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「本屋」=「反戦」私なりの方程式/渡慶次美帆(仕事文脈vol.24 特集1「反戦」と仕事 寄稿)

 二〇一八年二月から、沖縄本島南部・八重瀬町で「くじらブックス&ZouCafe」という小さな本屋&カフェを営んでいる。那覇空港より車で約二〇分、近年土地や道路の整備が進み、著しく発展している町だ。と同時に、沖縄戦のとき避難場所として使用されたガマ(自然洞窟)など戦跡が多く残っている町でもある。うちいくつかは整備・保存され、ガイドによる解説付きで平和学習等に活用されている。そんな八重瀬町で店を経営する以上、今回のテーマ『「反戦」と仕事』については無意識に(しかし常に)考え続けてきたように思う。そこで、実際店づくりする時に意識している二つのキーワード「県産本」と「場づくり」について今一度、突き詰めて考えてみたい。突き詰めたその先で、私の中にある『反戦」と仕事』のつながりが見えるかもしれない。一つ一つ順を追って、解き明かしてみたい。

 まず、「県産本」。沖縄について書いた本を大まかに「沖縄本」と呼ぶことがある。その中で、県内出版社が企画・編集・販売した本を「沖縄県産本」と言う(※1)。県内ほとんどの書店にコーナーが設けられ、まとめて展開されている。ジャンルは年中行事の作法・料理など実用書から、硬軟含めた歴史書や学術書、自費出版の個人史、自治体が編纂する戦争の証言集や市町村誌など、本当に多岐に渡る。現在も毎月新刊が発行されており、ある出版社によればそのほとんどが県内で販売・購入されているらしい。さらに人気の本は新刊が売り切れた後も古書として流通し、何年も定番書として読み継がれていく。見事な地産地消、SDGsと言える。

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