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一人では何もできない。誰かのファーストペンギンとなり、村に若者の大きな輪を。
大学ラストイヤー、やり残していた地方創生への思いを抱いて。
村おこしに関わりたい。島根県の離島から次なる挑戦の地を求め、丹波山村へやってきました。
丹波山村に来て2か月、彼が丹波山村を通して感じたこととは?
関東一小さな村、山梨県丹波山村にやってきた若者たちの物語。
彼らはなぜ丹波山村にやってきたのか。
村で暮らし、働き、彼らが感じることとは。そして、丹波山村にかける想いとは。
村で活動する若者一人ひとりのストーリーをお届けします。
今回は、北野伸太郎さんにお話を伺います。
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大阪府出身 取材当時23歳
たばやま観光推進機構 所属
地方創生に興味を持ち続けて新たな地へー島根県の離島から丹波山村へー
自分の地元は、昔からだんじりや盆踊りなどの伝統行事が盛んでした。
でも、少子高齢化でその文化が衰退したり、引き継ぐ世代がいなくなることを目の当たりにして。地元が好きだから、その現状を解決したいと思い、ずっと地方創生に興味がありました。就活を終え、「最後になにをやり残したんやろ」と考えたとき、地方創生をやりたいと言いながら、実際に現場に足を運んでやったことがなかったことに気が付いて。
実は、一番最初は丹波山村ではなく、島根県の海士町という離島で過ごしていました。「地方創生」「短期間」と調べたら、休学期間中に行ける「大人の島留学」という制度を見つけて、参画しました。
海士町と丹波山村には自治体間の繋がりがあり、とあるご縁で丹波山村に来させていただくことになりました。以下の記事に詳しく書かせていただいているので、もしよかったら読んでみてください。
ーー東大生だったんですね。地方創生を学びたくて東大に入ったんですか?
いや、地方創生をやりたくて東大に入ったわけではなく、大学受験時は特にやりたいこともなかったし、入学後に学部選択ができる東大を目指しました。
最初は理科二類という理系の科類に入学し、高校まで好きな科目だった数学と物理を研究したいなとなんとなく思っていたのですが、大学数学や大学物理がどうしても自分に合わなくて。それ以上に、世の中でどのような仕組みでお金が回っているのかといった方に興味を抱くようになり、経済学部への文転を決めました。
地方生まれの自分にとって、地方ではどのような経済循環になっているのかが気になり、そこから、どのようなお金の循環を作れば地方創生に繋がるのかに興味を持ち、実際に現場に足を運んでみたいと強く思うようになりました。
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ーーそして丹波山村に来られたということですが、初めて来たときの村の印象は?
「何もない」というのが第一印象でした。コンビニもスーパーもない、商店も村に一つだけ。これまで大学生活を東京で過ごしてきて、やはり大きなギャップでした。
また、「寒いなあ」という気持ちも大きかったですね。自分の滞在場所は山に囲まれていて日があまり当たらなくて。16時を過ぎたら結構暗くなっています(笑)。
後は、若者が少ないなあと思っています。以前住んでいた海士町は、自分と同世代の若者がたくさんいたのですが、丹波山村に住んでいる若者は、地域おこし協力隊や自分たちのような人がメインで、母数は小さいですね。
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仕事と暮らしについて
ーー丹波山村に来て2か月弱がたちましたが、どんなお仕事をしていますか?
「たばやま観光推進機構」という一般社団法人に所属し、地方創生にまつわる様々なお仕事をさせていただいています。
具体的には、
・DXを用いたマーケティング戦略の検討
小規模な村ということもあり、例えば、この飲食店はどんな時間帯にどんな顧客が利用しているのか、といったマーケティングデータが少ない状況です。実際に、どこでどんなDXツールを用いたら必要なマーケティングデータが得られ、経済発展に繋がるのかを試行錯誤しています。
12月下旬には、岩手県大船渡市と宮城県気仙沼市という、DXを用いたマーケティングを実施している地域に視察に行き、どんなツールが現場で使われているのか、丹波山村に生かせるものはないか等を学んできました。
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・SNS等を用いた情報発信による村の認知度拡大
主に、instagramとnoteで情報発信を行っています。どういう情報を発信したら丹波山村に興味を持ってもらえるのか、どういった情報が求められているのか等を考えながら、より丹波山村を知り、深く関わってもらえるような広報に取り組んでいます。
また、最近では丹波山村とのタッチポイントを増やすため、丹波山村に隣接している東京の奥多摩町に自作のビラを置きに行きました。ビラを見て、少しでも丹波山村に興味を持ってくれる人が増えると嬉しいです。
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丹波山村の認知度拡大に繋げたいです。
・村の課題の掘り出し
丹波山村に存在する課題を可視化し、今後の解決に結びつけるための活動に取り組んでいます。具体的には、村民の意見や暮らしに対する心配事を集める、村民サロン的な場を運営し、告知用のチラシの作成から会場のセッティング、そして記録までを行っています。
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・宿泊施設のフロント業務の補助
たばやま観光推進機構が運営している「ワーケーション丹波山」という宿泊施設で、フロント業務のお手伝い(部屋のお掃除、シーツの張り替え等)も行っています。
ーーお仕事をしていて、大変だと思うことはありますか?
海士町との比較にもなってしまうのですが、やはり若者が少ないので、何か物事を進めようと思ったときに、まずは自分が主体性を持って足を運ばなければいけないところが大変ですが、裏を返せばやりがいを感じるなとも思っています。
挑戦できるフィールドは山ほどあるけど、地域との関係性の構築や、村に関する課題等の知識は自分にはまだまだ足りてない。だからこそ、村の様々な方のお話を聞いて、丹波山村の課題を知り、どの分野に挑戦したら地域活性化に繋がるかを考え、自分でその現場に行く。大学生の自分からすると、とても難しいことではありますが、それと同時にとても楽しいです。
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ーー仕事以外のプライベートではどんなことをしていますか?
体を動かすことが好きなので、ランニングをしたり、体育館の開放日に地域の方とバドミントンをしたりしています。最近はトレッキングにハマっていて、近くの峠を登山したりもしています。
1月の初めには、お松曳きといわれる村伝統のお祭りに参加しました。普段接することがあまりない方とも交流することができ、とても楽しかったです!noteに参加してみての感想を書いているのでぜひ読んでみてください。
働くなかで気付いたこと
以前いた海士町と同じく、やはり一番の気付きとしては、「実際に現場に足を運んでみないとわからないことがたくさんある」ということです。
就職活動時代も地方創生に携わりたいと思い、ネット等の情報で学んでいたつもりではあるのですが、実際に現場に来て地域の人の生の声を聞いてわかることがたくさんあるなと思います。
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丹波山村に来て、小学生から高齢の方まで様々な人と触れ合ううちに、「こんな悩みや心配事を抱えているのか」と思うことが何度かあり、実際それは地域の方と直接話してみないと気づけないことでした。そして、よりよいまちづくりに関わるために、もっと地域の方々と深く交流しないといけないなと身をもって感じました。
もう一点、気付いたことは、「自分はまだまだ無力である」ということです。
まだ大学生、ということを言い訳にしたくはないですが、何かしら自分がこの村の問題を解決して地方活性化に繋げたい!と思っていても、何から始めたらいいのか、どのようにその問題を解決するのか、知識や経験が足りず、いい意味でも悪い意味でも、「自分ってまだ何も出来ないちっぽけな存在だな」と思うようになりました。
こういう言い方をすると、いままで「自分は何でも出来る」と思っていた、と勘違いされるのですが、決してそんなことはないです(笑)。海士町にいたときも、自分の実力のなさを感じていましたが、たくさんの方々に支えられていました。いざ若者がもっと少ない丹波山村に来てみると、それをより強く感じるようになりました。
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海士町ではたくさんの人に支えられました。
若者が少ない丹波山村だからこそ、もっと主体性を発揮して頑張ります。
丹波山村でとある人物にあこがれて
丹波山村には、自分と同じく村の課題解決に挑戦する若者が何人かいます。その中の一人に、梅原さんという方がいらっしゃいます。
まだお会いしたことはないのですが、丹波山村の地域課題の一つでもある空き家問題に大学在学中から取り組み、卒業後は自ら起業して村で唯一の不動産屋さんを経営されています。
率直にすごいなという思いと同時に、自分もこれに続いて地方創生に深く関わって村民のためになることをしたいという思いが強くなりました。仕事がうまくいかないときでも、自分のモチベーションの源泉になっています。大学卒業までにお会いしてみたいな。
誰かのファーストペンギンになりたい
ーー大学を卒業した後のビジョンは?
卒業後は都内の会社に就職します。今ほど深く地方創生に関われるかといわれると、会社の仕事上そんなことはないと思うので、大学卒業後は会社の仕事に慣れることだけを考えています。ただ、地方創生に関わりたいという気持ちは強くあるので、もし何かのタイミングで関わることが出来るようになったら、またいつか地方創生の分野に戻ってきたいです。
ーーこれからどんなことを丹波山村でやりたいですか?
具体的にこの事業を大きくさせたい、というのはあまりなくて、どちらかというと、「自分と同じように丹波山村で活動する若者を増やす」ことを目標にしています。先ほど言ったように、「自分はまだまだちっぽけな存在」です。だからこそ、自分一人ががむしゃらに頑張る、というよりも、自分と同じように丹波山村で活動したいと思ってくれる若者を増やし、そんな若者の輪を大きくすることが、丹波山村に対する一番の貢献方法なのではないかと思っています。
だからこそ、今は「誰かのファーストペンギンになりたい」。世に向けて自分の活動を発信し、共感者を増やさないと、ただ真っ先に飛び込んだだけのペンギンになってしまう。自分が梅原さんを見て思いを抱いたように、今度は自分の力で誰かに「丹波山村という関東一小さな村で挑戦してみたい」と思わせられるようになりたいです。そのために、もっと今の活動、そしてその活動内容の発信に力を入れられるように頑張ります。
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ーー丹波山村に興味を持つ若者に伝えたいことはありますか?
そうですね、「何もない」ことが何かに挑戦する上ですごくやりやすいことだということを伝えたいです。東京などの都心部はものや人が溢れている。だから、何かに挑戦したいとなっても、挑戦したい分野がすでに確立されている可能性は大きくあると思います。
「何もない」からこそ、自分が何かを作り出すチャンスは大きくあると思っています。最初の0→1を作り出すのは大変ですが、そこに向かっての努力はかけがいのないものになると思います。是非、丹波山村というフィールドを一つの選択肢として選んでくれるととても嬉しいです。
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