ヒガマツ大学
「牡蠣をやっていれば、 負ける気がしないっすね。」 2012年5月に初めて会った彼の印象は、先端はギザギザに尖り、表面はゴツゴツとした硬い殻を身にまとっているように見え、あの時彼が手にしていた牡蠣と重なって見えた。短い会話の終わりに「これ食べてみて下さい」とその牡蠣を渡された。帰宅し食べてみると、その硬い殻の中からは真っ白で、とても甘くて優しい味をした身が出てきた。彼の尖った印象から一転、初めて牡蠣が美味しいと、驚き感動したのを鮮明に思い出す。 彼とは、東松島
「一番こだわっているのは、 やっぱり味っすよ。」 2015年1月6日。「第六十七回宮城県奉乾海苔品評会」の審査会が、塩竈神社にて朝から行われた。この日の審査会には、たまたま海が時化て作業が休みになり、見学に来た海苔漁師津田大(ひろし/28)が僕の隣にはいた。審査会に立ち会い、審査結果を待つ間「品評会では、海苔の色やツヤや香りで判断をしているけれど、作り手として一番こだわったのはどれ?」と聞いてみた。その答えが冒頭のあの言葉。自ら丹精込めて作り、選びに選んだ海
「作ってて言うのも何ですが、やっぱり食べて美味いんですよ!」 平成5年の大冷害の年に、ほぼ全滅していた田んぼから、たった3本だけ生き残った稲穂が東松島市で発見された。その稲穂はササニシキの突然変異で、発見した人には当日雲の切れ間から光が田んぼに差し込み、輝いて見えた事から、その稲には“天より授かりしお米“「かぐや姫」と命名された。 一時は旧矢本町の特産米になるなど、華やかなスタートを切ったにも関わらず、現在では市内を含め宮城県内でもたった一人の生産者となった農家木村正明(3
「えぇっ!!それ本気ですか?」 この記念すべき“東松島食べる通信”の創刊号の特集で、真イワシを取り上げたいと打診した時に言われた言葉。大きな笑い声とは裏腹に、毎年イワシ漁をしていても、イワシが獲れる年と獲れない年の差は100か0、それだけイワシの群れが来ない事もある。下手したら10年待つ事も。それだけに数多くの漁船が集まるこの石巻湾でも一番の花形とされ、一晩で1億稼ぐ事もあるのが、このイワシ漁。聞けば聞く程、編集部としても魅力的だがリスクの高い食材。なんせ、獲れなければ皆さん