東北の今を見に行く2021~リスタート~ #2
2日目。この日は朝6時に亀戸駅を出発。あまり眠れてないだけあってか、今日が何月何日かさえもおぼろげになる。
中央総武線に乗り秋葉原へ戻り、京浜東北線で上野へ。上野からは水戸を経由して福島県の南部にあるいわき市へ。
6年ぶりに訪れたあの店は今
まず最初に訪れるのはいわき市久之浜地区。
久之浜を訪れるのは実に4回目になる。ここには老舗の中華料理屋・からすや食堂があり、ここで食べる親子丼の味とおかみさんの陽気さにすっかり虜になり東北の旅では必ず寄るようにしている。
お店は津波により全壊。過去3回訪問した当時は仮設の復興商店街のひとつだったお店も2017年に晴れて常設の店舗に引っ越した。
常設になってからはまだ未訪問。そして6年ぶりである。車窓から見覚えのある景色を見ているうちに、なぜか緊張してきた私がいたのである。
駅のホームから出て辺りを見渡すと、6年の時間の経過を感じとることが出来た。完全にタイムスリップした気持ちになる。
からすや食堂は駅から歩いて3分ほどにある浜風きららという商業施設に隣接している。交差点を渡り、からすや食堂の建物が見えてきたころには緊張がピークに。
席に着き、親子丼を注文。店内は木をふんだんに使ったぬくもりのある雰囲気。壁にはたくさんのサイン色紙と仮設商店街時代に書かれたサインの写真が大きく展示されていた。人気店であることを改めて実感する。
10分後、親子丼がテーブルに運ばれてきた。女将さんが「ゆっくり食べてくださいねー」と一言。えぇ。猫舌なのでゆっくり食べますとも。
さっそく一口頂く。鶏肉と甘めの醤油が相まっておいしい。食べ進めていくとさっきまでの緊張がゆるみ、いろんなことを思い出して今度は泣きそうになってきた。情緒不安定である。
嬉しさのあまりご飯粒も残さず完食。おかみさんにどこまて行くのか聞かれて「青森」と答えたらびっくりされたのだが、18きっぷで大阪から青森まで行く人ってやっぱり変なのか。
帰り際に「久しぶりに来れてうれしかったです。またきます」と告げると「また来てね」と笑顔で一言。だから・・・。ここを好きになれる。
仙台方面へ行く電車の時間まで余裕があったので近くの神社に訪問。この神社は一体を襲った津波にも耐え、震災前から残る貴重な建築物である。実はここも過去に訪れたことがある。その時は何もない荒地が広がっていたが、周囲には真新しい建物が立ち、すっかり街中に溶け込んでいる。東北旅の無事を祈願し、駅へと向かった。