青島中国人民解放軍海軍博物館参観レポート①
中国山東省青島にある中国人民解放軍海軍博物館へ2月に見学に行ってきたのでそれのレポートです。
このレポートはあくまで2024年の2月時点のものです。現在はもう展示が変わっている可能性があります。
北京にある中国人民革命軍事博物館に比べればマイナーですが、人民解放軍の海軍をメインにした唯一の博物館であり、青島観光の目玉でもあります。
博物館は1988年に建築が開始され、1989年に一般開放されました。陸地面積は約9.5ヘクタール、海上面積は約15ヘクタールです。2021年には改装されて新しくなり、現在は海軍の貴重な文物一万点余りを収蔵する国家一級博物館となっています。
博物館の展示は館内だけではなく、館外にも広がり、陸上兵器や海上艦艇の展示もあります。
展示は陸軍が主に中華民国時代から始まるのに対して、海軍ができたのは第二次国共内戦中なので日本人にとっては喜ばしいことに抗日関係の展示はありません。
展示棟は、地下一回地上三階で主に三つの展示場があり、それぞれのテーマは、
・社会主義革命と建設時期
・改革開放と社会主義現代化建設の新時期
・中国の特色ある社会主義の新時期
になります。
今回は、正面ではなく後方の別の入り口から案内されたので、まず野外の艦船と陸戦兵器から解説していきます。
入ってすぐあったのは、海軍陸戦隊所属だった59式戦車、キャプションがないのが悲しい。ただ近くまで寄れるので楽しいです。
視界悪そう。
奥が海軍博物館
青島の高層建築とのミスマッチ感がすごい。
なんか四台もあった。
小型艦船区画、中国が唯一自主建造したホバークラフト。昔は中へ入れたらしいが、老朽化のためか今は入れないばかりか周りの植栽がすごくて写真撮るのも難しい。
後ろ姿。
解放号砲艦、もとはアメリカの上陸測量皖で戦後中華民国へ移管されたものを人民海軍が鹵獲したらしい。民国海軍との回線も経験した殊勲艦。
魚雷艇、ソ連の魚雷艇を参照にして中国が建造した魚雷艇。
魚雷管が目立つのが古めかしい。
魚雷艇、健軍30周年記念の観艦式の時に周恩来がこの船に乗ったらしい。
中国が建造した第一世代の快速魚雷艇。
6621型快速ミサイル艇のネームシップ、シリーズで120席ほど作られて海外にも輸出されたらしい。
小型艦艇展示区の看板。
中国の原子力潜水艦長征四号のスクリュー。
潜水艦、内部が見学できるのだが、残念ながら時間がなくて断念。
左が長城200号潜水艦、ソ連から供与された攻撃型通常動力潜水艦である。右側は長征一号、攻撃型原子力潜水艦である。見学は予約が必要。
後ろから艦全体を見る。年代が年代だけにどちらも古めかしい形をしている。
巨浪一号弾道弾、中国初の潜水艦発射型固形燃料弾道弾。小さくてかわいい。
ソ連式の機銃かわいい。
180ミリ沿岸砲、もとはソ連軍の巡洋艦搭載砲だったが、1955年にソ連軍が旅順から撤退するときに引き渡されて沿岸砲として渤海海峡の防衛に使われた。
海軍英雄広場のモニュメント、デカい剣である。
海上艦艇の展覧区
手前から、長江号、鞍山号、鷹潭号、済南号。
時間がなくて残念ながら長江号、鞍山号は見学できず。次回に期待したい。
桟橋が案外長い。
海上艦艇は予約なしで見学できる。
済南号は中国が建造した第一世代駆逐艦のネームシップであり、70年代から活動した。朱徳、葉剣英、鄧小平などが乗船したことがある。1979年にこの船に乗った鄧小平は、強大で現代化された戦闘力を持つ海軍を建設せよと指示したことは有名である。そのためこの艦は現代化された国防装備建設の道を切り開いた先方という称号を与えられている。2007年に退役し、2008年より博物館で公開されている。
甲板。
博物館の裏面。
軍艦乗ったの久々なのでたのしい。
艦砲の砲塔内部の見学もできる、子供の遊び場になってた。
手前が鷹潭号で奥が鞍山号。
砲弾を送るレール。
照準の席。小さくて座り心地は悪そう。
ガラスで熱い。
下にも座席が一つある。
鷹潭号、中国が自主建造したミサイル護衛艦で鄧小平、江沢民、楊尚昆などが乗船した。1988年に南沙諸島における戦闘において功績を上げて殊勲艦となり、94年の退役以降博物館で展示されている。
対潜水艦弾発射機。
艦砲、ごりっぱ!
79式100ミリ艦砲、中国製造の第一世代艦砲、海上陸上の目標どちらでも攻撃できる。
61式連装37ミリ対空機関砲、低空の航空目標に対して使用される。
球団装置がスターウォーズみたいでかっこいい。
時間がないので涙を呑んで長江と鞍山の写真を撮る。
左がソ連から導入された69式30ミリ連装機関砲、香港駐留部隊の艦に搭載されていたものらしい。
右は海紅旗-7で艦対空短距離ミサイル。
海軍陸戦隊の装備展示区
飛行艇
海軍航空隊の装備も展示している。
レーダーや地対空ミサイル。海軍の沿岸防衛用装備である。
SY-1改レーダー指揮車、自走して敵を探して弾道弾に対して目標を指示する。
SY-1改弾道弾発射車、63式戦車の車体に対空ミサイルを乗せたもの。
ちょっとミサイルの形状が古臭い。
SY-2対艦ミサイル発射台沿岸陣地においての防衛で使用されるらしい。
63式37ミリ連装対空機関砲、ベトナム戦争でも活躍したらしい。
上から全部を見る。近寄れなくて残念。
沿岸砲の展示。
昔の艦砲の内部。
イリューシン14型輸送機。1958年にソ連より送られた。海軍司令官の蕭勁光の各地への移動を助けたり、災害救助にも使われた。
HZ-5(轟偵五)は、中国製長距離写真偵察機で航空偵察任務の需要の増大からソ連のIl-28の設計をもとに作られた。
jj-6、j-6を改造して作られたジェット練習機、MiG-19の中国生産版である。
j-6、上の練習機の改造元の戦闘機。
Z-5ヘリコプター、ソ連のM-4ヘリの中国生産版である。
J-7戦闘機、MIG-21がもとになっており、防空、制空任務のほかに対地攻撃も可能である。
J-8戦闘機、上のJー7を双発機にしたもので中国の自主製作ジェット機の初めである。
H-5上にあげた偵察機型の原型である。この機体は山東半島上空で国民党の偵察機を撃墜するなどの功績で表彰された。
ソ連のYak‐18を導入した複座練習機CJ-5。
Y-5、ソ連のAnー2型輸送機の中国版、広範な軍事輸送や訓練で活躍した。
JH-7ⅱ、中国初の、双発、複座、超音速の戦闘爆撃機である。大中型水上目標及び陸上目標の攻撃ができる。
J-8DF、中国の全天候型の戦闘爆撃機、海の衛士の称号を受けた王偉烈士の生前乗っていた機体でもある。
J-5、MiG-17の中国生産版で、この機体は海南島上空で米軍偵察機を撃墜した功績を持っている。
Z-8フランス製のヘリコプターで運輸、捜索、対潜、掃海などの任務で使われている。
JZ-5偵察や着弾観測任務などで使われた。
Q-5攻撃機、MiG-19の改良機、対地、対海上攻撃に用いられた。
An-24ソ連のアントノフ設計局の開発した輸送機で、輸送任務で活躍した。
航空機展示場、迷彩機がなくみんな銀無垢である。
でかい飛行艇と艦船をいっぺんに見れて満足です。
海軍陸戦隊仕様の青色迷彩のT-34、建国当初西沙諸島の陸戦隊に配備された。
63式A式水陸両用戦車、105ミリ反動砲を装備し、火力と良好な水上移動能力、防護力を有する。98年設計、2001年配備開始。
飛行機とのツーショット。
63C式履帯式装甲輸送車、63式装甲兵員輸送車をもとに、航行速度と対波浪性能を高めたもの。98年設計、2001年配備、戦闘島嶼への兵員輸送へ用いられる。
前の波除板がでかい。
航行用エンジン、ほぼ漁船とかのあれである。
86B式水陸両用歩兵戦車。上陸作戦の需要により、86式歩兵戦車より改造されて作成された。73ミリ滑腔砲を供える。戦闘人員の島嶼への輸送に用いられる。2001年設計2002年より配備。
05式水陸両用戦車、105ミリ砲を供えており、比較的高い水上性能と指揮能力、火力を供え、島嶼への上陸作戦へ使用される。2005年配備。
後ろから。
水陸両用戦車は通常と逆の全面走行の形で面白い。
次回は館内の第一展示室をやります。