ!イベントプロデューサー/饗場萌
合同会社NIPPON TABERU TIMES(ごうどうがいしゃにっぽんたべるたいむず、以下TABETAI)では、一次産業が好きで、各々の手段で一次産業に関わっているTABETAIメンバーを紹介する事で、一次産業に関わりたい人の関わりしろの参考になれば……と思い、メンバー紹介インスタライブを行っています。
現在、合同会社NIPPON TABERU TIMES(ごうどうがいしゃにっぽんたべるたいむす、以下「TABETAI」)にイベント事業部で マルシェや白鷹町のイベントを手がけた饗場萌(あいば・もえ、以下「饗場さん」)さん。
今回は饗場さんの生産者と消費者を繋げるイベント作りへの思いとこだわりに迫ります。
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管理栄養士からTABETAIへ
──饗場さんは元々一次産業や食に興味があったんですか?
饗場さん: 食にはもともと興味があり、食の方面に進んでいきたいなという思いが幼少期からありました。
あと、私の名字の饗場の「饗」には食べるという意味の「食」の字が入っているんですよ。饗場という名字には、食べ物やお酒で人をもてなす場という意味があるらしくて、名字の意味を知ってから何となくご縁を感じています。
──饗場さんが管理栄養士を目指したきっかけは何ですか?
饗場さん: もともと食べることが好きで、自分の健康のためにも栄養バランスを考えた食事を心がけていました。
そんな中で、食を通して人の健康をサポートし、食のスペシャリストとして病院や学校、会社の食堂など幅広い場で活躍できる管理栄養士という仕事に魅力を感じ、大学で栄養学を学ぶことにしたんです。
──饗場さんは大学時代、どのような経験をされていましたか?
饗場さん: 大学時代は食材や調理方法に関することから生化学や臨床心理、人の体、病気についても幅広く勉強をしていました。病院実習では、病気ごとに異なる食事療法について学びました。
授業や課題が多く忙しい毎日でしたが、時間を見つけてはよく旅行に行っていました。道の駅でその土地の食材や珍しい野菜を見るのが好きでした。
また、就職して一人暮らしを始めたことで、自分でスーパーへ行って食材を買ったり料理したりするようになり、食材への関心がより高まりました。
──饗場さんはTABETAIに入社する前は、どのような仕事をしていましたか?
饗場さん: TABETAIメンバーになる前は、介護施設で管理栄養士として働いていました。入居されている方の介護の度合いに合わせた食事の提供や栄養指導などを行っていましたね。
介護施設での食事は、入居者の方の病状や栄養状態に合わせてカロリーや塩分に加え、柔らかさやとろみ具合などを調整する必要があります。そのため、個人の嗜好よりも食形態や栄養バランスを重視したメニュー作りが求められました。
でも、食事は患者さんの楽しみの一つでもあるので、できる限り美味しく食べやすい工夫も大切にしていました。やりがいを感じていましたが、1年前により一次産業に近いところで食に携わりたいという思いから退職を決意。
六次産業化している農家レストランで働いたり、農家さんのところに長期で泊まってみたり、現在はTABETAIでいろんな農家さんのところに行ってみたりしています。
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饗場さんの農業体験記はこちら!
──饗場さんが食材や生産者に興味を持つようになったきっかけは何ですか?
饗場さん: 病介護施設で働く中で、食材の質が患者さんの食事満足度に大きく影響することに気づきました。新鮮で美味しい食材を使うことで、介護食もワンランク上の味に仕上げられるんです。
そこで、食材そのものにもっと目を向けるようになり、生産者の想いにも関心を持つようになりましたね。
今までは日々食べているものを消費しているだけで、生産現場は自分の生活とは全く関わりのない場所だと思っていました。しかし、生産現場に目をつけるようになり、もっと生産過程や生産者さんのことを知りたいと思うようになりました。
また、祖父母の家が長野の自然豊かな地域にあり、幼い頃からその場所が好きだったのでそちらの生活に少しでも近づきたいという思いもありました。
生産者の思いがこもったイベント作り
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──饗場さんはTABETAIでどのような仕事を担当していますか?
饗場さん: 現在は、TABETAIのイベント事業部で活動しており、白鷹町の関係人口創出イベントに携わっています。
あとはとうきょうグルメマーケットというマルシェイベントの企画・運営を行っています。
──饗場さんがイベント運営に携わるようになったきっかけや背景には何があったのでしょうか?
饗場さん: 大学時代に管理栄養士の勉強をしていたこともあり、もともと食べることへの興味が根底にあります。
また、みんなで一致団結して楽しめるようなイベントを作り、そこで人が喜んでいる姿を見ることにやりがいを感じています。
自分が裏方に回って場を作り、集まった人たちが楽しんでくれる様子を見守るのが好きです。食への興味と人の喜ぶ姿を見たい気持ちが、イベント運営に携わるようになったきっかけです。
──饗場さんがイベント作りにやりがいを感じるのはどのような時ですか?
饗場さん: イベント当日、生産者の方々と消費者の方々が直接交流している姿を見た時ですね。
生産者の方々が丹精込めて作った食材に対する思いを直接伝え、消費者の方々がそれに感銘を受けている様子を見ると、イベントを作って本当に良かったと感じます。
生産者と消費者の架け橋になれていることを実感できる瞬間です。
──饗場さんがイベント作りで大切にしていることは何ですか?
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饗場さん: 生産者の方々の思いに寄り添うことを大切にしています。食材への愛情だけでなく、地域への想いなども丁寧に汲み取るようにしています。
そうすることで、イベントを通してその地域の魅力を存分に伝えることができると考えています。消費者の方々に、食材を通してその地域を知ってもらい、興味を持ってもらえるようなイベント作りを心がけています。
──生産者と消費者をつなぐイベントにはどのような意義があると考えていますか?
饗場さん: 食と農を身近に感じてもらうことが大きな意義だと考えています。
普段スーパーで何気なく手に取る食材がどのように作られているのか、生産者がどんな想いで作物を育てているのかを知ることで、食や農業への理解が深まります。それが、地域農業の活性化や、ひいては持続可能な社会の実現につながっていくのではないでしょうか。
生産者と消費者が直接つながり、自分の食べているものに関心を持つことの大切さを、これからも伝え続けていきたいです。
マルシェを通して生産者と消費者を繋ぐ
──マルシェ(とうきょうグルメマーケット)を始めた当初はどのような状況でしたか?
饗場さん: 最初は時間もなく、未経験だったのでひたすらに勢いで走り続けていて、あまり覚えていないくらいです。マルシェが完成したイメージはできていましたが、そのために何をしたらいいのかがわからない状況からのスタートでした。
無事に成功して終わり、とてもいい経験をさせてもらったと感じています。
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とうきょうグルメマーケットの詳細はこちら↓
──2回目のとうきょうグルメマーケットではどのような変化がありましたか?
饗場さん: 2回目は出店者数が増えて田町エリアの飲食店さんの出店もあり、確実に1回目よりイベントとしての質が上がったと思います。出店者同士の交流があったのも嬉しかったです。
──とうきょうグルメマーケットではどのような役割を担っていますか?
饗場さん:主に出店者さんとのやりとりを担当しています。募集のための要項作り、募集〜当日までの連絡、質問対応、出店者交流会の企画運営などです。完成したチラシを自転車で出店者さんの実店舗に配りに行ったりもしました。
大変でしたが、それぞれの出店者さんとゆっくり話せる機会になったので実りある時間だったと思います。
──饗場さんがイベント運営で大切にしていることは何ですか?
饗場さん: 生産者と消費者をつなぐこと、食への関心を持ってもらうことを大切にしています。また、出店者の方々に「また出店したい」と思ってもらえるようなマルシェを目指しています。
具体的には、マルシェの一角にステージを設けて、それぞれの生産者さんのPRができる場ができたらと考えています。
せっかく生産者の方が都内に来てくださっているので、生産者の方が自身の商品の魅力を発信できるような場づくりをしたいです。
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──生産者と消費者をつなぐイベントを作ることについて、饗場さんはどのように考えていますか?
饗場さん: 生産者の方々は普段畑で仕事をしていて、実際に消費者と話す機会があまりないと思います。同様に、消費者の方も生産者と喋る機会はなかなかありません。
だからこそ、イベントを通して両者をつなぐことで、お互いにとって普段無い気付きが得られるのではないかと考えています。生産者さんの想いを消費者に直接伝えられる場を作ることで、より深い理解と共感が生まれると信じています。
関係人口創出で地域活性化?!山形県白鷹町
──饗場さんは白鷹町とのイベントにも関わっているそうですが、詳しく教えてください。
饗場さん: 白鷹町とは、昨年から、関わりを持つようになりました。関係人口の創出や移住者を増やす事業の一環として現地や都内でイベントを開催しています。白鷹町の魅力を都市部の人々に伝え、町との繋がりを作る活動に携わっています。
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白鷹町のイベントレポートはこちら↓
──饗場さんは、白鷹町でのイベントに参加してどのような感想を持ちましたか?
饗場さん: 率直な感想としては、お仕事ではあるんですけど、白鷹町を知ることができたのがすごく良かったなと思っています。そもそも山形が初上陸だったんですよ。行ってみたら、本当に魅力がたくさんあることがだんだんわかってきました。
白鷹の皆さんの「白鷹町のことをもっと知ってほしい」という想いが伝わってきて、私たちも伴走して首都圏の方々にその想いを伝えていけたらと思って携わっていました。
──白鷹町に行ってみてどうでしたか?
饗場さん: 実際に白鷹町を訪れてみると、自然豊かでのどかな雰囲気が印象的でした。
町中を流れる最上川の景色が美しく、都会では味わえないゆっくりとした時間の流れを感じられます。何より、おいしい農産物がたくさんあって食べ歩きが楽しかったですね。
──白鷹町の人々の印象はどうでしたか?
饗場さん: 白鷹町の方々はとても笑顔が素敵で、親切な方ばかりでした。私たちを温かく迎え入れてくださり、白鷹町の魅力をたくさん教えてくれました。
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──白鷹町で印象に残っている人はいますか?
饗場さん: トマト農家の土屋明美さんですかね。やまのえくぼというトマトを作っている明美さんは、全女子が憧れるお姉さん的存在です。
ツアーの中で一緒にご飯を食べた時も、人生相談のような話にまで発展して、ひたすら話を聞いてアドバイスをしてくださいました。
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ご自身で生産しているトマトやお米への思いも熱くて、本当に素敵な方です。来年は田植えや稲刈りにも行きたいと思っています。
そんな白鷹町の生産者の方々の思いを、たくさんの人たちにも伝えていきたいと思っています。白鷹町との関わりを通じて、地方と都市部の交流を促進し、お互いの魅力を再発見できるような活動を続けていきたいですね。
──東京で開催したとうきょうグルメマーケットでは、白鷹町の方々も参加してくれたそうですね。
饗場さん: はい、とうきょうグルメマーケットに出てくれたのがすごく嬉しかったです。
白鷹町の魅力を東京の人たちにも知ってもらいたいと思い、白鷹町の生産者の方々にお声がけをしました。
当日の販売では、ほとんど全部売り尽くしてくださり大人気でした。白鷹町のファンをもっともっと増やしていきたいと思います。
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イベントの力で食と生産者の魅力をもっとみんなに!
──饗場さんは今後どのような活動をしていきたいと考えていますか?
饗場さん: 私は今後も、生産者と消費者をつなぐイベントを企画・運営していきたいと考えています。とうきょうグルメマーケットでは、生産者の方々の想いを消費者の方々に直接伝えることができます。
生産者と消費者が直接交流することで、お互いの理解が深まり、より良い関係性が築けると信じています。このようなイベントを通して、地域の活性化にも貢献していきたいですね。
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──饗場さんが今後やりたいと考えているイベントの内容を教えてください。
饗場さん: せっかくイベント企画をやらせてもらっているので、消費者が生産の現場に触れるきっかけ作りを目的としたイベントを企画していきたいです。収穫体験などを通して、自分の食べているものへの関心を高められたらいいなと思っています。
各地域には素晴らしい食材や伝統があります。それらを発掘し、イベントを通して多くの人に知ってもらうことで、地域の魅力を発信していきたいですね。また、子供向けのワークショップなども企画し、食や農業への関心を高める活動もしていきたいと思います。
──2025年はどんなことをしたいと考えていますか?
饗場さん: 2025年は、白鷹町との連携をさらに深めていきたいですね。白鷹町の魅力をより多くの人に知ってもらえるよう、新しいイベントの企画にも挑戦したいと思います。
また、他の地域とも連携し、TABETAIのネットワークを広げていければと考えています。様々な地域の生産者や関係者とつながることで、新しいアイデアやヒントが得られるはずです。
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──饗場さんは今後、TABETAIの活動を通してどのようなことを目指していますか?
饗場さん:消費者にとって、生産者さんや生産現場をより身近な存在にしたいです。イベントを通して生産現場を知るきっかけを作ったり、より生産者さんの魅力を伝えられるような工夫をしていけたらと考えています。
──農業や食に関心を持つ若い人たちに向けて、饗場さんからメッセージをお願いします。
饗場さん: 農業や食に関心を持つ若い人たちには、ぜひ自分の感性を大切にしてほしいと思います。食を通して人と人がつながる喜びや、生産者の想いに触れる感動は、かけがえのない経験です。
そうした経験を積み重ねることで、自分なりの価値観や生き方が見えてくるはずです。私自身、管理栄養士としての経験や農家さんを訪れた経験が、今の活動につながっています。
皆さんも自分の興味や関心を大切にし、食や農業の分野で活躍してくれたら嬉しいです。一緒により良い社会を作っていきましょう!
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他TABETAIメンバー紹介記事はこちら
2025年3月にマタギに会いにいけるイベント開催!!
詳細・申込みはこちらからご覧ください。
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