No,90【雨の中で笑う】
雨の中で少年は笑っていた。
びしょ濡れになって下を向いて笑っていた。
彼はなぜ笑ったのか。
_______4時間前_______
『いまどこにいんのさ!?百合が意識のない状態で病院に運ばれたんだよ!早く涼も来て!』
そんな連絡が彼女の友達から突然きた。
直後は何がなんだか分からず、とにかく病院に急行した。
病院が近くなるにつれ、実感が湧いてくる。
この感情は悲しみじゃない。恐怖だ。
なんなんだ。この恐怖感は。
大切な人が危険に晒されるとこんなに恐怖に支配されるなんて。
とにかく落ち着ける状態ではなく、とにかく走った。
病院着いた。
待ち合い室に先ほど電話をくれた彼女の友達が泣きながら座っていた。
なんなんだ。
嫌な予感しかなしない。
なんなんだ。
この熱くて気持ち悪くなるほどの恐怖は。
涼『百合は・・・・どこ?』
友達『もう遅いよ涼。死んじゃってるよ。なんで百合が・・・なんでよ!なんでっ!!』
涼『・・・へ?・・・し・しんだ?』
僕は病院の看護師さんの肩を掴んで
涼『百合はどこですか?どこ?』
看護師『百合さんの彼氏さんですね。百合さんは・・・お亡くなりになってました。』
涼『なっていた?どうゆうこと・・ですか?』
看護師『首の動脈を刃物のようなもので切られてある公園の椅子に横たわっていたみたいです。その時点でもうお亡くなりになっていたんです。』
涼『これって殺人じゃないか。殺されたのか?
だれ・・・だれだ。犯人は?』
看護師『今捜査中とのことです。』
看護師『百合さんとお会いしますか?』
涼『いえ、やめときます。』
百合、そんな姿見られたくねーよな。
誰がやったのか探し出してやる。
一話 【恐怖】