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「それは君からの綺麗な一言」




綺麗な言葉。


美しい
素晴らしい
眩い


これだけではなく色々あると思う。


けど、、、


この世で1番綺麗な言葉は



身近な言葉に存在する。



それは...。











「僕と付き合ってください」




「ごめんなさい...」



高校3年の春。



僕はずっと恋をしていた人に想いを伝えた。



結果はこうだ。



振られた。



「振られた時ってこんな感覚なんだな...」



恋愛の難しさ。切なさ。辛さ。


それを重く感じながら、
雨が降って濡れた道を、
ひとり寂しく歩いて帰っている。


ボケーッとしながら歩いていると、



「眩しい...」



雲で埋められていた空から陽がでてきて、



痛いぐらい眩しい。

「空さん...僕に光の道を出してください」



上を見上げて、


ありえないことを空にお願いしてみる。


少し待ってみるも、何も起きない。



「なんか幸せな事が起きないかな...」



何か幸せを感じたい。

振られてぽっかり穴が空いた僕の心は、
幸せを求めていた。


そうしていると、家の近くの公園の入口。


いつも何かあった時に使うベンチが、
陽に照らされていた。



「座ってくださいってことかな」



だから座りに行く。



「カラカラに乾いてる...」



ホントに雨が降った?って思うぐらい乾いている。



「うわっ...」



座り、空を見ると...



「虹だ...」



空に”虹”が出来ていた。



「虹だよ...虹が見れたよ」



なぜか知らないが、凄く幸せだ。



「虹さん...切り替えろってことですか」



それを聞くと虹の明るさが増した気がした。



「みたいですね...切り替えて頑張ります」



そこから虹と沢山会話した。


この虹は僕のことを理解してくれている。


だからなのか、
話す度に振られて辛い心がどんどん晴れていく感覚。



「前を向けた気がするよ...」



虹と話して僕は完治までとは行かないが、
心の辛さ、痛さ、苦しみが和らいだ。


そして、勇気を貰った。



「また...何かあったら出てきてくださいね」



それを虹に向けて話すと色が薄れていく。



「ありがとうございました...」



それを言うと虹は消えてしまった。


時刻は5時過ぎ。


陽が差し、僕の前に僕の影ができていく。


それを見てると、横にもうひとつ影があった。



「ん...」



その影の主を見てみると制服姿の女性がいた。



「うぅ...いい話だった...」



「え...」



見知らぬ高校生らしき女性の方が立って泣いている。



「あの〜どうされましたか?」



話しかけてみる。



「あ!き、君の話に感動してたの!」



「え...あ...それはどうも...」



突然そんなことを言われて言葉があたふたした。



「隣座っていいかな?」



「いいですよ」



隣に座ってきた。


なんか失恋ドラマみたいな展開。


振られた後にまた新たな出会い...?


そんな馬鹿な...。



「お名前は?」



「菅原咲月です!君は?」



「二宮○○です」



「○○くん!よろしくね!」



「よろしく...」



ハキハキして、元気で、凄く可愛く綺麗。



「この辺に住んでるんですか?」



「いや違うよ!私、ここお気に入りの場所なの!」



「え...ホントですか?!」



お気に入りと聞き、場所を聞いてびっくりした。

僕もお気に入り場所。

なのに、今まで会ったことなかったから。



「そうだよ!なんかびっくりした?」



「僕もお気に入り場所だから今まで咲月さんのこと見た事なかったので...」



「そうなんだ!」



「今日はどうしてここに来てたんですか?」



「実はね...私も振られちゃったの」



「そうなんですね...」



まさかの咲月さんも振られてここに来たみたいだ。



「だからね...ここに来て気分を晴らそうとしたら先客の○○くんがいた」



「な、なんかすいません」



「気にしないで!それでね、こっそり○○くんの話聞いてたら私と同じ心境だったから泣いちゃってた...」



「なるほど...同じ気持ちの人が居て嬉しいです」


こんな可愛い人と同じ心境なのは嬉しい。



「○○くんのおかげで少し気が晴れたよ!」



「僕も良かったです、気も晴れて咲月さんとも出会えたので」



「私も○○くんと出会えて良かったよ!」



「もし良ければ連絡先交換しませんか?」



「いいよ!」


僕は心の中でガッツポーズをした。

勇気を出して良かった。



「○○くん17歳ってことは高校3年生?」



「はい、咲月さんも高校3年ですか?」



「そうだよ!」



まさかの同学年。



「僕でいいなら仲良くしてくれますか?」



「もちろん!よろしくね!」



「よろしく!」



その後、時間が許すまで咲月さんと話した。


趣味、好きな食べ物、好きな曲の話をして、


さっき出ていた虹の話もした。


とにかく沢山話した。


振られたことなど忘れて話した。


僕は幸せだった。


とにかく幸せだった。


それはなぜか。


新たな出会いをして、咲月さんに...




恋をしたからだ。




「今度、カフェ行こうね!」



「うん!」



カフェに行く約束もした。



「じゃバイバイ!」



「バイバイ!」



咲月さんは自分の家の方へ帰って行った。



「咲月さん...綺麗で素敵な人だったな」



虹を見た場所で新たな出会い。


僕は幸せの余韻に浸りながら家に帰った。





その夜、咲月さんから連絡が来た。



「これさっき話した好きな曲!」



「わざわざ送ってくれてありがとう!」



「いえいえ〜聞いてみてね〜」



この曲はとても綺麗。

そして歌詞は、
今日の僕たちのような歌詞だった。





カフェに行く日。

実はこの日以外にも、
咲月さん...いや咲月ちゃんと学校終わりに会っていた。

僕の高校の隣の高校に咲月ちゃんは通っている。

僕の高校から咲月ちゃんの高校に行く途中にある、コンビニで毎日会っていた。


そして、



「さん付けは距離感じるからちゃんにしてよ」



と言われたから今はタメ語で咲月ちゃん呼び。


で、そのコンビニで咲月ちゃんを待っていた。



「あっ!いた〜」



無邪気で元気で可愛い咲月ちゃんの登場だ。



「こんにちは!お待たせしました!」



「こんにちは!咲月ちゃん!」



「ねぇねぇ私服の私どう?」



「どうって似合ってるし...」



「うんうん!」



「可愛い...」



言ってしまった。


可愛いと。



「えへへありがとう...」



お互い照れている。



「時間が勿体ないから行こうよ!」



「うん!」





「ここのカフェも私のお気に入りの場所なの!」



「そうなんだ」



「うん!ここを○○くんに教えたかったの!」



「教えくれてありがとね」



「いえいえ〜何にしようかな〜」



「おすすめとかある?」



「ん〜そうだな〜パンケーキかな〜?サンドイッチかな〜?」



「なんでもおすすめ!」



「なら〜パンケーキにしてみる」



「○○くんがパンケーキなら〜私サンドイッチ〜」



頼み終わり、お互いの頼んだものを待つ。


その間も会話は絶えない。

それ話したよな?ってことも話したし、

話したことない話もした。

そして、頼んだものが届いた。



「おいしそ〜」



「おいしそうだね!」



「いただきます!」



「このパンケーキうまっ!」


程よい甘さで食べやすく、美味しい。



「でしょでしょ〜」



「うん!」



「パンケーキ少しもーらい!」



「え...あ...」


咲月ちゃんが少し食べた。



「ん〜おいし〜」



可愛いけど、びっくりして口が閉じない。



「そんなに口を開けないの!ほら、サンドイッチあげるから〜」



「うん...」



「あーんして?」



「...あーん」



咲月ちゃんがあーんしてくれた。

照れるというかこれもびっくりした。



「どう?美味しいでしょ?」



「うん...」



「良かった〜」



咲月ちゃんは僕を困らせてくる。

もう完全に堕ちている。

1つひとつの仕草、話すこと全てが可愛い。

早くこの想いを伝えたい。

でも、早とちりはダメ。

時間をかけて咲月ちゃんに想いを伝えたえる。

僕の心よ。

我慢だぞ。




「楽しかった〜」



1時間半咲月ちゃんとカフェで話した。



「楽しかったね!」



「うん!」



「そろそろバイバイだね」



「そうだね...」


咲月ちゃんが少し悲しそうにした。

そしてら咲月ちゃんが、



「また明日からも私と会って、話してくれる?」



「それはもちろん!」



「やった!」



悲しい顔が一気に嬉しい顔になった。



「じゃ明日からもよろしくね!バイバイ!」



「うん!バイバイ!」



咲月ちゃんとの初デートの幕が閉じた。


そして、次の日から僕たちの距離はもっと近くなった。

毎日コンビニで会っては、
カフェに行った次の週はショッピング。


ショッピングデートでは...



「好きな方を選んで指さそうよ!」



「いいよ」



「じゃ!せーの!」



「おっ!同じだよ!」



「ホントだね!」



「じゃ2人で同じの買おっか!」



2人でお揃いの帽子を買った。

そして、

僕が咲月ちゃんに似合う服を選んで、
咲月ちゃんが僕に似合う服を選んで、
それをそれぞれが買うということもした。







次の週は水族館デート。

この前買った、お揃いの帽子を被って...。

海の生き物たちを見て子供のように、
無邪気にはしゃぐ咲月ちゃんは、
とても可愛かった。




「お揃いのキーホールダー買おうよ!」



「いいよ〜」



「あっ!ねぇねぇこれよくない?」



「どれ?」



合わせたら絵が繋がるキーホールダー。



「これお互いの学校のカバンにつけたら完璧じゃない?」



「それいいね!」



「じゃ!○○くんはこっちで私はこっち〜」



僕は青のイルカ。

咲月ちゃんはピンクのイルカ。

絵を合わせるとハートになる。



「これでまた絆が深まったね!」



「うん!」





そして、咲月ちゃんと出会い1ヶ月が経ち、


5月になった。


この1ヶ月あっという間だった。

もうあの頃の僕はいない。

咲月ちゃんという存在が僕の生活を明るくしてくれた。




今日も咲月ちゃんと学校終わりに
いつものカフェに来て、雨宿りをしていた。



「ねぇ雨止みそうだからさ公園行かない?」



「いいよ」



2人で傘をさして向かう。



「○○くんの傘がぶつかって上手くまっすぐ歩けないんだけど!」



「ふふっごめん」



「何笑ってるの!」



顔をプクっと膨らませる咲月ちゃん。

その顔が可愛くて、つい微笑んでしまう。



「僕の傘の隣来る?」



「え...う、うん」



素直に自分の傘を畳んで入ってくる。



「じゃ行こっか」



「うん」



2人で肩をくっつけながら歩いて向かう。



「なんかさ...咲月ちゃんといると安心する」



「私も...っ!」



咲月ちゃんの可愛さに我慢できず、

優しくキスをしてしまった。



「ん...ごめん」



「ずるいよ...」



「可愛いかったから...しちゃった」



「っ...そういうとこだよ?」



「ずるいのがでしょ?」



「それもあるし...」



「あるし?」



「んーんなんもない...また後で話す...」



「分かった」



2人とも頬を赤くし、黙り込んでしまう。



「着いたら一気に晴れたね」



「うん...」



公園についても咲月ちゃんの顔は真っ赤だ。



「座れるかな?」



ベンチを見ると濡れていた。



「流石に乾いてないね」



「そうだね」



「まぁいいか」



「想いを伝えるのは座ってる言うよりも立って言う方がいいよね?咲月?」



「え...今、咲月って...」



「言ったよ咲月」



初めて女性の方を呼び捨てで読んだ。



「そういうとこだよ...」



咲月が小声で何か言った。



「なんて...?」



「そういうとこだよ!」



「...つまり?」



「私のことを急に咲月って読んだり、キスしたり、そういうことをする○○にわ、私は...」


「好きになったの!」



「っ...僕もだよ」



「僕も僕を恋人のように接してくれる咲月に気づいたときにはもう好きになってた...いや、」



「あの日この場所で出会った時から好きだった」



勢いで言いたいことを全部言った。



「○○...」



僕に抱きついて胸に顔を埋める咲月。



「どうした...」



「それは私もだよ...あの時出会って完全に○○の事だけを考えるようになってた」



「そうなんだね」



「うん」



抱き返した。



「僕は...地味で暗くてかっこ悪いかもしれないけど...」



「好きになった人のことを絶対に幸せにできる自信は凄くある、あるというか自信しかない」



「だから...僕でいいなら付き合っ...っ...!」



僕が言い切る前に、
今度は咲月からキスをしてきた。

少し長い...1分ぐらいのキス。



「長いよ...」



「知らない...もう好きで好きでたまらないの!」



「ふふっでも、1回全部言わせて?」



「うん...」



「咲月...僕でいいなら付き合ってください!」



「是非お願いします!」



「咲月...」



愛おしくなり強く抱き締める。



「幸せにしてね!」



「絶対する...絶対に!」



「よろしくね!あっ〜!」



「ん...どうした?」



「上、見てみて!」



「あっ虹だ...!」



あの時のように虹が出来ていた。



「私たちは虹カップルってことかな?」



「そうだね」



「付き合ったから決め事しよ!」



「どんな?」



「この世で1番綺麗な言葉ってなんだと思う?」



「綺麗な言葉? 美しいじゃないの?」



「違いまーす!」



「え...じゃ何?」



「ありがとうだよ!」



「ありがとうか...それで?」



「これから2人に幸せなことが起きたり、あったらお互いにありがとうを言うってルール!」



「いいルールじゃん!いいよ!言うよ!」



「じゃ決定!」



「ねぇ咲月...」



「ん...?」



「ありがとう!そして...大好き」



「ふふっ私からもありがとう!私も大好き」





この世で1番綺麗な言葉。

それは...




”ありがとう”




咲月が僕に教えてくれた。


綺麗で奇跡な一言。





続く...









読んでいただきありがとうございました!


前々から言っていた。
『それはきっと綺麗で奇跡な一言』の1話です!

どうだったでしょうか?


良ければ感想をいただけると嬉しいです!


良かったよ!という方はスキを押してください


2話も近頃上げますのでよろしくお願いします!

ーー


そして明日から嵐デビュー25周年を記念して

「25×25」

25日間嵐の曲で書いた25作品を毎日投稿します!

それが終わったあとも12月3日まで毎日投稿します!

なので、今日は事実毎日投稿1日目です!笑


初の試みなので大変だと思いますが、
毎日読んでいただけると嬉しいです!


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