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私を支えてくれたマネージャーは愛を越えた友情をプレゼントしてくれました! ~close frend~


私には忘れられない1人のマネージャーがいた



真面目な話もバカげた話もすべて、真剣に考えてくれる
お父さんみたいな存在。


あの人との日々は恋の季節をいつまでも過ごしているようだった



初めての選抜発表のときも....

ーーー


美月:グスッ.... グスッ...



初めての選抜発表で悔し涙を流していた私に....


〇:美月さん...惜しかったね

美月:惜しい..?


〇:いやだからほら、ここ最近の美月さんは選抜を意識してレッスンやってたからさ

美月:レッスンはたしかに選抜を意識してました

美月:でも....どこが惜しいんですか?

〇:目の色が変わるタイミングだよ

美月:目の 、、 色?


若い美月にとっては目の色と聞いてもカラコンしか浮かんでこない


〇:うん。今回センターをやる2人は目の色が変わるのが早かったんだよ

美月:目の色ってなんですか?どうやって変えれるんですか!?


早く、一足でも早く選抜に入りたい美月にとってはいち早く目の色について知りたかった

だから〇〇に強く訴えかけた


〇:それだよ。その目だよ

美月:え?

〇:選抜に入るために私はやってやるって目をするんだよ

〇:もちろん美月さんもその目を選抜発表前からやってた

〇:だけどあの泣き虫に見える大園さんの目の奥は明らかにメラメラしたものがあった。与田さんにもね

美月:じゃあ私は!ずっとこの目をしていればいいんですね..?

〇:うん。約束するよ



傍から見たら22歳の「約束する」なんて何も説得力はないだろう

しかしこの年齢の5歳差というのは美月からしたらかなり歳上に見えることもあり「約束する」という言葉はなにかすごく説得力があった


美月:わかりました。約束ですよ?

〇:うん、約束




それからというもの美月はレッスン量を増やし、
理解(わから)された選抜の与田たちとの差を少しでも縮められるようにやれることをやっていた



〇:最近すごいね

美月:いやいや、まだこれからですよ

〇:あんまり無理しちゃダメだよ?

美月:無理なんてしてないです!


〇:それならいいんだけど....

美月:それじゃあレッスン行ってきます!

〇:行ってらっしゃい


そうしてレッスンへ向かう足は芯がなくボロボロであった


〇:(そういうタイプね....これは大変だ




こうしてこの日は無事に(若干危なげはあったが)レッスンを終え



〇:どう?疲れた?

美月:まだまだです!

〇:そっか..笑 (そうとう悔しかったんだな

〇:送るから車に乗って

美月:いや、まだ練習したいんで大丈夫です

〇:ダメだよ。今日は帰ろ?

美月:ここで帰ったら....かえったら...



この焦っている様子....やはり選抜に入りたい気持ちだけが美月さんの体を動かしているのだろう

〇〇にはそう感じた



〇:美月さん

美月:はい?

〇:この立ってる状態で目をつぶってみて

美月:は、はい....


言われた通り目をつむる美月


〇:その状態で足に集中してみて

美月: ….

美月:(あ、あれ..足が....

〇:どうかな?だいぶ足に痛み感じるんじゃない?

美月:痛いです....

〇:その状態でまだ練習したら悪化しちゃって怪我したら元も子もないよ

美月:はい

〇:だから今日は帰ろ?

美月:はいっ

〇:わかってくれてよかったよ (休むのも仕事のうちだからね



こうして休みを半強制的に入れ込み、怪我の防止を徹底した。





美月:〇〇さーーん!


〇:ん?

美月:練習したーい

〇:だからダメだってば..笑



レッスンの後は大抵この調子だ




美月:ほんと融通きかなーい

〇:タメでこられても怒らないだけでも寛容な方だと思うぞ?

美月:自分で寛容っていう人に寛容な人はいませーん

〇:うぜぇ (さすが高校生って感じだな

美月:あ!そういえば今日ヒマ?

〇:うん。この後は何も予定ないよ

美月:ならさ!ちょっと家きてよ!

〇: …は?

美月:お母さんが〇〇に会いたがってるからさ!

〇:僕はいいけどいきなり行って大丈夫?

美月:大丈夫だいじょうぶ!

〇:美月の「大丈夫」は信用ならんからちゃんと連絡とっといて

美月:むぅぅ....はぁい





そうして連絡を取りおえ、美月のお家へ向かうと






〇:ここで合ってるの?

美月:うん

〇:結構デカイとこ住んでんだな

美月:そうなんだよね笑





そしてリビングらしき所へ向かうと




美月:たっだいま~


美母:おかえり~あ、あなたが〇〇さんですね

〇:どうも初めまして。〇〇といいます

美母:美月がいつもお世話になってます

美母:こんな子のマネージャーなんて大変でしょう?

〇:いえいえ、楽しいですよ

〇:高校生の流行りも知れますしね

美父:大変じゃないならよかったですよ

美月:お母さんご飯まだ〜?

美母:もうできてるよ

美月:やった!〇〇も食べよ!

〇:え?僕の分もあるんですか?

美母:もちろんありますよ

〇:それじゃあありがたくいただきます





そして食卓に行き、


「いただきます」


と共に1口食べると....




〇:(な、なんだこれ....白米に塩が振ってある...柳原さんか

〇:(じゃあこの角煮は....

〇:(うん...めっちゃ濃い....

美月:〇〇どうかした?

〇:いや、何もないよ(味が薄いものが)

美月:そっか

美母:すいませんウチの子敬語使えなくて...

〇:全然いいですよ!それだけ距離を縮めるのが上手いってことですし

美月:うんうん!そうだそうだ!

美母:美月は社会に出る人として足りてないところが多くて...

〇:そこをカバーしていくのもマネージャーの役割なので心配しなくて大丈夫ですよ

美母:親がやらないといけないことまでやらせてしまってすいません。これからもよろしくお願いします

〇:こちらこそ至らないところもあると思いますがよろしくお願いします

美月:(なんか家庭訪問みたいになってる





そしてその日は帰宅し数日経った頃



〇:ついにだな

美月:うん....



この日は20枚目シングルの選抜発表の日である





〇:めちゃくちゃ顔がかたいぞ〜

美月:だって選抜いけるかわかんないし.....

〇:そんな弱気になるなよ..笑

〇:止められるくらい練習したんだから大丈夫だって

美月:でも....

〇:初選抜なら番組のインタビューも長めにあるだろうからそのためにも笑顔にならないとさ

美月:うん..

〇:ほら、息吸って

美月:スゥゥ...

〇:はいてぇ~

美月:フゥゥ



〇:どう?ちょっとはマシ?

美月:マシ.....んーあ〜やっぱりダメだ


〇:笑笑

〇:これもダメだったか笑

美月:〇〇助けてぇ...



そういって珍しく〇〇に抱きつく美月


〇:大丈夫だいじょうぶ。あれだけやってきた美月なんだから


首の据わっていない赤ちゃんを抱くように首を支え脱力を促す



〇:福神に入れるかとかはわからないけど....この期間1番努力してた美月が選ばれないわけないから自信もっていけ!

美月:うん..!





それから選抜メンバーが順に発表されていき...


〇:(マジか....3列目の発表終わっちまったよ....

美月:(やっぱりダメだったか....



そして2列目へと移ると


福神11番、山下美月


美月:えっ...

〇:(よっしゃっ


信じられない様子の美月。しかしそれ以降も選抜発表は続いていき


センター 白石麻衣



〇:(こりゃ〜だいぶ力入れた曲になるな





その後発表は終わり....


美月:〇〇!私やったよ!

〇:ちゃんとみてたよ。おめでと

美月:へへ。ありがとっ

〇:やっぱり福神はいれたな

美月: …ん?やっぱり?

〇:うん

美月:さっきは福神入れるかは分からないって言ってたじゃん!

〇:いやほら、フラグになっちゃったらマズイしさ

美月:それなら選抜入りするってこともフラグになるんじゃないの?

〇:なにもいえません....

美月:あ!そういえばさ!

〇:ん?

美月:ご・ほ・う・び  は?

〇:はぁ..?

美月:こーいうときはマネージャーさんからご褒美があるって飛鳥さんから聞いた!

〇:あいつ....

飛鳥:あいつ?


〇:お前よくめんどうなこと言ってくれたな

飛鳥:事実だもーん

飛鳥:私のマネージャーはゴディバのチョコくれた

美月:いいな〜✨️

〇:俺からは100均のチョコでいい?笑

飛美:いいわけないでしょ!

〇:え〜じゃあ何がいい?

美月:ん〜焼肉とか?

〇:焼肉かぁ

飛鳥:山!こういうときは 『焼肉』じゃなくて “食べたことないような”焼肉っていうんだよ

美月:やっぱり先輩だっ!

美月:じゃあ食べたことないような焼肉で!

〇:厄介なこと教えるな!

白石:え?〇〇君私たちに奢ってくれるの!?

〇:なんでそうなるんですか白石さん!

白石:ちがったかぁ..笑

〇:でも美月頑張ってたしなぁ....行くか

美月:いいの!?

〇:おう。連れてってやる

美月:やった!いこー!



ーーー


飛鳥:山下って絶対これから乃木坂引っ張ってくよね

白石:そうでなくちゃ困るよ

白石:しかもあの〇〇君が近くにいるならよけいにね

飛鳥:1番人気のマネージャーだからね

白石:私も〇〇君がマネージャーになってほしかったな〜

飛鳥:しーさん。。。すぐそこにしーさんのマネージャーいる

白石:あっ....。







その一方美月たちは


美月ね、ねぇ....こんなお店来たことないよ....


落ち着いたシックな印象の室内に、常に手入れをされてるであろう網が敷かれていた


〇:美月が行きたいっていったんだろ?

美月:そうだけどさ....大丈夫なの?

〇:金は気にするな。実はちゃんと美月の祝い事のために貯金してんだよ

美月:〇〇ってやっぱカッコイイよね

〇:どこがだよ..笑

美月:だって彼女でもない私のために貯金してるなんてありえないよ?

〇:まぁ俺は彼女とか出来ないから使う先が美月しかないだけだよ

美月:うわっ..カッコつけた

〇:あ、やっぱバレた?笑

美月:女の子にはバレバレでーす

〇:かっこよくプロポーズとかできる人の気持ちがよくわからんわ

美月:それは美月ちゃんへの告白?

〇:どうだろうな

美月:あれ?否定しなかった

〇:気のせいじゃないか?

美月:気のせいじゃない!

〇:じゃあシンプルに聞き間違えだろ




そんなこんなでお祝いムードというよりかはただの談笑になりつつ

”食べたことないようなお肉”  を堪能した






あれから美月は  スーパー美月タイム  やらで一気にファンの方への認知度をあげ、22枚目の選抜までずっと福神に選ばれていた


そんなある日



美月:七瀬さんと一緒に披露できるのもあと3回かぁ

〇:そうだな

〇:思い出ちゃんと作りなよ?

美月:うん

〇:あ、そういえばさ、美月に1つ言っとかないといけないことがあるんだよ

美月:ん?告白?

〇:ちがうわ!

美月:じゃあなによ

〇:すまん。俺2月から2ヶ月休むわ

美月:はっ!?なにいってるの!

美月:2ヶ月も何するの?

〇:まぁ色々とやらないといけないことができてしまってさ

美月:それは私には言えないこと?

〇:うん。そのかわり帰ってきたら話すよ

美月:その2ヶ月がどんなふうに使われるのかは知らないけど....私さみしいんですけどぉ!

〇:すまん。これはどうしようもなかったんだ

美月:ならしょうがなく寛容な美月ちゃんは許してあげるけど...

〇:寛容かは置いといて....ありがとな

美月:なにそんな改まってありがとうなんて..笑

〇:いやまぁ....色々あるじゃん

美月:な〜にその変な感じ〜

〇:いいから美月は気にするな

美月:そんな意味ありげに言われたら気になるんですけど

〇:いいからいいから





こうして何か晴れない気持ちを抱きながら1月末になり....


美月:〇〇ほんとに休むんだね


〇:おう。俺は休むけど美月は頑張れよ

美月:いわれなくても分かってるし。今よりもっとすごい人になっとくから!

〇:そうか..笑

〇:じゃあ楽しみにしとくよ

美月:うん!






それからというもの、新しいマネージャーと共に〇〇と約束した「今よりもっとすごい人になる」ことを目標に仕事を数々こなしていた



そのころ〇〇は


〇:美月大丈夫かなぁ....てか俺は俺の心配しなきゃなんだよな..笑




こうしてお互いは2ヶ月という時間をそれぞれの形で使い....



3月になり〇〇が出社すると....


〇:初めまして....

飛鳥:え、ほんとに誰?

〇:いや俺だよ!〇〇だよ

飛鳥:ふぇ..?なんで坊主なの..笑

〇:いやまぁ理容室で注文間違えちゃってさ..笑

飛鳥:ほんと〇〇はおっちょこちょいだな〜

〇:だよな..笑

〇:てか美月は?

白石:〇〇君!美月のこと止めて

〇:はい?

〇:そもそもあいつ今どこにいるんです...?

白石:あっちのガラス張りの部屋

〇:わかりました




そしてガラス張りの部屋へ入ると

〇:久しぶりみづk….

美月:あ、おかえり〇〇....


明らかに顔色も悪く声色もだいぶ疲れてる様子の美月がそこにはいた


〇:ほんとに美月?

美月:〇〇こそほんとに〇〇?髪の毛なくなってるけど

〇:俺は〇〇だけど美月の顔ほんとにひどいぞ

美月:なっ....アイドルに顔がひどいなんていわないでよね

〇:だって辛そうな顔してんだもん

〇:あ、そういえばスケジュールみせてよ

美月:いいよ〜


美月:はいこれ


みせられたスケジュール表はとんでもなく効率の悪く、リスケのしがいがありそうなスケジュールだった



〇:この日程だとそりゃあこんな顔になるわ....

〇:体はどうなの?

美月:足痛いし腰も痛い


弱音をあまり吐かない美月が即答するということはかなりの状態なのだろう


〇:美月、帰ってきて早々なんだけどさ、、少し活動休止しよ

美月:でも....

〇:この状態で次のシングル活動期間に入るのはあまりにも危険すぎる

美月:でも....せっかく選抜定着してきたのに....

〇:大丈夫だよ。帰ってくる場所はあるから

〇:約束する

美月:ほんとに?

〇:うん。もし選抜に戻って来れなくなったなら俺を煮るなり焼くなりしろ

美月:〇〇を焼いても美味しくなさそう

〇:そこ味の問題じゃねぇだろ!




そして美月はシングル「Sing Out」の活動に参加しないことを決め、2ヶ月の休養をとることとなった



飛鳥:〇〇ぅ〜

〇:ん?

飛鳥:ひまぁ

〇:ヒマなら大道具運ぶ手伝いしてこい

飛鳥:重いから嫌だもん

〇:わがままかよ

飛鳥:すいませんね〜

〇:なんか腹立つなぁ




そんなこんなで仕事をこなしていると、いつの間にか2ヶ月が経ち....



久保:〇〇さん!美月ってもうすぐ復帰なんですよね?

〇:ん〜その予定ではあるんだけどわからないんだよね

久保:え?

蓮加:だって2ヶ月したら帰ってくるはずじゃ....

〇:その予定だったんだけど....直接会ったわけじゃないけど美月の声色的にはまだ抱え込んでそうなんだよね

久保:そうなんだ....

〇:今度とりあえず会いに行こうとは思ってるんだけどね

蓮加:れんも行きたい!

?:蓮加はやめときな

蓮加:なんでよ梅...

梅澤:ここは〇〇さんにまかせておいた方が得策だよ

蓮加:わかった....れん我慢する

〇:なんか伝えたいことある?

蓮加:ん〜連絡は結構取ってるから大丈夫!

〇:そっか

蓮加:あ!やっぱり待って!

〇:ん?

蓮加:れんに20分ちょうだい!

〇:20分待てばいいの?

蓮加:うん!



そしてそそくさとどこかへ行く蓮加



〇:なにするんだろ?

久保:20分で出来ること....あ!野球のダイジェスト観れる!

梅澤:そんなの今観るわけないでしょ!

久保:そっか...笑

梅澤:というかさ、〇〇さんって絶対美月のこと好きだよね

〇:ふぇっ!? いきなりなんの話してるの....

久保:絶対そうだよ!

梅澤:だっていくらマネージャーとはいえここまで尽くしますかってくらい尽くすじゃないですか

久保:だよね!私のマネージャーさんとは違うもん

梅澤:私のマネージャーさんだってそうだよ

〇:2人のマネージャーさんだって頑張ってるんだからさ....笑

梅澤:たしかに頑張ってくれてますけど....

〇:あとはもっと頼ってみるとかは?

梅久:頼る....?

〇:ほら、美月なんて僕がクマがひどい時でも、これでもかってくらい要望出すからね

久保:美月っぽい..笑

梅澤:でもそれするとマネージャーさんが大変そう....

〇:他のマネージャーさんは知らないけど僕はそうやって頼られた方がやりがいになるよ

〇:そうするとマネージャーさんももっと良くなると思うよ

久保:頼った方がいいんだ..!!

梅澤:やってみます!

〇:あ、ちゃんと可愛げのある感じでお願いするんだよ?

久梅:はーい




そして20分が経つと


蓮加:おまたせーっ!


〇:きっちり20分だったね

蓮加:えっへん! さすが蓮加ちゃん

〇:さす...が?

蓮加:さすがでしょ!

〇:どうせ5分くらいはゲームしてたでしょ?

蓮加:なっ...なんで分かるの....

〇:やっぱり合ってたか..笑


蓮加が自信満々なときは大抵ズルやらなんやら手を施してある場合がほとんどなのである


蓮加:私のことストーカーしたでしょ!

〇:別に幼児に興味ないからしないよ

蓮加:れんは幼児じゃないしっ..!

〇:すぐムキになるところとか幼児じゃん

蓮加:むぅ....れんの扱いひどーい....

梅澤:ところで蓮加は何しに行ってたの?


蓮加:あ!それはねぇ....



じゃーーん!


蓮加の手は封筒を握っていた



〇:手紙?

蓮加:せいかいっ!

蓮加:いつもスマホでは連絡とるけど手書きの方が気持ち伝わりやすいかな〜って思って

〇:ほぉ....ちゃんと考えれてえらいね

蓮加:でしょ〜

〇:じゃあこれ渡しとけばいい?

蓮加:うん!  あ、あとそれ〇〇さんは見ちゃダメだからね!

〇:お、おう....わかった (そういわれると気になってしまうんだが....





そうして蓮加の手紙と共に美月の家へと向かい



ピンポーン


美月:はーい....


〇:よ!

美月:あ、〇〇

〇:元気にしてた?

美月:うーん....

〇:まぁこの部屋の汚さからしても元気とは言えない感じだよな

美月:うん....

〇:(こりゃあ休業中1人にしておくのは間違いだったか....

美月:なんかさ....わからなくなっちゃんたんだよね

〇:なにが?

美月:あれだけ頑張ってアイドルやってた意味

〇:うん....それは俺にもわからんな

美月:最初の1ヶ月は卒業するかも悩んだし....今はこれが悩み

〇:卒業かぁ....この流れで卒業ってことだけは僕はやめて欲しいな

美月:うん...あ、でも!卒業しようとしてたけど真夏さんと話して変わったの

〇:え、真夏さん来たの?

美月:いや、電話だけどね

〇:そっか (真夏さんさすがだな

〇:てかさ、この部屋暗すぎんか?空気悪いし

美月:たしかに

〇:だから今度どっか行くか?

美月:え..?

〇:だから、旅行的なのするか?

美月:いいの?

〇:いいよ。多少は悩みとかも晴れるかもしれないしね

〇:それに女性が悩んでるときに何もしないのはマネージャーとしてじゃなくて人として情けないからね

美月:ふふふ。

〇:なに笑ってんだよ

美月:やっぱり〇〇に彼女いないのおかしいよ

〇:美月がいるから彼女出来ないってことにしとこうかな..笑

美月:なにそれ!疫病神みたいじゃん!

美月:てか、ほんとは美月ちゃんのことが好きだから彼女出来ないんでしょ?笑



うん....間違っては無いけど本人から言われると否定したくなる



美月:あれ、否定しないんだ

〇:バカバカしすぎて言葉が出ないだけだ

美月:ひどーい!もう美月ちゃん怒ったもんね〜ハワイに連れてってもらお

〇:アホか!旅費いくらになると思ってんだよ!

美月:えーじゃあどこならいいの?

〇:ん〜....

美月:(旅行じゃなくて旅行的なのっていったからディズニーランドとか?笑

いやそれもうデートじゃん!


美月の頭の中ではデート(?)プランが立てられているなか....


〇:草津とかは?

美月:くさつ....?

〇:あ、美月の頭の中には草津入ってなかったか

美月:そうじゃない!てっきり東京辺りだと思ってた

〇:それだと行き慣れてて旅行してる感じしないでしょ

美月:たしかに

〇:じゃあ予約とっとくよ

美月: ….あ!私が予約しとく!

〇:え?大丈夫?

美月:私だってもう高校卒業したんだよ?

美月:これくらいできるって!

〇:そっか。じゃあ頼んだよ

美月:はーい

〇:あ、あとこれ!蓮加からの手紙だから読んどきな

美月:蓮加手紙書いてくれたんだ....

〇:想いは綴ってあるはずだからちゃんと読めよ?

美月:わかってるって!

〇:それじゃあな

美月:うん!





そして草津へ行く日となり


〇:美月乗って〜

美月:うん!  〇〇の運転久しぶりだ

〇:俺が2ヶ月休んで美月も2ヶ月休んでるから4ヶ月は乗ってないことになるな

美月:そりゃあ久しぶりなわけだ

〇:それじゃあ行くか

〇:あ、てか美月は後ろに乗りな

美月:なにいってるの!彼女を後ろに乗せる気?

〇:いや別に彼女じゃねe….

美月:シーー

〇:なんだよ

美月:今日だけは彼女なの〜


〇:はぁ?

美月:いいでしょ!1日くらい彼女気分味あわせてよ

〇:まあま....いいよ

美月:いいんだ

〇:だって嫌って言ってもやるんだろ?

美月:よくわかってるじゃん

〇:褒め言葉だと思っとくよ

美月:よろしいっ..!



こうして彼女....というか殿様?を連れ草津へ


美月:うわ〜めっちゃ綺麗だ!

〇:だな。


少し暗くなった草津の風景はすごく惚れるものであった


美月:さっそくお部屋行く?

〇:そうだね。荷物置きたいし

美月:それじゃあお部屋ヘゴー!




そして部屋に着くと....


〇:なんで1部屋しか予約してねぇんだよ!

美月:いや〜美月ちゃん間違えちゃった テヘッ

〇:絶対ワザとだろ

美月:そ、そんなことないよ〜

美月:あ!でもこのお部屋ダブルベッドしかないから一緒に寝るしかないね!

〇:はぁ....計画的犯行だな

美月:しらなーい

〇:まぁでも良かったよ

美月:美月ちゃんと寝れるのが?

〇:違うわ!こんなふざけたこと出来るくらい体調戻ったんだろ?

美月:うん。〇〇が来た日からちょっとずつ良くなってきてるの

美月:あと、蓮加からの手紙もだいぶ大きかったかな

〇:あの手紙なんて書いてあったの?

美月:それは....ナイショ

〇:え〜蓮加からは「絶対手紙見ないで」っていわれてるし美月からも内緒っていわれるのスゲー気になるんだけど

美月:手紙のなかでは素直になる少女とだけいっとく

〇:ほぉほぉ

〇:でもそれで元気になってるならよかったよ

美月:うん!



そしてうるさくなりつつある美月と旅館の料理を食べ....


〇:そんじゃあ大浴場行ってこようかな

美月:え?いっちゃうの?

〇:いやだって草津だぞ?行くでしょ

美月:私は行けないじゃん


そう。活動休止しているということと、単純に売れっ子アイドルだということもありいくら女性しかいないとはいえど大浴場は危険なのである



〇:え〜でもせっかくここ来たしなぁ....

美月:お部屋の中のお風呂も温泉出るらしいよ

〇:ん〜それじゃあ仕方ないか。部屋ではいるか

美月:やった!

〇:俺は後からでいいから美月先に入っていいよ

美月:ここはお部屋のお風呂も大っきいんだって〜

〇:へ〜良かったじゃん

美月:だから!大っきいんだって!

〇:うん。さっき聞いた

美月:聞いたなら言う言葉は1つでしょ!

〇:は?

美月:一緒に入ろ!

〇: ….馬鹿じゃねぇの?アイドルが何いってんだよ

美月:だから言ったじゃん!今日は彼女なんだって!


〇:言ったけどそれはダメだ

美月:ケチー!嘘つきー!ドロボー!

〇:最後のは違うだろっ..!

〇:とにかく先に入ってこいよ

美月:私あとでいいから〇〇入ってきていいよ

〇:あ〜わかった。一番風呂が良かったとか文句いうなよ?

美月:わかったから早く入ってきて!

〇:はいはい



そうして大浴場が良かったと思いながら10分ほど草津のお風呂を堪能していると....




ガラガラガラ


〇: …..ん?

〇:はぁぁぁぁっ..!?



そこにはタオルも何も纏っていない美月がいた


美月:こら!おっきい声出しちゃダメでしょ!

〇:いや声出るだろ

美月:どーせ見慣れてるんでしょ?

〇:んなわけあるかぁぁっ!

美月:そっか。それじゃあおじゃましま〜す


そういって〇〇が入っている浴槽の中に入ってきた


〇:あ、あの...美月さん?

美月:なに?

〇:なにも2人で入る必要はなかったんじゃないの?

美月:別に無理してやってるわけじゃないんだしいいでしょ!

美月:それにほら!裸の付き合いってあるじゃん!

〇:それは男同士の話な?

美月:え、そうなの!?

〇:それくらい知っとけよ....

美月:へへへ 。 完璧アイドルにも抜けてるとこはあるってことで...笑

〇:抜けてるとこだらけだろ。こういうとことか


そういって〇〇は濡れた指で美月の上唇を少しだけなぞっていき...


美月:へ?何してるの?

〇:せめて口紅くらい落としてから入ってこいよな


〇〇の指には赤色の口紅がついていた


美月:あっ...化粧落としたのに口紅落ちてなかった!

〇:どうやったらそうなるのか分からんけど明らかに抜けてるとこだな

美月:はずかしっ...//

美月:〇〇に唇触られちゃった//

〇:そっちかい!
(てっきり口紅着いてたことに恥ずかしがってるのかと思ったわ!

美月:そっちかいってなによ!私だって女の子なんだから触られたらびっくりするって!

〇:そうなんだ。てっきり美月はこういうの何とも思わないと思ってた

美月:私をなんだと思ってるの....

〇:基本的に雑に扱っても大丈夫なヤツ

美月:ひどい....

〇:まぁホントに雑に扱ったらボロボロになるんだけどな笑

美月:そうだよ。この前みたいになっちゃう

〇:まぁでもあれは俺悪くないし....

美月:元はと言えば〇〇が2ヶ月も休んでなかったらあんなふうにはなってなかったから〇〇が悪い!

〇:理不尽な!俺だって結構大変だったんだからな?

美月:へー

〇:興味なさそうだな

美月:バレた?笑

〇:バレバレだ

美月:ん〜じゃあこうすればバレないかも


その瞬間真正面から〇〇に抱きつきゼロ距離になる



〇:ば、バカ!やめろっ..//

美月:あれ?〇〇顔赤いよ?

〇:うるせぇ!

美月:抱きつくのって結構やってるじゃーん

〇:それと今では状況が違うだろうが!


抱きつかれることにはたしかに慣れているが状況も相まって無意識に美月を

『僕がマネージメントしているタレント』

ではなく

「ひとりの女性」

としてみてしまう



美月:さぁさぁ〇〇も抱き返してよ!

〇:い、いや...さすがにダメだよ

美月:してよ〜

〇:これ以上いったら一線超えちゃうからダメだ

美月:むぅ〜カタブツ〜

美月:私だけが好きみたいじゃん

〇:こんな直接的な伝え方である必要ないから

美月:むぅ〜そんなんだから彼女できないんだぞぉ!

〇:それとこれとは関係ないだろ!

美月:あるしっ

〇:てか最近彼女できないの悩みなんだからなっ..?

美月:えっ...〇〇そんなこと考えてたの?笑

〇:だって20歳超えてから1度も彼女できてないんだぞ?悩むって

美月:私がいるから大丈夫!

〇:は?

美月:卒業したら〇〇の彼女になるもんっ


この一言。子供っぽくも聞こえるのだが、なぜかすごく愛しく思えた


〇:じゃあ彼女できなくてもいいかな..笑

美月:じゃあ彼女作ったら罰ゲームね!

〇:オレべつにメンバーじゃないんだけど...

美月:誰かの男になったら許さないからっ...!

〇:はい はい




こうして長めにお風呂に入り....



美月:ふぁぁ〜眠たくなってきた....

〇:そっか。ベットで寝なよ

美月:お姫様抱っこぉ

〇:くっ...なんか可愛い...(今日の美月やたら可愛くみえるのなんでなんだ!?

美月:そんなストレートにいわれちゃうと照れるって.. ///

〇:やべぇマジでかわいい

美月:はやく早く〜

〇:わかったよ




サラッと持ち上げベットへ行き


美月:〇〇....

〇:ん?

美月:〇〇って私のこと好きじゃん?

〇:ん〜まぁ嫌いではないわな

美月:わかった。へへへ

〇:ん?やっぱりまだ疲れてるか?

美月:え?なんで?

〇:いやだって今の『わかった。へへへ』とか意味わからなさすぎるだろ

美月:いや〜あれは復帰への最終確認てきな?

〇:あ〜そういうことか。ちゃんと確認はできた?

美月:うん。私....

『来月から復帰する』


〇:わかった。また一緒に頑張ろうな

美月:うん!



それからいつの間にか眠りに入っていたようで起きた時には隣で美月が寝ていた




それから美月は復帰し、復帰後初めての選抜発表へ


美月:私大丈夫かな....

〇:なにが?

美月:ほんとに私...選抜に戻れるのかな?

〇:大丈夫だろ

美月:でも前のシングルもすごくよかったし..

〇:バカ。『私がいればもっと(曲が)売れた』ってくらい強気でいけ!

〇:美月っぽくないぞ!

美月:わかった!いってくる!

〇:おう。福神とってこーい!




と、送り出したのはいいものの〇〇も少し心配していた




3列目が発表され2列目の発表へとうつる。


2列目の1人目が与田だ。


そして....


『山下美月』


美月:はい。 (よかったぁぁ....

〇:(よしよし!やっぱ入れたな




しかしここでまさかの2列目に白石が発表される



〇:(まじか....なんかすげー事になりそう....



そして新センターは4期の遠藤さくらさんだった






〇:良かったな。美月

美月:うん!すっごい怖かったけど何とかなったよ!

〇:怖かった割には平常心保ってそうだったけど

美月:だって後輩も出来たし大喜びしてたらダサいでしょ

〇:うわっ...先輩ぶってやがる

美月:別にいいでしょ! かっこよく見られたいじゃん!

〇:美月が先輩ヅラしてると保育園児がランドセル背負ってるみたい笑


美月:どういう意味?

〇:背伸びしてるってのと、ちょっと無理してる感があってかわいi….

〇:いや、なんでもないや

美月:んー?なんか『かわいい』って聞こえたような気がしたぞぉ~

〇:いや、決してそんなことは無い

美月:むぅっ! 言ってくれてもいいのにぃ!

〇:いやだね。絶対いわねぇ

美月:でも旅行のとき言ってくれたじゃん!

〇:あれは....なかったことにしてくれ

美月:そんな簡単に女の子にかわいいなんて言っちゃダメなんだよ?

〇:じゃあ余計に言わねぇ

美月:むぅっ! そういう意味じゃないのに!腹立つぅ



そんなこんな話しているとスタジオに残っているメンバーは美月と....青ざめた顔をしているメンバーが3名ほどおり....



美月:〇〇....こういうとき何て言ってあげればいいの?

〇:そんなの自分で考えるんだよ

美月:え〜じゃあ私センターなったことないからあの2人に話しかけてくるから〇〇はさくらちゃんよろしく〜


そういって2人の元へ行く美月


〇:(あいつ絶対許さん....

〇:(てかマジでなに話せばいいんだよ....



そんなふうに考えながら遠藤さんのもとへ行き


さくら:グスッ グスッ

〇:遠藤さん大丈夫...?

さくら:大丈...夫....じゃないです

〇:やっぱりそうだよね


まだ右も左もわかっていないような高校生の女の子にセンターという役割は耐えられないに近いくらいの負荷がかかっているのだろう


さくら:なんで私が選ばれたんだろ....(ボソッ)


〇:僕は、遠藤さんが選ばれると思ってたよ

さくら:え....?どうしてですか?

〇:こうやってお話をしてる時の遠藤さんからはあんまり感じないんだけど、踊ってる時に必ずオーラみたいなのを感じるんだよね

さくら:私に...オーラ?

〇:今の遠藤さんは自己肯定感も低いしあんまり活き活きしてないけど....踊ってる時はすごく自信がありそうな目をしてるんだよ

さくら:たしかに....踊ってる時はガムシャラに頑張ってるのもあって楽しいけど....

〇:けど?

さくら:自信が持てなくて....

〇:別に最初から自信を持つ必要は無いと思う

さくら:え?!

〇:だってさ、いままで経験のないことをするのに自信なんてつくはずないじゃん

さくら: ….

〇:それにさ、今回のフォーメーションだと横には同じ4期の子がいて、そのまた横には飛鳥もいて、後ろには白石さんもいる

〇:頼れる人が各方面にいっぱいいる選抜だから、何か不安なことがあっても誰かが助けてくれる

〇:だから変に自信つけるよりか頼ることの方が大事だと僕は思うよ

さくら:じゃあ....頼ってみようかな....

〇:いざという時はあそこにいるバカもちょっとは役に立つと思うから話してみな?笑


その “ バカ “ というのはもちろん美月のことである


さくら:美月さんとはまだあんまり話させてないんですよね....


〇:お、それは良くないね

さくら:すいません....

〇:あ、いやいや!美月が悪いって意味だよ!

〇:後輩から話しかけるのって結構な勇気がいるからね

さくら:そうですね....


そうして美月を呼び、遅めのアイスブレイクを終わらせ



さくら:〇〇さん今日はありがとうございました

〇:いやいや、僕は何もしてないよ

美月:そうそう!〇〇はこれからだもんね!


そういってニヤニヤとこっちを見てくる美月



〇:な、なんだよそのニヤニヤは

美月:選抜で後輩がセンターになったし〜私も福神に入れたことだしぃ〜こういう日って何するんだっけなぁ〜

〇:はっ!? さすがに今日は払わんぞ?

美月:せっかくセンターになったのに?

〇:それは遠藤さんのマネージャーの役割だろ?

美月:あれ?でも今日はさくらのマネージャーってお休みじゃなかった?

〇:(う、うそだろ....

さくら:はい。今日は急病でお休みなんです

美月:だってよぉ

〇:あぁぁ....もう分かったよ。どこ行きたい?

さくら:え?なんの話ですか!?

美月:おめでたい日はマネージャーからご褒美もらえるんだよ

さくら:え、でも私はいいですよ...

美月:さくら!こういう時は甘えた方が得するんだよ!

さくら:じゃ、じゃあ....お寿司屋さんにいきたいです..()


美月:さくらよくいった!

さくら:ほんとに大丈夫なんですか?

美月:〇〇だから大丈夫だいじょうぶ!

〇:(あれ、俺っていつから人権ないんだっけ?

美月:じゃあ〇〇がケチなことしないように安心と安全の美月ちゃんが予約しとくねっ

〇:俺からしたら不安で仕方ないんだけど....




結局その日は諭吉さんが6人ほど飛んでいってしまった






それからというもの、センターになったさくらも徐々に不安も取り除けていきマインドも安定してきたのであった




そんなある日....


美月:今日のライブ楽しかった〜!!


いつもの如くうるさい美月


飛鳥:美月うるさい!

美月:だってたのしかったじゃないですかぁ

飛鳥:声のボリュームどうなってんの?

美月:これが普通ですぅ

飛鳥:そんなわけないでしょ!

梅澤:美月は声量がバグってるよ

美月:もっと声大きい人いますよ!

美月:ほら!


シーーーン


美月:あ、あれ....

飛鳥:美月だけみたいだね

美月:むぅぅ....なんでよぉぉ



そんなこんな話していると


〇:(なんだこれ....なんでこんなクラクラすんだよ....


『バタッッ』


美月:え....?

美月:ちょ、ちょっと!〇〇!?


なんと〇〇が倒れてしまったのだ


美月:〇〇!聞こえてないの?〇〇!返事してよ!


目が微かに動いている様子はあるがまともな反応が返ってこないのだ

飛鳥:早く救急車!




こうして病院に運ばれ一命は取り留めたのだが....


美月:ねぇ....なんで言ってくれなかったの


                   『ガンのこと』


〇:そんなの言えるわけないじゃん

〇:頼られるべき存在のマネージャーがそんな頼りなかったらまずいでしょ

美月:そんなわけないじゃん!早く言ってくれればこんなことにならなかったのに...

〇:まぁ....たしかにな

美月:でも私も悪いよね....〇〇が坊主で帰ってきた時に気づけてれば....


そう。〇〇が坊主になっていた理由は理容室で注文を間違えたのではなく、 抗がん剤によるものだった



〇:それにしてももう再発するとはな....情けないや

美月:今回も絶対治してよね?!

美月:〇〇がいないと私やっていけないんだから!

〇:おう。頑張るよ







ーーー


それからというもの、別のマネージャーと共に美月は活動を行い....


一方〇〇は....



〇:ハァ...ハァ...ハァ..

美月:立ち上がるだけでこんなに息がきれるなんて....


あれから〇〇の病状は悪化し、ステージ4にまでなっていた



〇:ほんとごめんな....こんな情けないヤツで

美月:なに言ってるの!〇〇は情けなくなんかないよ

〇:こんな死にかけみたいなやつがか?笑

美月:冗談でも死にかけとか言わないの!

美月:私は〇〇と仕事するの楽しみなんだから...!

〇:仕事かぁ....うん...できたらいいけどな

美月:「できたらいい」じゃなくて、やるの!絶対やるの!

〇:そうか笑

美月:それにっ..! 〇〇が生きててもらわないと〇〇と結婚出来ないじゃん!

〇:え?

美月:いいからめげずにちゃんと生きててよね!

美月:じゃ!お仕事いってくる!

〇:お、おう....




それからというもの、更に〇〇の体調は悪化し続け、ついには自分で座ることもままならないようになり....





〇:はぁ....余命...あと1ヶ月か

美月:うん....3ヶ月もあったのにもう1ヶ月になっちゃった....

〇:まぁでも、もうどこに行くことも出来ないしこのまま生きててもなぁ

美月: …..

?:なに寂しいこといってんの


〇:あすか....

飛鳥:余命宣告なんて信じてどうるの?

飛鳥:あんなの....あんなの外れるに決まってるじゃん


飛鳥のいつもの冷たい言葉ではなく、願いのこもった言葉であった



〇:そうだな....これから調子良くなるかもしれないもんな

飛鳥:そうだよ....ばっかじゃないの....


飛鳥の目の奥はいっぱいの涙が溢れているようにみえた



美月:〇〇さ、どっか行きたいとこないの?

〇:はぁ?この状態で行けるとこなんてねぇだろ

〇:自分でいうのもなんだけどもう立つことすらできないんだぞ?

美月:わかってるよ。でも別に立ってどっか行くとは言ってないじゃん

飛鳥:たしかに、車椅子とかもあるしね

〇:そうか....でも行きたいとこなんてなi….


〇:あっ....1箇所だけあるな

美月:どこ?

〇:夏桜をみにいきたいかな

飛鳥:夏桜?

美月:それはですねぇ...青葉や若葉の中に咲き残った桜のことですよ!

飛鳥:美月なのによく知ってるね

美月:〇〇が前に、私のことを夏桜みたいな人って言ってくれたことがあったんで

飛鳥:へ〜なんで夏桜?

〇:咲き遅れ気味だったけど、しっかり咲くことができて、なおかつ季節外れだから異彩を放っているようにもみえて余計に輝いてみえる。

〇:なんか美月に似てんな〜って思うんだよね

飛鳥:たしかに言われてみればそうかも

〇:だよな。

美月:じゃあ行けるとこ見つけてくるね!

〇:おう。てかこの後仕事だろ?

美月:うん!ドラマ撮ってくる!

〇:ちゃんと3テイクくらいで終わらせるんだぞ~

美月:ふふ。1発OKしてみせるしっ

〇:そうか笑




こうしてひとまず美月は現場へ向かい



〇:あすか....

飛鳥:ん?

〇:1つ頼みたいことがあるんだよね

飛鳥:ヤマじゃなくて私に?

〇:うん。美月にはお願い出来ないことでさ

飛鳥:ほうほう。それじゃあ叶えてあげるよ

〇:飛鳥にさ、 ~~~~ 欲しいんだよね

飛鳥:わかった。そういうのは飛鳥ちゃんに任せなさい!

〇:さんきゅ







それから数日が経った頃....


〇:すまんな....桜見にいけなくて

美月:そんなのはどうでもいいよ、、、



あれから刻一刻と〇〇の調子は悪くなり、外出などできるはずもないくらいにであった



〇:はぁ....もうダメかも

美月: ….そんなこと言わないでよ....寂しいじゃん

〇:寂しいっていってもらえるだけでも嬉しいよ

〇:ただ....もうちょっと矍鑠とした大人になりたかったな

美月:矍鑠じゃなくて懊悩とした大人になってたかもよ?笑

〇:それだけはごめんだわ..笑

美月:でもなぁ....まだ〇〇に1回も奢れてないのはどうにかしたいっ..!

〇:死んでも美月に奢られたくないわ..笑

美月:なんでよ!

〇:だってかりにも美月は年下の女の子だぞ?

〇:流石に奢られるのは恥ずいって

美月:もうっ...!昭和の人じゃないんだから!


〇:うるせぇ!これでも平成生まれだ!

美月:そっか




〇:あ、そういえば

美月:??

〇:俺がまだ喋れるうちに渡したい物があるんだよ

美月:え?なに!?

〇:これなんだけど....


そういってベットの横の棚から箱をだしてくる〇〇



美月:これなに?

〇:開けたらわかるよ

美月:開けていい?

〇:もちろん





綺麗に梱包をとっていき箱の中をみると



美月:うわぁ....化粧道具だ

〇:その下にもあるはずだぞ

美月:え!バックだっ..!!

〇:プレゼントとしてどうかな?

美月:最高!この化粧道具も欲しかったやつだし!

〇:そっか。

美月:でもどうやって買ってきたの?

〇:俺はもう自分で買いに行けるような元気はないから飛鳥に頼んだんだよ

美月:さすが飛鳥さんだ。何もかも完璧

〇:ならよかった笑

〇:あ、それと、、これもあるんだよ



そう言って今度は小さい箱をもってきた


美月:ん?なにこれ


〇:ドライフラワーだよ

美月:おぉ!あ、桜のドライフラワーだ

〇:そう。これは夏桜のドライフラワーなんだよ

美月:へぇ! これがそうなんだ

〇:花言葉は「友情・永遠」なんだよ

美月:友情かぁ....〇〇と私はもうその関係越えてるね

〇:美月は俺が死んでからもそれを本当に思ってそうだから渡したいんだよ

美月:ふぇ!?

〇:俺はたぶんもうそろそろあっちにいく。

〇:これから美月も好意を抱く人が出てくるでしょ

〇:そんなときに、美月なら「〇〇がいるから」とか考えて自分の恋心に気付かないふりをするんじゃないかと思ってさ

美月:たしかにそうなりそう....

〇:だからさ、俺と美月はあくまで友情で繋がってる。

〇:そう思えば美月も次の1歩を踏み出しやすいのかなって思ってさ

美月:〇〇......
(やっぱり私のこと分かってくれるのは〇〇だなぁ....

〇:絶対その花破るなよ?

美月:そんなことするわけないでしょ!

〇:頼むぞ?





そして数日後、〇〇は静かに息を引き取った





ーーーーーー




それからというもの、美月は何をするにも身が入らず


長い嵐の夜が胸の中にあるような..そんな感覚になっていた







梅澤:やっぱり〇〇さんがいないとこうなるよね

久保:そりゃそうだよ。あれだけ尽くしてくれるマネージャーなんていないもん

?:ねぇ!ねぇ!

梅澤:どうしたの “ 蓮加 “

蓮加:こういうときこそさ!3期の絆みせるべきじゃない?


蓮加:〇〇さんがいない今、美月を助けれるのは私たちだけでしょ!

梅澤:そうだね....でもどうすれば...

蓮加:そんなの〇〇さんが教えてくれたじゃん!

久保:え?

蓮加:どんな状況でも、どんなことでも親身になって考えてくれてる唯一無二に近い愛情だよ

蓮加:でもね、3期の絆なら〇〇さんに匹敵するとれんは思ってる

梅澤:そっか....蓮加の言う通りだね

久保:どうなるかはわかんないけど....とりあえずやってみよ!

蓮加:おー!






それからというもの、涙も時も流れいつしか

「卒業」の日となり.....





美月:今日で最後だし....これ使おうかな


美月が手にしたのは以前〇〇がくれた化粧道具だった


プレゼントをもらったあの日から今に至るまで使うのを躊躇っていたのだ



ーーーーー



?:あれ、それ私が選んだやつだ


美月:飛鳥さんやっぱりすごいですね。まさか覚えてるなんて

飛鳥:そりゃあ覚えてるよ。

「いくらでも出すから美月に最っ高に合うやつ買ってきて」って言われたもん

美月:そうだったんですね

飛鳥:たぶん〇〇も天(うえ)からみてるだろうから頑張れ!

飛鳥:1番お世話になった人には恥ずかしい姿みせちゃだめ!

美月:はいっ







美月:それじゃあ....成功してくるね



左胸のドライフラワーを握りながらそう誓う美月でした。




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