【箱根駅伝2023】雑感と予想の答え合わせ
往路は2区の名勝負にその後の首位争い。復路は途中、大集団になった3位争い。優勝争いは結果的に近年よくある、復路は1位が無難に逃げるパターンではあったが、中央大も粘り、ブレーキがあれば拾える位置に最後までいた。母校が失速し、シード権争いは最後無風になってしまったが……。面白い箱根駅伝だった。
終わった直後の感想を簡単に書いてみる。
駒澤大は3冠。出雲駅伝、全日本大学駅伝をミスなく優勝したのと同様、箱根もそつがないレース運びだった。
個人的にキーパーソンを挙げるなら、3区2位の篠原倖太朗(2年)。2区・田澤廉(4年)が案外な結果で、悪い流れもあるかというところで首位と10秒差、青山学院大学より前でつなげた。これで4区・鈴木芽吹(3年)は区間2位の青学・太田蒼生(2年)と並走して首位に立てたし、5区・山川拓馬(1年)も前を追わずにマイペースで走れた。流れを作ったのは篠原だったように思う。花尾恭輔(3年)や佐藤圭汰(1年)がいない中での完勝は選手層の充実ぶりも伺わせる。単純な机上の計算では、4年生が抜ける1区、2区、9区に復帰すれば唐沢拓海(3年)、佐藤、花尾が入るだけで勝てそう。5区、6区とも1年生が快走したこともあり、来年以降も楽しみだ。
青学の敗因はやはり若林宏樹(2年)が5区に使えず、山で大きく順位を落としたことだろう。特に6区のようなブレーキがあるようでは、優勝は難しい。ただ……過去の大会で5区といえば、竹石尚人がいる中で飯田貴之、その飯田を4区に回して若林といったように、経験者をあえて外して優勝してきた実績がある。つまり、コンスタントに2枚以上、山要員がいたということだ。分厚い選手層の優位性を最大限生かし、かつ原晋監督の慧眼がなし得たことだろう。それが今回はアクシデントとはいえ、若林に次ぐ選手を作れなかった。重要な山でこの“神通力”が通用しなくなってきたようだとどうか。
新型コロナの影響で出雲が無かった2020年度を除けば、青学が三大駅伝で無冠に終わったのは、青学が箱根を初優勝する前年の13年度以来。次回も優勝候補の本命になりそうな駒大だけでなく、中大、順天堂大学、國學院大學などそれに続くライバルの選手層も近年に無い充実ぶりになる可能性がある。4年生が多く抜ける次回は、青学にとって正念場。近年常に優勝争いを続けた主役の座を今後明け渡すのか、分水嶺になるだろう。
往路の快進撃はある程度想定内とはいえ、中大の総合2位には驚いた。20年度3位の國學院大學、21年度2位の創価大しかりだが、往路重視の区間配置+山の安定感が躍進につながった。復路は上位単独で気持ちよく走れると、最後まで逃げてしまえるような印象がある。戦前はどちらかと言うと順天堂がこうしたレース運びをすると予想していたが、2~4区の経験者が伸びなかった。東洋大は往路の戸塚中継所で19位にいながら、シード権を確保するしぶとさが圧巻だった。
最後に、戦前に書いた記事の答え合わせをしたいと思う。
◎青学→3位
○駒大→優勝
△國學院→4位 順天堂→5位
中大以外の上位は当てたが、仮に馬券だとしたら、どういう買い方をしても的中していなかっただろう。残念ながら予想は失敗だった。
ただ、
・4区終了時点で首位
・5区、6区の区間順位の合計が5以内
という駒大が優勝する法則の仮説は実証された結果になった。データの検証はしてみるものだ。
気が向いたら詳細な振り返りもしてみたいと思いつつ、次回もまた箱根の前に何らかデータ検証をしたい。
(敬称略)