世話役会議REPORTー連携力を活かした食支援を目指してー(2/13開催)
たべぷろでは、参画するメンバーたち相互の情報共有、議論の場として隔月で会議を開催しています。今回は、2024年最初の会議の様子を簡潔にお届けします。私たちの活動の一端を、ぜひのぞいてみてください。
会議では、能登半島地震での災害支援における各団体の活動状況や、各立場から捉えた課題感を共有しながら、たべぷろ連携での支援の可能性について話し合いました。
能登半島地震での「食と栄養」支援状況と課題
2024年に入って初の会議ではあるものの、発災後の急性期から連日にわたりメールなどで情報共有を重ねてきたメンバーたち。日々明らかになっていく被害状況、また変化していく各地での避難状況と、避難所や医療機関での物資支援内容や食事状況を把握しながら、必要な支援を迅速に届けられるようそれぞれの活動を続けています。
「支援の手引き」の活用とたべぷろ連携による支援
被災現場で活動するメンバーや災害NGO結とのオンラインミーティングでタイムリーな報告を受けることにより、被災されている方々に出来る限り寄り添う支援を模索した1カ月半。過去の災害支援時の経験と知恵を活かした味の素ファンデーション(TAF)のレシピの共有や栄養啓発を行い、また炭水化物に偏りがちな避難所での食事の栄養改善を図るため、たべぷろメンバーである森永乳業、日本ハムをはじめとした食品メーカーと連携し、不足しがちなたんぱく質やビタミンなどの栄養素を補える製品を、現地で活動している災害NGO結、ピースボート災害支援センター(PBV)、レスキューストックヤード(RSY)などのNPOに届けるなど、現地のニーズに合致した飲食物資支援を進めています。
たべぷろは、民間組織や個々人から、彼らができうる支援についての問い合わせも多く受けました。その際に役立ったのが、「災害時の食と栄養 支援の手引き」(2021年たべぷろ制作)です。公助には限界がある実態や「食」だからこそ民間との連携による多岐にわたる支援の可能性があること、気を付けるべきポイントなどを知ってもらうことで被災地支援への参加を後押しできる実用的なツールとして、今後も積極的に発信していきたいと思います。
これらは、「いつも」の啓発活動における、たべぷろ所属団体の相互のコミュニケーションが、「もしも」の実際の支援の場でも活かされていることを実感する連携となっています。その一方で、2/13の議論では、物流条件(輸送路確保など)といったインフラ状況や被災地域ごとに異なる細かなニーズに対応する、量的にも質的にも適切な物資支援を可能にする仕組みづくりの必要性が今後の課題としてあがりました。
また、たべぷろメンバーからの紹介により、サステナビリティに配慮したレストランを営む料理人たちによる組織・日本サステイナブル・レストラン協会(SRAJ)との連携も生まれました。SRAJに所属し、今回の地震で被災した輪島市の料理人と、全国に散らばる協会メンバーたちが連携しながら炊き出しを進めていくにあたり、たべぷろからは衛生面・栄養面での専門的なアドバイスと食材手配のサポートなど、SRAJの温かくておいしい、栄養バランスの整った食事支援の後方支援を行っています。
この連携を機に、制約環境下でも限られた食材でおいしい料理をつくることができる料理人との連携による食支援の仕組みづくりの可能性について、また災害時の食と栄養の問題解決に役立てるエビデンスづくりにおいて、発展的な議論がスタートしています。
栄養状況の改善に向けて
本会議では、炊き出しが一度も行われていない地域があったり、1日の食事の回数が不足している避難所があったり、と格差が見られる実状とともに、まだまだ重要視されていない栄養面の改善についても話し合いました。
そして、栄養不足状況が長期化することで起こりうる災害関連死を防ぐためにも、災害時の食の栄養改善の重要性を、国や行政はもちろんのこと、一般市民に向けても指摘し続けていく必要性を再確認しています。
前述の「災害時の食と栄養 支援の手引き」の監修者で、災害栄養研究のトップランナーとして尽力されている坪山(笠岡)宜代先生(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)の研究室では、能登半島地震特設ページを公開されています。災害栄養に関するQ&A本も期間限定で無料公開中なので、必見です。
求められる行政とのスピーディな連携
日本栄養士会においては、*災害支援チームJDA-DATが能登に入り、栄養アセスメントに対する支援を続けています。各地域の行政栄養士との連携のもと、今後さらに、要配慮者支援が進むことが期待されます。
民間による飲食物資支援や人的な支援がよりスムーズに迅速に行われるためにも、行政とのスピーディな連携は恒常的な課題です。「いつも」からの官民連携の促進も含めて議論を続け、必要なアクションをとっていきたいと思います。
「いつも」と「もしも」をつなぐフェーズフリーの重要性
各メンバーは、それぞれの活動現場において、これまで以上に災害を自分ゴトに捉え、「いつも」の地域内ネットワークづくり、世代を超えた関係性づくりに目を向ける人が増えている手応えを感じています。
今回の能登半島支援で得た気づきが風化してしまわぬよう、支援と同時進行で日々の啓発活動にもより一層力を入れて、「いつも」の食との向き合いがそのまま「もしも」にも活かされていくフェーズフリーのアプローチを多くの人達と共有していきたいと思います。
世話役会議での議論や実際の取組みについて、これからも定期的に記録していきます。ぜひご注目ください。
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今回の会議には欠席しているものの、たべぷろの中心的役割を担う、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)やPBVのメンバーたちは、元旦から能登の被災現場に入り、行政やNPO等民間団体と連携しながら災害支援を続けています。
ぜひ、彼らのSNSをフォローいただき、被災地でどのような支援が行われているのか、関心を寄せていただけたらと思います。
JVOADは、国や被災地域自治体など関係機関と緊密に連絡を取り合い、全体の状況を把握し、各地の災害中間支援組織から人的サポートを得ながら、もれ・むらがない支援体制を目指してコーディネーションを行っています。
PBVは、人と寄り添うことをモットーに国内外の被災地域で機動力高い支援を行っています。能登では、フードトラック「FooBour(フーバー)」が出動し、炊き出しによる食支援も強化しています。
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