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コア?体幹?腹圧?改めて用語の定義を考える

こんにちは。だいじろう(@idoco_daijiro)です。

先日、こんなツイートをみかけました。


この「コアが入る」もそうですし、近しいところで「体幹が使えてる」とか「腹圧が高まる」といった医学的には曖昧な表現が用いられるケースは臨床でもよくみられるのではないでしょうか?

とくに体幹に関係する領域では・・・


実際、私も臨床では「体幹が使える」とか「腹圧が高まる」といった表現は用いることはあります。


個人的な見解としては、そういった曖昧な表現だったとしてもそれを伝える相手(職場の同僚とか)とその表現の定義や意味に統一した見解が得られていたら問題ないと思っています。

なので、その表現の定義や意味に関して統一した見解が得られていないであろう人に対してはそういった曖昧な表現を用いることはしないようにしています。

同じようなことを学んできている療法士であってもコミュニケーションの齟齬は起こりやすいからですね。


前述したようなもの以外にも曖昧な表現にもかかわらず臨床で多用されているものはあるかと思いますので、それらについては必要に応じて職場で統一した見解をもっていくことをオススメします。


ということで、今回は「コア」「体幹」「腹圧」といった用語の定義について見直していきたいと思います。



コア・体幹・腹圧の定義


まずはそれぞれの言葉の定義について確認しておきたいと思います。

私が理学療法士になった当初(16〜17年前)はコアや体幹といった言葉は非常に曖昧な定義で用いられていたように記憶しています。


今では「体幹」は「頭部と四肢を除いた部分」として用いられることが多いかと思います。

67体幹トレーニングの基礎.001


たまに頸部も除いたものとして用いられていることもありますので、情報を取得する際にはその定義に注意しておいた方が良いですね。


腹腔は胸腔、骨盤腔と合わせて体腔を構成しています。

つまり

体腔=胸腔+腹腔+骨盤腔

ということですね。


胸腔と腹腔との境界は横隔膜にて構成されていますが、骨盤腔はその解剖学的・機能的特徴があるために定義されているもので、腹腔との境界はありません。

そのため、とくに療法士が臨床で腹腔と用いるときは骨盤腔を含むことの方が多いのではないでしょうか?


そして、「コア」に関しては今でもその定義はさまざまな印象があります。

コアという用語自体がトレーニング界隈でよく用いられているもので、それに触れた療法士が臨床で用いているのかもしれませんね。


いろんなサイトで確認すると腹腔と同じ意味で用いられることもあれば、腹腔を取り囲むコアマッスル(横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群)を含めたものを指していることもあったり、そのコアマッスル自体を指していることもあるようです。

そう考えると、体幹と腹腔は定義があり、コアに関しては自分たちで何を指すかを共有しておくことが大切かもしれませんね。


私は「コア」という言葉はほぼ使いませんが、自分のなかの定義としては腹腔とコアマッスルを含めたものをコアとして認識しています。

コア=腹腔+コアマッスル

という区分けですね。


近しいところでインナーマッスル/アウターマッスル、ローカルマッスルシステム/グローバルマッスルシステムといった部分も使う人によって意味が違っているなと感じるものがあります。

インナーマッスルとアウターマッスルというのは、絶対的なものというより似通った作用を有する筋群の相対的な関係性と捉えておいた方が良いかと思います。


基本的な特徴としては、

・インナーマッスルは小さい筋で、アウターマッスルが大きい筋
・インナーマッスルは関節に近いところを走行し、アウターマッスルは関節から離れているところを走行する
・インナーマッスルは関節の運動軸を保持し、アウターマッスルは関節を動かす

といったものがあります。


このインナーマッスルとアウターマッスルと似たような分類で体幹の筋群について定義されているのがローカルマッスルシステムとグローバルマッスルシステムです。

008腰部・骨盤帯機能の捉え方.001


この分類はこちらの論文が引用されていることが多いかと思います。

Bergmark A. Stability of the lumbar spine. A study in mechanical engineering. Acta Orthop Scand Suppl. 1989;230:1-54. doi: 10.3109/17453678909154177. PMID: 2658468.


体幹に求められる主な機能としては「安定性」と「分節運動」があるかと思います。

それらの機能自体も定義が曖昧で、その評価基準も統一されているとは言い難いのが現状かと思います。


近年であれば、運動器エコーと筋電などを活用した研究によってこれらの体幹機能についても新しい知見が出てきているようです。

今後は、そういった知見をもとに、より根拠のある評価やアプローチを展開していけるようにしていくことが重要ですね。


今回の内容は以上となります。

以下の有料部分には今回の内容に関連する記事のリンクを貼っておきます。

復習がてら読んでいただけると幸いです。


ここまでが無料で読める内容となります。
以下では「コア?体幹?腹圧?改めて用語の定義を考える」について詳しく解説しています。
詳しく知りたい方はぜひ”実践!ゼロから学べるLow Back Pain”マガジンの購読をお願いします。


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