No,85【辛い時こそ笑わなくちゃ 一話】
※知人のストーリーです。
僕はごく普通の家庭に生まれた。
親はどちらも自営業で2人とも夜遅くまで仕事の日がほとんどだった。
最初は寂しさもあったがすぐに慣れた。
夜は家に親は居なく妹と2人のことが多かった。
ゲームもほとんどなかったから、2人でよくテレビを見て居た。
妹は少し寂しそうな顔をしていたのを覚えている。
僕が高校に入学してすぐに親が離婚した。
親はお互いあまり顔を合わせない生活も続いて居たし、
金銭面なども厳しくなり喧嘩も増えていた。
妹はこの喧嘩をいつも見ては、泣いて居た。
それを見るのが嫌になり、僕は親に『離婚してほしい』と言った。
親でも自分と違う人間なのだ。
子は親を選べない。
親の間違いは子が指摘して改善するのも筋だ。
また、決別だってしかたないことだ。
僕の寂しさはどうでもよかった。
妹を守るのは自分なのだとこのとき誓った。
高校卒業するまでのお金は親がなんとか支払ってくれた。
妹は大学に行きたいと言っていたが親に頼れるはずもなく、
自分が働いて妹の学費を稼ごうと想い、卒業後建設会社に就職した。
就職先が大阪の方になり元々は北海道に居たが、
親の離婚もあり僕は大阪に、妹は叔母がいる仙台に引っ越すことになった。
妹は少し元気を取り戻し叔母と仲良く暮らしていた。
仙台の中学に転向して友達も何人かできていた。
少し安心できた。
僕の仕事の方は別に変な上司もいるわけでもなく、
結構楽しく仕事をしていた。
しかし、社内であまり良くない噂があった。
「受注が全然取れず今年いっぱいで会社倒産するかもしれない。」
と言うものだった。
噂は的中し就職して一年半で会社が倒産してしまった。
中々人生上手くいかないなって思ったのはこのときからだった。
しかし、そんなことも言ってられずすぐにバイトを探し、
二つ掛け持ちをしながら生活した。
そして、最悪な出来事が起こった。
一話 完