悲しくったってごきげんになれる揚げたてチーズ春巻き
私は家事代行でお料理の仕事をしています。
一般のご家庭へ訪問し、キッチンに入らせていただき、お料理をすることで、日々の暮らしのお手伝いをしています。
今回はいつもお世話になっているお宅のお子さまとのエピソードです。
笑顔になれちゃうレシピ付き。
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いつものように、定期的に伺うお客さまのお宅でお料理をしていたある日。
普段は奥さんだけが在宅のことが多いけど、その日はいつもより少し早く帰って来た子供たちがいて、なんだか賑やかな昼下がりでした。
しばらくすると、なにやら喧嘩をしているような声が。そしていつも明るく元気で、しっかりものな小学校高学年のお姉ちゃんが、ワンワン泣きだしたのです。
どうやら妹さんに、ゆずらなければいけないものがあったよう。
「いつもそうじゃん!わたしばっかり!」
という言葉から、お姉ちゃんとしての日々のガマンの積み重ねが爆発してしまったのかなと想像しました。
普段はあまり見ない姿に、ちょっとびっくりしてしまうほどだったので心配しながらも、わたしは黙々とお料理を続けていました。
そのあと、妹さんは外出したようで、おうちの中はちょっと静かになって、わたしの料理する音だけが響いていました。
そしてちょうどチーズがたっぷりの春巻きがこんがり揚がったところに、目をはらしたお姉ちゃんがひょっこり現れた!
思わず、「おやつにどう?」と勧めると、とても嬉しそうに食べてくれて、みるみるうちに、ニコニコ笑顔でご機嫌になっていったのです。
揚げたてはその時、その場にいた人の特権。
「こういう時くらいはお姉ちゃんだからって遠慮しなくていいんだよ!」
と心の中では思いながら、
「少しはみんなの分も残しておこうね!」
なんて言って私も笑いながら、あったかい気持ちでいっぱいになっていました。
つらい悲しい気持ちでも、おいしいものを食べたら笑顔になってしまう。
わたし自身、それを小さい頃からこれまで何度も経験してきました。
誰かがわたしをご機嫌にしてくれたのと同じように、自分にもおいしいもので人を笑顔にできたことが本当に嬉しかった。
お客さまの暮らしの中には楽しいこともあれば、辛いことも悲しいこともある。そんな日常に受け入れてもらって、料理をする。
それは身体だけじゃなくて、心の支えのようになれることもあるのかもしれない。
改めて家事代行の料理はやりがいのある、あったかい仕事だなぁと思えました。
この春巻きは、野菜も全然入ってないようなジャンクすぎるものだったけど、どうか泣いてたあの子の心の栄養になっていますように。
これからも、ご家庭に合ったお料理を考えてお作りすることで、心も体も元気に過ごせる心地よい日常づくりのお手伝いがしたいなぁと思っています。
泣いてたあの子が笑顔になったチーズ春巻き
①茹でてつぶしたじゃがいもとベーコン(またはハム)、それからチーズを、春巻きの皮にバランス良く乗せて、具がはみ出さないよう、隙間がないように注意して巻く。
②小さめのフライパン全体に行き渡るくらいの多めの油を敷いて熱し、春巻きを2−3本ずつ両面こんがり揚げ焼きする。
※時間をかけすぎると破れたりするので、1-2分でささっと仕上げる。
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