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酔いつぶれて路上に寝かけていたのはどうしようもない幼馴染でした
マネージャー:賀喜さん着きましたよ
遥香:毎回送迎ありがとうございます
マネージャー:いえいえ、こちらこそですよ
遥香:それじゃあまた明後日お願いします
マネージャー:はーい
いつも同じ家の近くで降ろしてもらいそこからは歩いて家へと帰る
夜中とはいえここまで距離が近いと特に危なくもない。
明日は仕事が休みなため何をしようかと考えながら歩いていると、ひとり酔って道でうずくまっているひとが
都会なのでそんな人がいるのは珍しくはない。
ただ、その風貌と漂う雰囲気……どこか懐かしい感じがする
でも、もし違う人だとしたら危ないので少し遠いとこから頭をフル回転させ記憶をたどっていく
遥香:あっ……
やっと思い出した。
思い出すと人の足は軽くなるもので…
遥香:おーい〇〇〜
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〇:んん…んぇ…?
完全に酔ってる。なんて再会の仕方なの…
遥香:〇〇、こんなとこ座ってないで家に帰ろ…?家はどこなの?
〇:しらなぁい
遥香:はぁ…ちょっとバック漁るよ
〇:う〜ん
バックの中には何かに住所が書いてある……と、思ったのだが中には免許証すら入っていなかった
遥香:もうっ!なんでなにも入ってないのよ…
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遥香:〇〇!早く立って!
遥香:私の家すぐ近くだから
こうして無理やり〇〇を連れ自分のマンションに行く
それからその日は〇〇の良いが冷めることはなく寝てしまった
…………………………
ー次の日ー
〇:んんっ…ここ、どこだ
自分の家ではありえないほどピンクとアニメに支配されたベットルーム。
酔いつぶれたその先は全く覚えてない……なのでビクビクしながらリビングに行くと
遥香:あ、〇〇起きたんだ〜
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〇:んえっ!?は、遥香……
遥香:ふふ。昨日はよく分かってなさそうだったけど酔いが冷めたらさすがに分かったね
〇:おれ…なんか変な事言ってなかったか?
遥香:覚えてないの?あんなことやこんなことしてきたくせにっ♡
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〇:う、うそだろ……
少し残ってた2日酔いが一気に冷め
顔面蒼白になる
〇:ほ、ほんとにいってる?
遥香:うそだよ…笑
遥香:昨日は家に入るなりすぐ寝てたよ
〇:よかったぁ…
遥香:でも…ちょっとくらい話してから寝たかったなぁ
〇:すまん……てか、俺がこんなとこに居ちゃまずいよな。帰るよ
遥香:せっかく再会したんだしもっといてよ
〇:だけど…遥香はアイドルじゃん。男と接触するのはあんまり良くないだろ
遥香:べつに恋愛してるわけでもないんだし良いよ。そんなことよりさ、朝ごはん出来たから座って
〇:う、うん……
(帰らなくていいのかな…
それから用意してくれた朝食を食べ、ゆっくりティータイムに
遥香:それにしても久しぶりだね。もう会えないと思ってた
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〇:それはこっちのセリフだよ。高校卒業して大阪から出てきて…色んなとこで遥香が映ってて…テレビの中の人になってるのを見たら一生会えないんじゃないかって思ってた
遥香:わたしテレビの中の人になってる?
〇:うん。もうすっかり
遥香:そっかぁ…でも、私からしたら何も〇〇に関する情報がなくて心配だったんだよ?
遥香:〇〇のお母さんに聞いても明確な答えこないし
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〇:あぁぁ…まぁそうだろうな
遥香:なんでなの?なんの仕事してるかくらい知ってもよくない?
〇:知られたら…俺と遥香の関係が100%崩れる
遥香:なにそれ…仕事のせいで私たちの関係が崩れるってどういうこと?
〇:うん……あんまり説明したくない
ちょっとしかめっ面で遥香と目を合わせない〇〇
遥香: ……言ってよ
〇:え?
遥香:会えなくて、ずっとずっと気になってた人と久しぶりに会ったら関係が崩れる仕事をしてるって気になりすぎるでしょ
遥香:それに…私は絶対関係が崩れない自信がある!もし、〇〇が私から距離を置こうとしても絶対崩れさせないからっ
〇:遥香……
〇: ……。
〇:分かった。話すよ
先ほどまでのしかめっ面の顔から引き締まった顔に変わった
〇:俺さ……週刊誌で働いてるんだ
遥香:えっ……
〇:ごめん。ほんとに…ごめん
深く深く頭を下げ、今にも泣きそうな〇〇
遥香:なんだ…そんなことか
〇:え?
遥香:うん?週刊誌で働いてる。それで、関係が崩れる話って?
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〇:こ、この話が関係が崩れる話だったんだけど
遥香:ふふっ…〇〇は私のこと見誤ってるね
〇:どうして?
遥香:そんなことくらいで、嫌いになるほどの好き具合じゃないってことだよ
〇:で、でも…あんなに如何わしい記事書いてんだぞ?それも仕事で
遥香:まぁその点はどうにかして欲しいとこではあるよね
遥香:ただ、もう慣れちゃった。色んな人から撮られるの
〇:そ、そうか……
なんだろう。
『嫌い。もう帰って』と言われた方が清々しいくらいに気まずくなる〇〇
遥香:それにしてもさぁ…なんでそんなとこだって分かってて入社したわけ?
〇:それは……どうしても大阪を出て東京に行きたくて…でも高卒で雇ってくれる所も少ないなかでこの会社の求人を見つけて…受けたんだ
遥香:それで受かっちゃったんだ
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〇:うん。でも、入社して一段落ついたタイミングで思い出したんだ…遥香のことを傷つけてしまう可能性があるって
遥香:あのさぁ?栃木に行ったとはいえ幼馴染のことは忘れないでくれませんかね
〇:ごめん…あのときは周りが見えてなくて……
遥香:ふーん。窮地とはいえ周りが見えない人がちゃんとした記事なんて書けるわけないよね〜
〇:そ、その通りです…はい
遥香: …いつまでその仕事するつもりなの?
〇:いつまでって……特に決めてはないかなぁ…
遥香:幼馴染を傷つけるかもしれないとこにい続けようとするなっ!ばかっ
〇:ごめん……
遥香:よし、とりあえずその会社辞めよ
〇:えっ…でも貯金があんまりなくて生活資金が…
遥香:そんなの私の家に住めばいいじゃん
〇:そ、そんなわけにはいかないよ…
遥香:〇〇は料理得意だったし綺麗好きだったよね?今の私にはそのふたつが足りてなさすぎるの!
遥香:だから、ここに居てよ
〇:でも家事するからってさすがにそれを仕事みたいにするのは……
遥香:じゃあさ、これを家事しながら取りな
そういって遥香が見せてきたのはファイナンシャルプランナー(FP)と呼ばれる資格だ
遥香:これ取ればさ、メンバーとかスタッフさんにも頼られるし、自分のことにも活かせる
遥香:どう?良くない?
〇:たしかに良いことに溢れてるけど…取れるまでは遥香に迷惑かけることになるし……
遥香:元々私が苦手なことをやってくれる。これだけで迷惑かけないって
遥香:いいじゃん!今すぐ辞表出してきてっ
〇:そ、そうか……とりあえず辞表書くわ
遥香:てか、言ったでしょ?関係崩れないって
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〇:そうだな。びっくりだよ
遥香:これからはもっと良い関係になろっ?
〇:うん。これで遥香には後ろめたい気持ちはなくなったよ
遥香:そもそも後ろめたいところに入るなって話だけどね
〇:すいません……
遥香:困った幼なじみを持ったもんだね!
〇:ごめんって…笑
こうして遥香を傷つける可能性のある立場から、遥香を支える立場になり…
心の負担が軽くなった〇〇でした