詩:ぼくら宇宙になれるかな
よ、よ、よるの水槽で
まぶたをなくした、テトラの夢
ぼくたちは空っぽの天国で
硝子の破片を
抱いたまま眠る
ぴかぴか光る稲妻を
まぶたのうらに刺しておき
手首に傷を保つためだけのかぎづめを持っているから
なくした思い出がほら
いま、ひかりを放つ
けむった空気の中で目を覚まし
誰しもが肌色のふくろに押し込まれる様を見つめている
ぼくたちはいつか骨になり
素焼きのまんま土に埋められ
か、かぎづめは、枯れた草むらの中で漂白され
野良猫は、にゃあ、真珠色のそれを咥え去っていく
ぼくたちは不安定な宇宙飛行士
果てのないチューブに繋がれたまま
真空をまさぐっている
ひかりに洗われたまま
た、退化したしっぽをぴんとはりはり
にゃあ、星の祈りにじっと耳を澄ましている
ぼくたちは雨の日はなんにも食べない
呼吸をし、裸足のまんまで歩いてゆく
銀河のこだま/草原のため息/ぼくの骨/
透明なかぎづめ/孔雀石の苦悶/退化したしっぽ/
天使の輪/孤独なんていうものは/愛のホログラフィー!
ぼくたちは足の裏で世界を確認
どこまでも歩いてゆく
ぺたぺたり
世界はリノリウムと見た
ざらざらり
コンクリートかもしれない
ごつりごつり
そういえばだけど
ずっとずっと前
ぼくたちは本当に子供だった
ランドセルに学校の兎を入れて
家までスキップして帰ったあの日