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隣の芝は青く見える....それなら自分の空はどんなに色だろう
大学では落単の繰り返し。
バイトでも多かれ少なかれミスを何度も繰り返し、帰る頃にはもうすぐ街に光が差し込んできそうだ
カラスを脅かし脅かされながら帰路を歩く。
そんなときにふと見上げる空は
光以上に大事なものを失ったようなくすんだ空が広がっていた
〇:はぁ...こんなことするために生きてきたんじゃないんだけどな
そんなことを呟いても誰からか助けてもらえるわけもなく、空を見上げると更に気持ちが暗い方向へと走ってしまう
「何をやっても上手くいかない」
今の僕はそう断言出来る。
そんな良くない自信さえもついてしまうくらい自分一人では八方塞がりな暮らしに終止符を打てるわけもなくまた1日が終わる。
そんなある日だった。
〇:なんだこれ
1枚の貼り紙に僕の瞳は集中していた
〇:「「 マネージメントメンバー募集 」」
なんのマネージメントなのか分からないが見ている限り芸能関係であろう。
言わずもがな、手に職などついてない〇〇にとって芸能界は何かこの八方塞がりな環境から打破出来るのではないかと淡い期待を抱いてしまった
〇:よし、俺この仕事応募してみよう
受かれば今の環境が変わる。
その思いだけで面接にまでたどり着けた
そして〇〇の熱量がそのまま面接官に伝わったのか、〇〇は採用された。
それからというもの大学もバイトも辞め、1人の社会人として地下アイドルに近いようなタレントではあるが、マネージャーとしての仕事をまっとうした。
そしてある日、いつもの通り一番乗りで仕事場に着こうと朝早くに家を出てふと空を見た
こんな環境が変わった。
特に自分が起こしたミスなんてものは無く、清々しく広がる空が見られると思ったのだが、、、
そこにあったのはくすんだ空にほんの少しだけ明るさをほどこしたような空だった
これだけ頑張ったんだ。
“ あの頃とは何もかもが違う “
そう言い張れるほどにも関わらず空の色は大して変わらないようだ
そんなことを思いながら仕事を続けているある日のことだった
タレントから呼ばれ、カフェにきた
なんの話しをされるんだろう.....思い当たることも無いのでラフに考えながらカフェにたどり着いた
ほどなくしてタレントもカフェに着くと早々にいわれたのだ
「あなたとは合わない」
朝一番に出勤し、タレントの外仕事にも漏れなく着いていき、少しタイトなスケジュールになっていたのならリスケもこまめに行った
そんな自分が合わないのか....
と、思っていたのが顔に出ていたのだろうか
タレントはこう言った
「あなたの熱量に私がついていけない。それにここまで仕事に熱心になる理由が分からない」
….だそうだ。
前の環境には戻りたくない一心で仕事をやってきたが、まさかそれが仇となるなんて思ってもいなかった
努力してもダメ、努力しなくてももちろんダメ。
結局僕みたいな人間は何をしようと八方塞がりなのだ。
そんなふうに思いながら空を見ると、ほんの少し見えていたはずの光さえみえず、またくすんだような空になっていた
もう情けなさすぎて涙も出なさそうだ
くすんだ空がそのまま僕の心を映しているようで、横を通る通行人にも自分の心が見透かされてるように感じ何もかもが嫌になった
そんな、どこにも自信を持てない中、クビだけは避けるために必死に....というよりも何となく仕事をこなしていると、どうやら僕宛ての吉報が会社へ届いたようだ
その内容はというと
「乃木坂グループ」の事務所からのいわゆるヘッドハンティングだった
乃木坂に関する知識はさほど無いが、あまりにも人気なグループであることから多少は〇〇も知っていた
なんでこんなデカイ企業が俺なんかに.....
大した成績を上げたわけでもなく、何か記録には残らないが名誉なことをしたわけでもない。
だからこそ、この話は嬉しさと一緒に怖さもやってきた。
“また前みたいに頑張りすぎてしまうんじゃないか”
この心配が拭えないなか、指定された日に会社へ向かった
他のライトと変わらないだろうが、会社に入った瞬間眩しく感じるほどに光を浴びた気がした
そして応接室には担当者らしき人と、その横に山下美月さんがいた
アイドルであることは勿論のことながら女優としても活躍し、バラエティーでも才能を開花させることが出来るお手本のようなタレントさんだ
こんな人が何故....
と、思いながら座るように促されたので椅子に座り話が始まる
「今回は我社に来て下さりありがとうございます」
〇:はい
「早速ですが、山下からお話があるので聞いてもらってもいいですか?」
〇:はい。もちろんです
そうして山下さんの方向に目線を変えると
山下:急なんですが〇〇さんお願いがあります
〇:はい、なんでしょうか
“ 私のマネージャーになってもらえませんか? “
〇:えっ...
山下:やっぱり私のマネージメントは嫌ですかね...
〇:あっ...いやそうじゃなくて、なんでこんなにも素晴らしい人のマネージメントを僕なんかに任せるのかなって思いまして
山下:そんなの1つしかないですよ
山下:仕事に対する「熱量」です
山下:前に〇〇さんが他のタレントさんのマネージャーをしてたことを見たことがあって、あの俊敏な動きと、タレントへのリスペクト。
山下:あそこまで出来るマネージャーさんなんて中々いません!
〇:でもそれが前のタレントさんには合わなかったみたいで
山下:それは知ってます。ただ、私は仕事には熱量を持って取り組みたいんです
山下:だから〇〇さんは私のマネージャーには適任だと思うんです
確かにそうだと思った。今までは需要と供給が上手くいっていなかったのだ。
しかし、山下さんは僕の熱量を欲してくれている。これなら僕は思う存分働ける。
そう思い、山下さんのマネージャーになることを即決した
それからというもの、
やはり山下さんとは相性が良いらしくお互いに熱量を保ったまま仕事をこなしていった
美月:〇〇今日も頑張るよ〜!
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〇:うん!
こうして向かえた朝の空は誰がなんといおうと晴天だった
今だからいえる。
昔と違って空の色がくすんだようにみえたとしても、それは空が変わったんじゃなくて、自分が変わったんだ。
それと一緒で、青くハッキリとした空にみえたのなら、それはあなたが良い方向に変わったんだ。
ーEndー
どうだったでしょうか?
自分はこういうタイプの作品は今まで投稿してこなかったのでどういう反応になるのか少し心配です...
まぁそんなことはさておき、過去の人に話しかけるとき私たちって空を見ませんか?
でも、未来の人になにか伝えたいときも空を見ますよね。
心のどこかでうえ(空)に何かを求めているというか、空にはなにか期待してしまうロマンか何かがあるんじゃないかと私は思います。