耳の聞こえない君に恋をした
ここは図書館
もうすぐ閉館の19時をさそうとしている
ここの図書員である○○は悩んでいた
○:(もうすぐ閉館なのにあの子いつまで
読むつもりなんだろう?
○○の視線の先にはひたすら本を読み続ける
女性がいた
○:(話しかけるか...
○:あの〜 もうすぐ閉館なんですが〜
?:......
相手は全く気づいていない様子だった
○:(結構大きい声出したんだけどなー
○:あのー!
○:(もういいや
ポンポン
肩を叩くと振り向いてくれた女性
○:もうすぐ閉館なので退出して貰えませんか?
?:、、、?
首を傾げる彼女
○:(どういうことなんだろう?
○:(大学生くらいに見えるんだけど...
?:!!
なにか閃いた様子だ
○:(鉛筆と紙を出して何をするんだろう?
✍✍✍✍✍✍✍
何かを書いた紙をくれた
○:「私は耳が聞こえません。紙でやりとりを
してもらえませんか?」
○:そういうことか!
ここでようやく合点がつく○○
○:『あなたのお名前は?』
?:「賀喜遥香です」
賀:「さっきなんて言ってたんですか?」
○:『もうすぐ閉館だから退出してほしいって
言ったんだよ』
賀:「わかりました」
○:『気をつけてね!』
賀:「はい」
そういって笑顔を見せながら賀喜さんは帰っていく
○:(耳が聞こえないのか...それより...
可愛い"(∩>ω<∩)"
完全に一目惚れしていた
ー次の日ー
○:(まだいる...紙に書くか...
トントン
賀:?
○:『もうすぐ閉館の時間だよ』
賀:「わかった」
そういって本を返して帰っていった
○:本の整理してから帰ろ
ー30分後ー
○:疲れたー
○:お酒買って帰ろ......
〜〜〜
店員:いらっしゃいませー
○:(えっと...えーっと......これだ!
レモンの酎ハイを3缶カゴに入れる
〜〜〜
店員:ありがとうございましたー
〜〜〜
店を出て少しすると...
▽:おいそこの姉ちゃん遊ぼーぜー!
○:(あんなやつまだいるんだな(失笑)
▽:おい💢何かしゃべれよ
○:(可哀想だな...女の人はどんな人なんだろう
そうして女の人の顔を見ると
○:(賀喜さん!?
○:(助けないと
○:おい。お前やめろよ
▽:あ?お前なんなんだよ
○:そいつの彼氏だよ
賀:、、、、、、
▽:おいおい笑
▽:彼女何とも言ってないぞ笑
○:彼女は耳が不自由なんだよ
▽:え.....
○:だからこの状況で答えが返ってくるはずが
ないんだよ
▽:そ、そんな障がい者と付き合って楽しいのかよ
○:当たり前だ
▽:障がい者だぞ?
○:あぁそうだ。もういい。失せろ!
そそくさとどこかへ走り去って行った
○:(遥香、、、、
いつの間にか呼び方が変わっていた
ギュッ
○:怖かったね、助けるの遅くなってごめんね
雨も降っていないのに、
どんどんと○○の胸の辺りが濡れていく
○○はただ背中をさすることしか出来なかった
ー次の日ー
いつものごとく来館する遥香
〜〜〜
時計の針は18時30分をさす
昨日のことが気になるため遥香の肩を叩く
賀:?
○:『昨日は大丈夫だった?』
賀:「○○が助けてくれたから大丈夫!」
○:『なんで僕の名前知ってるの?』
賀:「名札つけてるじゃん」
○:あ、そうだった、、、
賀:「昨日あの人になんて言ったの?」
○:『ひみつ』
賀:「教えてよ」
○:『わかったよ』
○:『遥香は僕の彼女だって言った』
そう言うと少し照れた様子の遥香
賀:「う、嘘で言ったのは分かってるよ。」
賀:「障がいをもってる人の彼氏になんて
なりたくないよね」
○:『遥香が良いなら僕は彼氏になりたいよ?』
賀:「え!?」
○:『だって遥香は可愛いし守りたいって
思うもん。』
賀:「でも口で喋れないし耳はきこえない
んだよ?」
○:『わかってるよ』
賀:「○○も大変になると思うよ?」
○:『なんで?』
賀:「だって手話も覚えないといけないし、
周りの人から色々言われるかも
しれないし...」
○:(たしかに昨日も言われたな......
○:『手話は頑張って覚えるよ。そして、、、』
○:『遥香と付き合うんなら周りなんて
気にしないよ』
賀:「そっか...この後時間ある?」
○:『あるよ』
賀:「じゃあ私に着いてきて」
○:『じゃあ19時まで待ってて』
賀:「わかった」
〜〜〜
○:『お待たせ』
賀:「遅い!」
○:『ごめんごめん』
外ではスマホを使って会話することになった
賀:「ここ!」
○:『お家?』
賀:「わたしのお家」
○:『もしかして......ご両親とかいる?』
賀:「うん」
○:(マジか😨
賀:「入るよ!」
○:『...うん』
ガチャ🚪
賀母:遥香おかえりー...ってあなたは?
母親のポカンとした顔に気づいた遥香は
遥:✋「わたしの彼氏!」
※✋は手話を表しています。
遥香は手話で話しているため○○は何を言ってるかわからない
賀母:遥香の彼氏なんですね
○:あ、はい(僕彼氏になれたんだ.....
賀母:どうぞおあがりください
○:お邪魔します
〜〜〜
遥:「ここがリビング!」
○:『了解!』
遥香がドアを開くと
○:(え......?
そこには部屋いっぱい"𝐁𝐈𝐑𝐓𝐇𝐃𝐀𝐘"
の装飾が施されていた
?:今日の主役が帰ってきたね
?:ってあなたは?
○:遥香の彼氏の○○といいます
?:そうなんですね。僕はお姉ちゃんの弟です
○:そうなんですね。
○:今日の主役ってことは遥香は誕生日
なんですか?
弟:彼氏なのに知らなかったんですか?
○:今日彼氏になったばっかりで.....
弟:それならしょうがないですね笑
弟:お父さん! 姉ちゃん帰ってきたし、○○さんも来たからパーティー始めよ!
父:そうだな
○:僕も参加していいんですか?
父:全然構わないよ
○:ありがとうございます
弟:ということで、姉ちゃん誕生日おめでとう!
全:おめでとう!
遥:✋「ありがとう」
○:遥香は今なんて言ったんですか?
弟:ありがとうって言ったんですよ
○:そうなんだ...(手話覚えよ...
賀母:じゃあ食べようか
弟:うん!
全:いただきます!「いただきます」
〜〜〜
弟:お腹いっぱい
○:『遥香けっこう食べるんだね』
遥:「そうかな?」
○:『意外だったよ』
遥:「そっか」
父:○○君...ちょっとお話をしないか?
○:はい
父:遥香と母さんは向こうの部屋に行っといて
くれ
そういうと遥香を連れて母さんは別の部屋へ
父:単刀直入に聞く。
父:遥香と付き合うことがどういうことかわかってるのか?
○:わかってます
父:君は今から手話を覚えないといけない。
父:そして遥香は出来ることが限られている
父:親が言うのはなんだが、遥香と関わると
君の人生が変わってしまうんだぞ
○:もちろんわかってます。今まで通りいくとは
思ってません。
父:本当にいいんだな?
○:はい。覚悟はできてます。
父:それなら頼もしいな笑
○:なんで笑ってるんですか?
父:ごめんね。少し○○君を試させてもらったよ
○:そうだったんですね。
父:でも一緒にライブや映画に行くことが殆ど
できないのは事実だよ
○:そうですね。
父:でも君は頼もしいよ
○:まだまだ分からないことだらけなので
色々教えてください
父:もちろんだよ
弟:もう姉ちゃん達呼んできていい?
父:ああ、呼んできてくれ
弟:はーい
ガチャ🚪
父:○○くん
○:はい.....
何か雰囲気が変わった感じがした
父:遥香のこと頼んだよ
そういうと頭を綺麗に下げる遥香の父
○:はい!
○:(なんかもう結婚直前みたいだ💦
〜〜〜〜〜
それから少し時間が経ち
賀母:あの〜さっき遥香から聞いたんだけど、
昨日遥香のことを助けてくれたんですね
父:そうなのか!?
○:はい。昨日帰る途中に遥香さんがナンパ
されていて....
賀母:だから昨日目が腫れて帰ってきたのね
○:もう少し僕が早く気づければ良かった
んですけど...すいません
父:いやいや、○○君は遥香を助けてくれた
んだから
賀母:助けてくれてありがとね
○:いえいえ
弟:とりあえず、パーティーはお開き?
父:そうだな。もう22時だし
○:そうですね
○:『じゃあ遥香またね!』
ギュッ
袖を掴んで離さない
遥:「帰っちゃダメ!」
○:えぇ〜〜
賀母:遥香がこんなことするのはじめてだね
父:たしかにな
寂しそうな瞳でずっと見つめてくる
○:あ、あの〜今日泊まっても良いですか?
賀母:○○君がいいなら全然構わないよ
○:ありがとうございます
○:『今日泊まっていくよ 』
遥:「ヤッタ!」
見るからに嬉しそうな笑顔になる
〜〜〜〜〜
○:『そろそろ寝よっか』
遥:「うん...」
○:『どうかした?』
遥:「ギュッってしたい」
○:『わかった』
ギュッ
遥香は抱きつくと嬉しそうな笑顔をみせた
○:言葉がいらないこともあるんだなーボソッ
遥:「なんか言った?」
○:『言葉がなくても伝わるって言った』
遥:「?」
○:『明日どっか行かない?』
遥:「○○がエスコートしてくれるなら
いいよ!」
遥:「どこ行くの?」
○:『ひみつ』
遥:「楽しみにしてる!」
○:『おう』
スースースー
🥱🥱😪😪😪😴😴😴😴
いつの間にか寝た遥香...しかし
○:(ヤバい...明日行くとこなんて決めてない💦
○:(そもそも隣で女性が寝てるのはじめてだ...
頭がパンクしそうな○○だった
ー次の日ー
トントントン👈
○:ん?
遥:「おはよう」
○:『おはよあ』
遥:「はい?」
朝の寝ぼけで上手くキーボードを打てない○○
○:あ、誤字った
○:『おはよう』
遥:「うん。おはよう」
遥:「リビング行こ!」
○:『うん』
〜〜〜〜〜
賀母:✋「今日はどこか行くの?」
遥:✋「今日遊びに行ってくる!」
賀母:✋「へーどこ行くの?」
遥:✋「私知らない」
賀母:○○君、今日遥香とどこ行くの?
○:チームラボプラネ○ツ東京に行こうと
思ってます
遥:「?」
口で話しているため遥香は会話の内容が全く
分からない
賀母:チームラボ?
○:すごく幻想的なところなんですよ
弟:○○さんさすがですね
弟:お姉ちゃんでも絶対楽しめる所みたいだし
○:ありがとう
○:『じゃあ行こうか』
遥:「うん」
〜〜〜〜〜
ーバスの中ー
遥:「○○」
○:『うん?』
遥:「今日どこいくの?」
○:(あ、伝えてなかったんだった
○:『チームラボプラネッツってとこ』
遥:「何か楽しみ!」
○:『期待してて!』
遥:「うん」
〜〜〜〜〜
○:『着いたよ』
遥:「ここ?」
○:『そう!』
○:『入ろっか』
遥:「うん」
スタッフ:入口こちらになります
○:ありがとうございます
何を言ってるか分からない遥香はずっと
○○の手を握っている
スタッフ:それではお楽しみください!
〜〜〜〜〜
○:(遥香どうかな?
遥:✨️✨️✨️✨️
ふと横を見るとキラキラした目で作品を見つめている
○:(よかった
○:『次行こうか』
遥:「うん」
〜〜〜〜〜
遥:「こんなとこもあるんだね」
○:『そうみたいだね』
遥:「さっきの所見てたら絵を描きたくなって
きた」
○:『絵上手いの?』
遥:「下手では無いと思う」
○:『今度僕を描いてよ』
遥:「いいよ!」
○:『よし!』
〜〜〜〜〜
遥:「綺麗だね」
○:『なんかこういう所で靴脱いで寝っ転がる
って新鮮だね』
遥:「なんかダメなことしてるみたい笑」
○:『ホントだね笑』
〜〜〜〜〜〜
遥:「楽しかった!」
○:『そりゃぁよかったよ』
遥:「私の事考えてここにしてくれたん
でしょ?」
○:『まぁそうだね』
○:『耳を使わなくても楽しめると思った』
遥:「私のこと考えてくれてありがとね」
○:『2人で楽しみたいからね』
遥:(こんな人会ったことないよ
遥:「○○!スキ♡」
○:『突然だね笑』
遥:「迷惑かけると思うけど、ずっと横に
いてね!」
○:『もちろんだよ』
ー6年後ー
パパ......パパ......パパ!........パパ!!
○:うん....おはよう和、咲月。
和:おはようパパ
咲月:おはよう!
和:もうママ起きてるよ
○:ハイハイ
〜〜〜〜〜〜
○:✋『おはよう遥香!』
遥:✋「おはよう」
○:✋『昨日夜まで仕事だったのに起きるの
早いね』
遥:✋「せっかく今日は休むって決めたからね」
遥:✋「いっぱい遊ばないと!」
○:✋『そっか。今度4人の絵を描いてよ』
遥:✋「忙しいんだけど!!」
○:✋『そうだよね...』
遥:✋「まぁ...描くよ」
○:✋『やった!✨️』
○:よし!咲月、和、今から写真撮るよ
和:なんで〜?
○:ママが絵を描いてくれるって
咲月:やったぁ!
○:はい。みんなこっちによって
○:✋『遥香もこっちによって』
遥:✋「うん」
○:はいチーズ!
📸カシャッ
○:✋『遥香、期待してるよ!』
遥:✋「任せて!」
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あれから遥香は世界をまたにかける画家になった。ラボプラネ○ツに行ったことをきっかけに遥香の芸術センスが開花したのだ。
デビュー前の結婚の際は色んな人から「やめた方がいい」といった声をもらったが、○○の胸にはまったく響かなかった。
"言葉は心を越えない。
ただ、想いは心を越えることが出来る"
君が教えてくれた大事なこと。