中国語の時間/山本ぽてと(仕事文脈vol.21)
渋谷駅から道玄坂の方に向かって五分ほど歩くと、人びとが列をなしているのが見える。大学生らしい若者たち、四〇代くらいの女性、高齢の男性もいる。年齢も性別もさまざまだ。列を整理しているスタッフが掲げる看板を見ると「中国語検定受験会場」とある。いろんな人が中国語を学んでいるんだなぁと思いながら、私もその列に並ぶ。
「中国語勉強しない?」
と言ったのは、間借りしてる事務所にいるヤマタさんだった。二〇二〇年の秋ごろのことで、新型コロナウィルスの流行が続き、なんの見通しもないまま冬を迎えていた。その見通しの立たなさに、一緒に仕事をする人たちが、心身ともにバランスを崩し始めていた時期だったように思う。事務所に行っても、なんとなく空気がどんよりと重かった。
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