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綺麗で可愛い同僚の部長は将来のお嫁さんでした


「〇〇部長、この資料確認お願いします」


〇:わかった。今日中に目を通しておくよ


「ありがとうございます」


〇:はいよぉ


『部長、今日の夜の会社の会食行かれるんですよね?』


〇:うん。その予定だけど、それがどうかしたの?


『営業の齋藤部長から「車で行くのなら一緒に送って欲しい」と連絡が入ったので』



齋藤部長。僕と同じタイミングで部長に昇格し、齋藤さんと僕だけ群を抜いて若い部長だと一時社内で騒がれていた



〇:そうか。齋藤部長ってあんまり話したことないけどたしか同い歳だったし…いいよ。OKだと齋藤部長に伝えといて


『分かりました。齋藤部長に伝えておきます』


〇:うん。頼んだよ






それから定時になり頼まれた部下の作った資料確認も終え、齋藤部長が来るのを待っていると…




飛鳥:〇〇部長、送ってもらう上に遅くなってすいません


〇:いえいえ、僕もいま来たとこなので

飛鳥:そうだったんですね

〇:とりあえず遅れたらまずいので早めに行っちゃいましょうか

飛鳥:そうですね。運転お願いします

〇:はーい





それから2人は車に乗りこみ…


〇:齋藤部長ってお酒飲まれるんですか?

飛鳥:ん〜呑むのは好きなんですけどいっぱい呑むと気持ち悪くなっちゃうので少ししか呑めないんです

〇:そうなんですね。僕まったく呑めないんで羨ましいですよ

飛鳥:お酒飲めないんですね…〇〇部長って優しい雰囲気も相まって酒豪なイメージはないですね

〇:イメージ通りなら損してないからいいかなぁ

飛鳥:でも、お酒飲めないのにあれだけ上層部と仲良くできるのはさすがですよ

〇:仲良い…まぁお酒飲まなくても仕事上仲良くすることってそんなにむずかしくないですからねぇ

飛鳥:仕事上……ですか

〇:もちろんです。あんな人達とプライベートでも仲良くしてたら頭おかしくなっちゃいますよ笑

飛鳥:切り替えてたんですね。同い歳なのに私と全然違う


〇:なにいってるんですか…齋藤部長だって人付き合いが上手いのは知ってますよ?

飛鳥:私は女だし、呑みの席でどうとでもなるので誰だって上手くできますよ

〇:まぁ齋藤部長は綺麗ですからね、羨ましい限りですよ

飛鳥:わたし綺麗なんかじゃないですよ?

〇:うそだ〜僕がそのお顔なら毎時間鏡見ますよ…笑

飛鳥:もうやめてくださいよっ…///


〇:(やばっ…照れてる顔めっちゃ可愛いじゃん







それから会食へ行き、上手いことお酒を避けながら他のベテラン部長たちと話に花を咲かせていた



〇:(そういえば齋藤部長どこ行ったんだろ?

社長:〇〇くん、君の部の調子はどうかね?

〇:はい。社長のお陰もあって好調に進んでおります

社長:そうか そうか。君みたいな仕事のできる人間にはどんどん前に出て会社の発展に尽くしてもらいたいものだな

〇:わかりました。あっ…その、社長に聞きたいことがあるんですが…

社長:なにかね?

〇:社長ってゴルフお好きですよね?

社長:もちろんだ。ゴルフは日頃のストレスを癒してくれる最高のスポーツだよ

〇:そうですよね!そこでご相談なんですが、今度コンペがあるのでその前にぜひ社長のゴルフにお供させていただきたいなのと…

社長:いいとも。私はいつでもウェルカムだよ

〇:ありがとうございます
(ゴルフ自体には興味ないけどね





そうして社長と話し終わると、その前から気になっていた齋藤部長を探していると……



「ほらほら、若いんだからまだ呑めるだろ」


飛鳥:あ、ありがとうございます…いただきます……




ゴクッ ゴクッ


「いや〜こうも飲みっぷりが良くて紅一点な女性なんて中々いないからなぁ…ハッハッハ」


飛鳥:そ、そうですね…


〇:(あれは完全に……無理して呑んでるな



“いっぱい呑むと気持ち悪くなる”


うん。たぶんもう気持ち悪くなってそうだ

こりゃあ助けなきゃなぁ……




そう思った〇〇は齋藤部長の周りにいる厄介部長たちの所へ行き



〇:部長たち飲みすぎじゃないですか?


「うるさいなぁ…呑めないお前に何がわかるっ!」


〇:嫌だな〜呑めないからわかるんですよ


「なに?」


〇:呑み過ぎた状態で家に帰り、奥さんから叱られ、門限を早めに設定されるようになり、今までよりも呑める時間が短くなる

〇:そんなことになってもいいんですか?


「くっ…そういえばこの前も家内に怒られたばっかだったような…」


〇:だったらこの辺にしときましょ、飲み潰れてる部長なんてみっともないですよ


「そ、そうだな。この辺にしておこう」



そういうと酒を飲むのを辞め、トイレへと行ってしまった



飛鳥:〇〇さん…

〇:僕はあの部長が叱られるのを阻止しただけですよ

飛鳥: …そ、そうですか
(この人、やっぱりすごい





それから会食は終わり、
明らかに具合が悪そうな齋藤さんを連れ車へ




飛鳥:すいませんこんな惨めな姿見せちゃって…

〇:いえいえ、あれだけ呑んでたら僕なら余裕で潰れてますから…笑

飛鳥:〇〇さんが止めてくれてなかったら私も潰れてました…


〇:あれは思ってた以上に上手く行きましたねぇ…

飛鳥:さすが〇〇さんって感じでしたよ。後味悪くせずにその場を丸く収めるなんてなかなか出来たことじゃないですよ

〇:シラフなら誰でも出来ますよ…笑

〇:あ、具合悪いでしょうから寝てていいですよ。おうちの場所は分かったので

飛鳥:ありがとうございます

飛鳥:(この人ほんとに良い人なんだろうなぁ…でも、これも仕事上…なのかなぁ





そんなことを思っているといつの間にか寝てしまった




〇:やべ、具合悪い状態でこんなに可愛いのかよ……仕事もできるし天は2物を与えないんじゃなかったのかよ

〇:天の方々!契約と違いますよ!




天の皆様は不条理だな〜と思いながら車を走らせるとあっという間に齋藤さんのお家へ着いた




〇:齋藤さん、齋藤さん!着きましたよ

飛鳥:んんっ……あれ、私寝ちゃってた…

〇:グッスリ寝てましたね…笑

飛鳥:恥ずかしい…送ってまでもらってるのに

〇:いいんですよ。それじゃあ齋藤さんまた今度!

飛鳥:はい。今日はありがとうございました



そういって車から出ようとすると…


ふらっ……



〇:ん、大丈夫ですか!?

飛鳥:や、やっぱり呑みすぎちゃってるみたいです…


〇:心配なんで部屋まで連れていきますよ。ここまで送っておいて倒れられても困りますし

飛鳥:あ、いやそんな…申し訳ないですよ

〇:大丈夫ですって。ほら




そういって肩をかして歩き始める


飛鳥:あぁ…ほんとに情けない……


〇〇の肩にぐたぁ…っともたれ掛かる感じからして、1人で歩けるような状態ではなかった







それから齋藤さんの部屋の前へ着き…


〇:齋藤さん、鍵出してください

飛鳥:は〜いぃ



カバンの外ポケットから鍵を出してくれた




ガチャッ


さすがに酔っていてしょうがないとはいえ女性の部屋に入るのは気が引けるので扉を開けたところで別れようと思っていると……




?:ママおかえりー!ってあれ…?あなただーれぇ?


〇:え、ママ…?

飛鳥:あっ……隠すつもりだったのに…

〇:さ、齋藤さんって結婚されてたんですか

飛鳥:あ、いや……そうじゃなくて、シングルマザーなんです

〇:え、じゃあこの時間までこの子はひとりで…

飛鳥:親には頼れなくて、会食の日は我慢してひとりで待っててもらってるんです

〇:そうなんですね…お名前なんていうの?

?:さつきです!

〇:咲月ちゃんかぁ…ひとりで待ってて偉いね

咲月:えへへっ…


そして思い出したかのように…



咲月:あ、ママ!おみやげは?

飛鳥:ごめん、今日は買ってくる余裕なかった


咲月:むぅ…いっつもおみやげくれないじゃん!

飛鳥:ほんとにごめんね…

〇:咲月ちゃんはお土産何が良かったの?

咲月:フルーツ!

〇:そっか。じゃあ咲月ちゃん一緒に買いに行こっか

咲月:いいの!?

〇:うん。フルーツ食べたいんでしょ?

咲月:うん!

飛鳥:〇〇さんさすがに申し訳ないですよ

〇:こんな時間まで大人しく待ってたんですよ?これくらいのご褒美はあげないとっ

飛鳥:そ、それなら私も行きます

〇:齋藤さんはフラフラなんですからダメですよ

飛鳥:でも……

〇:いいから いいから。齋藤さんは休んでてください





それから咲月ちゃんと2人でフルーツを買いに近くのスーパーへ行き、嬉しそうにフルーツを選んでいた






咲月:ママただいま〜

飛鳥:おかえり。なに買ってもらったの?

咲月:これー!



咲月が出してきたのはマンゴーやメロンが入った高めのフルーツの盛り合わせだった



飛鳥:ちょっ…こんな良い物買って貰っちゃったの?

咲月:うん!

〇:そんなに良い物じゃないですよ笑

飛鳥:これは良い物ですよ……

咲月:ねぇママ!〇〇さんすっごいやさしいんだよ!

飛鳥:ふふ。それは今日だけでママも十分知ったよ


〇:僕みたいなやつのどこが優しいんですか…笑

飛鳥:全部ですよ。ここまで尽くせる人なんてなかなかいないです…仕事上……かもしれないですけど

〇:あぁ…そういえば仲良くするのは簡単っていいましたけど、齋藤さんは別ですよ

飛鳥:え?

〇:当たり前じゃないですか。男になんて仕事じゃないと尽くす気にならないですけど、こんなにかわいくて綺麗な人になら喜んで尽くさせてもらいますよ

飛鳥:そ、そうですか…(可愛い…だって///

〇:それにこれだけ中身も良い人なら、むしろ仕事上、じゃなくてプライベートで仲良くしたいですよ

飛鳥:でも私には子供がいるから迷惑じゃ…

〇:こんなに可愛い子のどこが迷惑なんですか。僕の子供にしたいくらいですよ…笑

飛鳥:〇〇さん……

〇:彼女になって……なんて烏滸がましいことは言わないので、まずは…友達になってくれませんか?

飛鳥:わたし、友達にも甘えちゃうタイプですけどいいですか?


〇: …大歓迎です

飛鳥:えへへっ…じゃあこれからよろしくお願いします!〇〇!

〇:よ、よろしくお願いします飛鳥さん

飛鳥:友達なんだから ”さん” はいらないですよ

〇:じゃ、じゃあ……よろしくね、飛鳥

飛鳥:うん!



咲月:ママたちかぞくみたーい


飛鳥:咲月!よけいなこと言わないのっ






それからというもの、2人は会社では部長同士、プライベートでは、友達から彼氏・彼女 へと関係が変わっていき、2年後には婚姻届にハンコが押されたのだとか……

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