シーバー病に対する治療戦略
こんにちは、だいじろう(@idoco_daijiro)です!
今回は『シーバー病に対する治療戦略』をお届けしたいと思います。
はじめに
シーバー病に対する治療戦略はアキレス腱炎に対するものがベースとなり、そこに成長期障害という特性を踏まえて、どう戦略立てていくかが重要となります。
ですので、まずは下記の記事を理解しておいてくださいね。
シーバー病とは
シーバー病とは成長期に起こる骨端症の一種です。
骨端症とは、成長期で骨が脆弱になるタイミングで活動量が増加することで、骨端核に付着する筋腱からの牽引ストレスに耐えれなくなったり、骨端核に直接的に外力が加わったりすることで、骨端線が損傷する疾病です。
前者は障害と捉えられますし、後者は外傷と捉えれます。
いずれも走ったり、飛んだりを活発に繰り返す9〜14歳の子どもに好発します。
シーバー病では、アキレス腱からの牽引ストレスやヒールコンタクトによる直達外力などが要因とされています。
踵部の側面や後面(踵骨隆起周辺)に圧痛が生じ、重症化すると熱感や腫脹が著明となります。
踵部への負担の大きい動作を繰り返すサッカー、野球、バレー、バスケ、陸上、険道などをやっている子どもたちに好発します。
レントゲン上では子どもの足は元々踵骨隆起部分が割れているように見えることもありますが、その骨片のようにみえるものが骨端核となります。
踵を強く打ったなどの外傷がある場合に稀に骨端核が割れてしまうケースもあるようですが、数はかなり少なく(私も一例くらいしか記憶にないです)、画像所見での判断というより、炎症所見として腫脹・熱感が著明であったり、臨床所見で荷重がまったくできないといった所見で判断されることが多いかと思います。
病態をまとめると、アキレス腱炎と同様のメカニズムで発症しますが、成長期という特性が相まって踵骨骨端核にストレスが加わることで、シーバー病が起こることになります。
治療としては「スポーツ休止」が第一選択となっているのがスタンダードなのではないでしょうか?
アンケートをとってみた結果がこちらです!
骨端症に関わる方々から103票投票いただき、そのなかでは
リハ有り:88票(85.4%)
リハ無し:15票(14.6%)
スポーツ休止有り:71票(68.9%)
スポーツ休止無し:32票(31.1%)
という結果でした。
整形外科勤務の方と整骨院勤務の方からの回答をいただきました。
85.4%の施設でリハビリが実施されていて、68.9%の施設がスポーツ休止という選択をされているようです。
「スポーツ休止」に関しては様々な見解があるかと思いますが、症状の程度に合わせてストレッチングやエクササイズ、運動量の調整を適切に行えば、スポーツを部分的に継続しながら、軽症であれば1〜2週程度、重症でも4〜6週程度で完全復帰が可能となります。
骨端症に限らずスポーツ外傷・障害では必要以上に「スポーツ休止」の指示が出されている現状があります。
※もちろん「スポーツ休止」が必要なケースはあります。
「なぜ過剰に『スポーツ休止』が選択されるのか」は別の機会に考察したいと思います。
続いて、シーバー病に対する評価について解説していきます。
シーバー病に対する評価
シーバー病に対する評価としては以下のような流れで行います。
▶情報収集
・年齢
前述した通り、好発年齢と合致するかどうかを確認します。
・性別
この年代では女児の方が成長が早いという特徴があります。
性別を確認しておくことが成長段階の判断の一助となります。
・身長
この年代では身長は個体差が大きい年代です。
そのときの身長を確認し、医療面接時に成長の度合いを確認します。
・体重
あまり多くはありませんが、体重負荷も踵部へのストレス増加の一要因となります。
▶観察
・歩行観察
病院に来られる際、待合室での過ごしている際、診察室やレントゲン室に移動している際、リハ室に誘導されてきた際、患者さんを診療ベッドに誘導する際の歩き方を観察します。
待合室ではキャッキャと普通に過ごしていたにも関わらず、リハビリ室では跛行が強くなるケースもあります。
また、親御さんが近くで見ているかどうかで歩き方が変わる子もいます。
何気ない歩き方から痛みの程度を判断していきます。
▶医療面接
医療面接であれば、本人と対面の面接と、親御さんを交えた面接をそれぞれ行うようにしています。
この年代であれば、親御さんがいることで回答が変わったり、親御さんが答えすぎてしまったりすることがあります。
あえて本人と対面の面接と、親御さんを交えた面接を行ない、ちょっとした空き時間に親御さんと対面での会話を入れることもあります。
様々な状況で医療面接を行なっていくことで、より有用な情報が得られると考えます。
・経過
受診するまでの経過について聴取していきます。
いつ頃から痛みが出ていたのか。
次第に痛みが出始めたのか、明確な受傷機転があるのか。
練習の内容や量に変化はなかったか。
運動中の痛みの変化は?
普段の学校や家での生活でも痛いのか。
といったことを聴取し、病態把握に役立てます。
・成長の度合いの確認
ここ1年間の身長の伸び具合を聴取します。
身長が急速に伸びている子であれば、柔軟性による要因が大きいでしょうし、そうでなければ、筋力やカラダの使い方による要因が大きいと予測できます。
・スポーツ歴の聴取
どういった競技をしているかによって、負担のかかる動作、発生要因などが予測できます。
▶観察
医療面接を行ないながら、患部の状態を観察していきます。
・踵骨隆起周囲の腫脹・発赤の有無
患部を観察して、腫脹や発赤といった炎症所見の有無を確認していきます。
重症例では腫脹が著明にみられることもあるので、重要な情報となります。
・アーチの状態
荷重位、非荷重位でアーチの状態を確認していきます。
シーバー病では扁平足でもハイアーチでも起こりえます。
アーチの状態を把握することで発生要因の予測に役立てることが可能となります。
アーチに関しては以下の記事をご参照ください。
▶機能評価
・踵骨隆起周囲の圧痛の有無
シーバー病の場合、踵骨の側面や後面に圧痛がみられます。
軽度の場合は叩打痛でのみ痛みを訴えることもあります。
圧痛は患部へのストレスの程度の指標となりますので、効果判定をしていく上でも重要な項目となります。
・タイトネスチェック
柔軟性としては下腿三頭筋の柔軟性が重要とされています。
単純に下腿三頭筋の柔軟性低下だけでなく、下肢の柔軟性低下が動的なマルアライメントを引き起こし、患部へのストレスを増強させることが考えられます。
ですので、シーバー病に関しても下腿三頭筋だけでなく、ハムストリングスや大腿四頭筋、腸腰筋、股関節周囲筋などの柔軟性をチェックすることも重要となります。
・基本動作チェック
基本動作のチェックとして、しゃがみ込みやFFD、スクワット、ジャンプ動作、走動作などをチェックします。
しゃがみ込みやFFDは柔軟性のテストとして捉えられますが、それだけではなく、重心のコントロール機能の指標としても有用です。
しゃがみ込みではしっかりと下までしゃがみ込めること、FFDでは最低でも指先が床につくことを目標としていきます。
スクワットやジャンプ動作では、股関節、膝関節、足関節の協調的な動きができているかどうかを確認していきます。
極端なKITO、KOTIがないこと、膝が前に出過ぎたり、逆に出なさ過ぎたりといったことがないことを確認していきます。
シーバー病の症例では重心の上下動が大きいような走り方をすることがあります。
足部・足関節の機能低下に起因すると考えられますが、背屈角度が大きく出てしまう走り方です。
そういった症例では走動作の指導も行うことがあります。
シーバー病に対する物理療法
では、シーバー病に対する物理療法について解説していきます。
ここまでが無料で読める内容となります。
以下では「シーバー病に対する治療戦略」について詳しく解説していきます。
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