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【Sing!!!】BABY-CRAYON~1361~ 結成3周年に寄せて

娘のしていた「推し活」が気に入らなかった。ゲームのキャラクターにそんなにお金をかけて。終わったら何も残らないじゃないか。

今では、推しのジャンルは違うが、娘と推し活話で盛り上がるようになった。隣では嫁が訝しそうな顔をしてこっちを見ている。

これまでアイドルには全く興味がなかった私がアイドル推しを始めた動機やら、自分の心情の変化なんかを、今リアルタイムで記事にしたら、「なぜ人はアイドルを推すのか」的なそれなりのアイドル論やオタク論が書けるような気がして、何度かチャレンジしてみた。
だがダメだった。
なぜ自分がアイドルにはまったのか。実は今でもよくわからないのだ。合理的な説明ができない。
そのアイドルに惹かれた理由ならいくつかはっきりと言えるが、なぜ地方の対バンライブまで追いかけて、最前列を争ってまで応援するようになったのか。

ひとつだけ言えることがあるとしたら。

嫉妬か。

ベテランのファンがアイドルから認知され、楽しそうに談笑している姿を見て、あぁ、羨ましい、あんな風になりたい、そう思ってしまった。これは否定しようのない事実だ。

でも実際にはそれはもう少し後の話で、tiktokで初めてその存在を知って、単独ライブに行って、路上ライブに行って、その特典会に行って。
ここからだ。
好きだ、の理由は説明できない。言葉にした時点でそれは後付けの理由にしかならない。
好きだ、は感じるものだ。
実際に出会って、感じてしまったのだ。

多分理由はそれだけだ。


私が出会って感じてしまったアイドルは「BABY-CRAYON~1361~」、通称「ベビクレ」。
プロデューサーを兼務する石綿日向子(いしわたひなこ)、メインボーカル桜木こと(さくらぎこと)、メインダンサー吉田菜々世(よしだななせ)の3人組アイドルグループである。
2021年に結成され、先の10月10日に結成3周年ライブが行われたばかりだ。

石綿日向子
絶対音感を持つベビクレプロデューサー
桜木こと
絶対的歌姫
吉田菜々世
振付も担当するキレキレダンサー


最近のアイドル界隈(に限ったことではないかもしれないが)では、売れるためにはtiktokでいかにバズらせるかがカギになっている風潮があり、実際、バズりそうなキラーワード、キラーフレーズを使用した流行りの「私カワイイ系」「自己肯定感高い系」の曲にあわせて踊る動画が今日も頻繁に流れてくる。

そんな中、結成3周年ライブで新曲が発表された。

話は数日遡るが、スポンサークラブ(ファンクラブ)のVIP特典で、メンバーの桜木ことと1対1のオンライントークをさせてもらった。
その時に新曲はどんな感じだと思う?という話になり、私は、流行りのカワイイ系はベビクレの路線とは違うし、頑張れ系の曲もたくさんあるから、青春ラブソングがいいかなぁ、なんて言った記憶がある。
今回の新曲の作詞が、プロデューサーの石綿日向子だ、と知っていながら。
あえて。

石綿は苦労人である。
東京音楽大学を卒業し、「かみやど」というアイドルグループで活動していたが「かみやど」解散直前に脱退する。しかしながら東京ドームのステージに立ちたいという強い思いから自らアイドルグループを立ち上げることを決意、同じ「かみやど」メンバーだった桜木ことと、大阪まで行き自らスカウトした吉田菜々世とベビクレを結成した(実際には既に脱退したもう1名と)。
その後プロデューサーとしていろいろな活動をする中、オールナイトフジコ事件など、厳しい芸能界の壁にぶち当たりながらも頑張っており、本人もそれを一切隠していない。この、アイドルはきれいな部分だけを見せればいい、という芸能界のセオリーに乗らない姿勢が、熟年・壮年チルダー(ベビクレファンの通称)たちの心を揺さぶっている。

しかも今回の3周年ライブのタイトルは「Climb Up」。立ち上がる。上に登る。這い上がる。

そんな石綿が、やわな曲を書くはずがないことは最初からわかっていた。


新曲は「Sing!!!」


Aメロの歌詞は、明らかに、結成からこれまでの石綿自身の物語だ。
ただ、メンバーの桜木も吉田も、必ずしも順調な道を歩んできたわけではない。アイドル活動の長い桜木は、石綿から声がかからなければアイドルは辞めていたと言うし、EXILEのバックダンサーだった吉田も途中でメンバーから外れた。
サビでは、「過去の自分はいつだって自分自身で救い出せる」と歌う。
過去の自分は倒れている。でもあなたがそこから立ち上がったからこそ今の私がある。Climb Up。

そして「僕らだけの世界を歌うんだ!」と歌い上げる。
この歌詞に、流行りのカワイイバズり曲ではなく、ベビクレにしか歌えない歌を歌うんだ、という石綿の、ベビクレの強い覚悟を見た。

石綿は、この曲のテーマは「愛」だと言う。
世の中には一生懸命頑張ってもなかなか報われない人たちが大勢いる。過去の辛いことを乗り越えようともがいている人たちが大勢いる。むしろほとんどの人がそうだろう。成功者なんて一握りだ。
この曲は、そういう人たち、すなわち世界に向けたベビクレの愛に違いない。


正面突破を選んだベビクレの選択は決して間違いではないと思う。
そんな彼女らに、この歌詞を送りたい。

 目指した雲はずっと高くて
 夢見た島ははるか遠い場所だと知ってて
 わかってて踏み出してきたんだから
 負けないで
 君が瞬きで隠した痛みをその想いを
 ああ 僕は知っているから
 (SISTER 作詞:清水依与吏)



最後に。
ベビクレを知る前の私のとってのアイドルと言えばCandiesだが、Candiesは専属のバックバンドを持つようになってからそのライブ力を上げて、ライブでは他のアイドル達を圧倒するようになった。バックバンドのCandies愛もファンに劣らず凄かった。
今回のベビクレ3周年ライブもG、B、Dr.の3ピースバンド編成で行われた。やはり生バンドは音の迫力が違う。ベビクレの楽曲はバンドサウンドがよく合う。
来年1月に恵比寿LIQUIDで行われる単独ライブも同じバンドメンバーが参加してくれるらしい。
聞けばバンドメンバーは石綿の大学の先輩とその友達だと言う。
これはやっちゃうしかないか。さあ、まずはバンド名を決めようじゃないか。

集めれんのか?←反語です

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