第9話 『不思議な縁とカッカの儀式』
① 不思議な縁とカッカの儀式
はじめは自分自身のための単なる日記のようなつもりで書き始めたブログでしたが一般に向けて広く公開していると、ときに想定外の出逢いをもたらしてくれることもあるようです。
僕のブログを読んだというボローニャ在住の日本人女性から『もし何かお困りのことがあれば私で良ければお力になりますよ!』という大変ありがたいダイレクトメッセージをいただきました。
彼女の名前はタマミ。
では早速、一緒に夕食でも!という話になり今夜、ボローニャのシンボルとも言える二つの塔の前で待ち合わせすることになりました。
昼間はマクドナルドのフライドポテトにしか見えない地味な塔ですが、クリスマスが近いためかイルミネーションが施されており、夜は華やかでキレイです。
夜の塔の前は思ったよりも人通りがあり、待ち合わせをしている人も多いので面識のないタマミを見つけられるか不安になってきました。ボローニャには日本人だけでなく、中国人や韓国人などアジア系の人も結構ウロウロしているので日本人だからとって特定の人物を見つけ出すのは容易ではないのです。また、知らない人に声をかけてしまうと気まずいので、できれば人違いは避けたいところです。
そこで僕は日本人らしき女性を見つけたら、まずは背後から静かに近づき、少しだけ離れた場所で『タマミさん。どこかなぁ?』と日本語でその人に聞こえるように独り言をつぶやくという作戦を思いつきました。もし、それが本人なら振り返って『あ…私です!』と反応してくれるはずです。
日本人でなければそもそも言葉が通じないので振り返りすらしないでしょうし、仮にその人が日本人でこちらを振り返ったとしてもタマミ本人でなければ僕に声はかけてこないでしょう。
我ながらナイス必殺技!
などと自画自賛していると『はよ、来いよー!』と妻がすでにタマミを発見して僕を呼んでいました。妻は日本人っぽくみえる女性に片っ端から『もしかして、あんたがタマミさんかい?』と聞いて回っていたようです。
おそるべし鋼のメンタルと行動力です。
タマミは在住歴2年で現在はボローニャ大学に在籍し、イタリアで弁護士を目指しているという僕よりもちょっとだけ頭の良さそうな才女でした。
彼女おすすめのレストランへ案内してくれるというので誘われるがままに付いていくと『BRACE(ブラーチェ)』というお店に到着しました。
『…え、ちょっと待って!こんな偶然ってある!?』
と、僕が驚くのも無理はありません。
この『BRACE』という名称は僕が若かりし頃、長年ヴォーカル&リーダーを務めていたビジュアル系バンドと偶然にも同じ名前だったのです。もちろん、その名付け親は僕自身です。
いや~、若いっていいですね!
道頓堀界隈で客引きをしているホストにしか見えませんが、この当時のミュージックシーンにおいては、これが王道で正義だったので、どうかそんな冷ややかな目で見ないでください。
そして当時のファンだった皆様、いい具合に劣化して醜態をさらしている現在の僕をどうかお許しください。
厳密にはバンド名のほうは『BRACE(ブレイス)』という英語だったので、イタリア語の『BRACE(ブラーチェ)』とは単に綴りが同じだけで意味も発音も全く違う言葉なんですけどね。ついでに解説しておきますと英語のBRACEは『支える』、イタリア語のBRACEは『炭火』の意になります。
料理の門を叩くまでは音楽の世界だけで生きていた僕は音源を全国リリースしたり、ラジオでレギュラー番組をやらせてもらったり、各地をツアーで回ったりとそれなりに精力的に活動していたのですが、悲しいかな僕が脱退した後も地道に活動を継続し続けた他のメンバーだけが別のグループとして見事メジャーデビューを果たし、今も現役でがんばっておられます。
登校初日に語学校の企画で訪問し、短時間で退店したピッツェリアを除き、イタリアへ来て初めてちゃんとプライベートで入ることになったレストランの名前がよりによって『BRACE』とは。まさに運命のいたずらか…いやはや何とも不思議な縁でございます。
夕食にしては比較的、早い時間帯だったせいもあってか店内はガランとしていましたが明るくカジュアルで入りやすい雰囲気のお店です。
天井を見上げると一面にサッカー選手のサイン入りユニフォームがたくさん展示してあります。
僕はサッカーには詳しくないので選手についても残念ながらほんとんど知らないのですが、そんな僕でも良く知っている名前を発見しました!
中田選手です。そういえば彼は一時期、セリエAのボローニャにいてましたよね。サインとともに日本語でお店あてのメッセージも書かれています。
タマミによると、このお店は中田選手がボローニャ在籍時代、とても気に入って通っていたレストランとのこと。そして中田選手以外にもサッカー選手が多く訪れることで有名で、それは実はこの店のオーナー自身が元サッカー選手だからなのだそうです。
そして、こちらがブラーチェの『MENU』。
ちなみに『メニュー』ではなく『メヌー』と読みます。何度も言いますがイタリア語はあくまでローマ字読みが基本なのです。僕も最近ようやく慣れてきました。
せっかくボローニャの地元レストランに入ったということでボローニャに来て初の正真正銘、モノホンの『ボロネーゼ』を注文。
…この肉々しさ!いわゆる日本のミートソースとは比べものにならない完全なる別物です。
当初イメージしていた濃厚こってり系というよりは肉汁たっぷりのジューシーハンバーグと一緒にパスタを食べているような、意外にもさっぱりとした印象の味わいでした。
同じくボローニャの郷土料理であるトルテッリーニもいただきました。これは中に挽き肉や生ハム、パルミジャーノチーズなどが詰められており、三角形に折ったラビオリを指輪状にくるりと巻いたような独特の形状をした一口サイズのパスタです。
伝統的なレシピでは雄鶏と雄牛からとったブロードスープに浮かべてワンタンのように(?)食すのが定番なのですが、無類のクリームソース好きである我々夫婦は『ブロードの他にチーズクリームソースも選択できる』と聞いて我慢できず、伝統よりも自分の好みを重んじてしまいました。すいません。味は言うまでもなくファンタジスタでした。
この日は他にも数々の美味しい料理に舌鼓をうちながら気になっていた滞在許可証の手続きの流れなどについて、タマミに詳しく教えてもらうことができました。
食後、すっかり意気投合した僕らは調子に乗って彼女のシェアハウスへお邪魔させてもらうことになりました。
ボローニャ大学の学生ばかり男女6名で1つの大きな家を借りて同居し、家賃や水光熱費を6分の1づつ負担しているというのです。
若い男女が一つ屋根の下で一緒に共同生活なんて、おじさんとしては実にケシカラン(…羨ましい!)と思ってしまうわけですが、日本のワンルームマンションのような一人暮らし専用の狭小安物件がほとんど存在せず、賃料も高めのイタリアでは、こういった若者のルームシェア生活はごく一般的なことらしく、それぞれのプライベート空間はしっかり確保されている上に共有空間にもちゃんと独自のルールがあるので特に不自由さや不便さを感じたことはないそうです。
逆に人数が欠けると一人あたりの賃料割合が高くなってしまって困るので誰かが家を引っ越すときには替わりに入る後輩を紹介したり、みんなで手分けして探したりと学生同士で協力し合ってうまくやりくりしているようです。
もちろん、今の僕らもステイ先ではトルコ人学生2名とガブリエッラとネコという5名+1匹で同居生活をしているわけで、もっと互いに気を使わなくていい間柄ならシェアハウスという選択肢も楽しそうだし、アリかもしれません。さすがに日本(特に女の子)では親御さんの理解がなかなか得られそうにありませんけどね。
あ、僕と共同生活をエンジョイしたい女子大生がおられましたら365日年中無休でご応募をお待ちしておりますので何卒よろしくお願い致します。
タマミが紹介してくれた同居人やその友人たちも人の良さそうな面子ばかりで急に訪問した僕らを暖かく歓迎してくれました。
しばらくすると突然、底抜けに陽気なイタリア人のアレッシオが凄いテンションで『カッカ!カッカ!』とリズムよく大声で連呼しながらクネクネと不気味なカルメン風の踊りをはじめ、手拍子などを交えながら家の中を行ったり来たりし始めたので、タマミに『あのぅ…アレッシオは何かのダンスの練習でもしてんの?』と尋ねると『あー、アレねぇ…』と少し説明をためらった後、『あれは彼がトイレで大のほうをしたくなったときに毎回始まる儀式みたいなものなの。勝手にさっさと行ってくれればいいんだけど…』と苦笑い。彼女によると『カッカ』とはイタリア語で『ウ◯チ』のことを指すそうです。
他の同居人も『彼はいつもこうなのよ。犬もカッカする前、準備運動のために変な動きをしたりするじゃない?きっとそれと同じ原理だと思うわ!』と呆れ返った様子。
僕らは久々に大笑いし、海外でも本当に打ち解けあえた友達がいたら、こんな感じなのかなぁ…とタマミたちの関係性をとても羨ましく思いました。
② 小さな鬼教官フランチェスカ
その翌日、語学校ではクラス変更が実施され、キムという36才の韓国人女性が新しいクラスメートになりました。キムは人なつっこいキャラクターだったのですぐに馴染めましたが、ことイタリア語に関しては僕ら以上に何も分かっていないみたいです。
この変更に伴ってスチュアートやマユミたちとは別々のクラスに離れてしまいました。
…えーと、つまりマユミたちは次のレベルのクラスへ順調にステップアップし、僕たち夫婦だけは入学したてのキムと一緒に超グレートデリシャスワンダフルスペシャルダイナマイト初心者クラスで紙芝居からやり直し!ということのようです。
スチュアートは僕という恋路の妨害者がいなくなって心の中では超ハッピーラッキーと喜びの舞を踊っているに違いありませんが、マユミには『スチュアートは実はニュージランドを代表する変態で、世界的に有名な映画俳優のフリをして近づいてくるが良く見ると似ているのは髪型だけなので気をつけろ!』と警告してあるので特に心配はないでしょう。
入学からお世話になってきた最初の先生、カーティアともお別れです。とっても分かりやすく教えてくれたはずなのに想定を凌駕する最上級レベルのアホですいません!とりあえず『ドーヴェ?(どこ?)』だけは完璧に覚えましたのでご安心ください。
新しく担当になったのは32才のフランチェスカ。僕より少しだけ年上ですが身長は145㎝くらい。小柄でハスキーボイスの可愛らしい先生です。
彼女はじっくりと腰を据えて細かく丁寧に教えてくれるタイプなので以前より授業の進行ペースは大幅に遅いものの、確実に理解しながら前進していけるようになりました。キムは何もかもが初めてなので苦戦しているようですが僕らは基本的に以前に習った内容の復習なので少し気楽です。
ただフランチェスカは、のちに優しそうな笑顔で致死量の宿題を課してくる鬼のような一面を持っていることも判明。超少人数クラスなので宿題をサボるわけにもいかず、これはボディブローのように後からジワジワと効いてきやがる厄介な攻撃です。
しかしながら、なかなか成長しない僕らの語学力を着実に伸ばしていくためには授業はスローペースでも丁寧な説明に特化し、あまり練習問題に取り組む時間がとれない分、宿題を大量に出して家で問題をひたすらリピートさせる…といった指導方法はもしかすると極めて効果的なのかもしれません。
おそらく、新米講師のカーティアには手に負えなかった理解力に乏しい問題児を初心者指導に定評のあるベテラン講師フランチェスカが引き受けることになったのでしょう。
僕らも決して向上心が無いわけではないので小さな鬼教官フランチェスカの愛のスパルタ教育に必死で喰らいついていこう!と決意を固めました。
③ イタリアの常識&マナー
放課後、以前迷子になって散々な目にあった『SUPER MARKET PAM(スペルメルカート・パム)』へ立ち寄ることにしました。
往路は完全に理解しているので今回は途中で余計な散策は一切せず、来た道をそのまま引き返すつもりなので特に不安はありません。
途中、交差点で信号待ちをしていると、いつまで待っても青になりません。5分近く経って、やっとその信号機が故障しているということに気づきました。
よくよく観察してみると街のいたるところで信号機が故障したまま放置されているようです。
それなりに大きな交差点の信号機が故障してるなんて日本だったら即日中にでも対応すべき事案でしょうがイタリアでは対応優先度が低いのでしょうか。
そんなだから通行人も信号機があろうがなかろうが故障していようが稼働していようが全くお構いなしに周囲をキョロキョロと見渡してから適当に道路を横断していく人がほとんどです。
交通マナーが悪いのは歩行者だけかと思いきや交差点内で左折待ちをしている車も平気で複数の車両が横並び状態。強引な追い抜きや割り込み、明らかなスピード違反もなんのその。ちなみに、そんな現場にパトカーが出くわしても何食わぬ顔で素通りです。
また、イタリア人は短気な人が多いのか、やたらとクラクションを多用するので、あちらこちらでプップー!パッパー!と結構やかましいです。
こんな感じでよく事故が頻発しないもんだなぁ…と関心してしまいます。ある意味、誰もが互いに信用していないせいで注意深くなっているのかもしれません。
我が地元大阪の交通マナーも日本国内でトップを争うほどのカオスレベルだとは自認していますがイタリアのほうが1ランク上かもしれません。
道路を横断するときは、たとえ目の前の信号機が青でも過信せず、しっかりと自分の目で前後左右を警戒しながら渡る必要がありそうです。
交通マナーついでに、僕がここイタリアに来てから初めて知った『日本にはなかった常識やマナー』について、この機会にいくつかご紹介しておきたいと思います。
【イタリア常識 その1】 半開きの扉…!?
日本では開けた扉はきちっと閉めるのがマナーだと教えられて育ちますが、イタリアでは声を掛けられたくない気分の時や着替中、就寝時など他人に部屋に入られると迷惑なとき以外は原則として扉を半開きにしておくのが常識です。
この半開きの扉が『どうぞ、いつでも声をかけてくれて大丈夫ですよ!』という意思表示となるわけです。
何気に扉を閉め切っていると他の人は声を掛けにくくなり、基本的に食事やお茶なども誘ってこなくなります。また自らも扉を閉め切っている人への呼びかけは極力避けるよう配慮してあげないといけません。
もちろん、トイレやバスルームも用が済んだ後は扉を少しだけ開けておく必要があります。誰もいないのに扉を閉めていると『使用中なので開けないでください!』という意味になってしまい、他の人がいつまで待っても使えずに苦情が発生することになります。
【イタリア常識 その2】 くしゃみをしたら…?
イタリアでは親しい人が目の前でくしゃみをしたら『サルーテ!』と声をかけてあげるのがマナーです。
サルーテの直訳は『ご健康を!』といった意味なのでイタリアにおける乾杯の言葉としても使われますが、日本でいうところの『お大事に!』と似たニュアンスで、くしゃみをした人にかける言葉としてもイタリア全土に定着しています。
もし、自身がくしゃみをしてイタリア人から『サルーテ!』と言われたときは必ず『グラッツェ(ありがとう)』とお礼の言葉を返すことも忘れてはいけません。
ただ、風邪気味で何度も何度もくしゃみが出るようなときは『サルーテ!』から『グラッツェ』の流れをいつまで繰り返すべきなのかは謎です。ちなみに僕は最高で3回くらいまでは連続で言われたことがあります。最後の方は相手も笑いながら言ってましたけど。
【イタリア常識 その3】 イタリアのスーパー?
イタリアのスーパーには日本にはない独自のシステムがあります。
まず、買い物カートを借りる際に貨幣が必要です。これは鎖でつながれているカートの取っ手部分に1エウロ貨幣を差し込むことでガチャッと1台だけを取り外せ、使用後に元の場所へ戻して鎖につなぐと貨幣が戻ってくるというシステムです。
つまり、カートの利用自体は実質無料なのですが、きちんと元の場所に戻さないと1エウロ貨幣が返ってこないので、カートの放置や散乱を抑止するための仕組みだと思われます。
デメリットとしては1エウロ貨幣を持っていないとカートが借りられないことと、お金が戻ってくるということを知らないとそのまま損してしまう可能性があるくらいでしょうか。
なお、日本のように買い物カゴをカートの上に積んだりする使い方はせず、商品はカートに直に放り込んでいくのが普通です。またプラスチック製の買い物カゴにキャリー用の取っ手とタイヤがついているようなタイプのものも良く見かけます。こちらは日本の買い物カゴのように手で持ち運ぶことも可能です。
野菜や果物は商品札に番号と価格が表示されていますが、この価格はあくまでキロ単位のものとなります。写真のちりめんキャベツは1㎏あたり0.89エウロ(89チェント)なので日本円換算すると115円くらいでしょうか。見た感じ、1玉の重さは1.5㎏ほどありそうなので約170円といったところですね。ちなみに日本のちりめんキャベツは生産量が少なく希少価値が高いため、1玉1,000円以上はする高級野菜です。
小さい野菜や軽い野菜などはキロ単位の価格表示だと異常に値段が高いように見えますが実際に購入するのは軽量なので必ずしも高価だというわけではありません。例えばこちらのイタリアンパセリなんかもそうですね。
買いたい商品を見つけたら近くに設置してあるビニール手袋を装着して手に取り、専用のビニール袋に必要な量を入れてから備え付けの軽量器の上に載せます。日本のように素手で野菜や果物に触れるのはマナー違反になりますので食材をさわる際には必ずビニール手袋を着用してください。僕は知らずに素手で吟味していて店員さんに注意されてしまいました…。
計量器のディスプレイに重さが表示されたら商品札に書かれていた商品番号のキーを見つけて押します。すると対象となる青果の値札シールが印字されて出てきますので、それを野菜の入ったビニール袋に貼り付けてカートに放り込んでおきます。
パセリのような少量だけ使いたい野菜でも日本だと1束や1パック単位で買わなければなりませんが、イタリアでは枝1~2本だけなど必要な分だけを無駄なく購入することが可能です。
このような計量制なら野菜個体の大きさにこだわって物色する『セコい大阪のおかん』みたいな人はいないんだろうなぁ…と思っていたら、逆に野菜のヘタやキャベツの外皮などの不要部分を限界までむしり取って1gでも軽くしようと試みる『セコいおかん』たちをイタリアでも発見!
…と思ったら、その輪の中にしっかりと僕の妻も混じっていました。主婦の方々って万国共通で実にたくましいですね。
イタリアのスーパーのレジ店員さんはみんな座ったままです。そして僕の知る限り、全体的に日本ほど愛想は良くありません。日本でもたまになぜ接客業を選択したのか分からないほど無愛想に業務だけを淡々とこなす人を見かけますが大方そんな感じです。
でも、イタリアではこれがデフォルトなのでお客側も一切気にする様子はありません。僕も最初は冷たい印象を受けましたが慣れてくると全く何も感じなくなりました。むしろ、微笑みながら嬉しそうにレジ計算をしている人なんてなんだか気持ち悪いじゃないか?とさえ思えてきます。
お客はレジ台の上に自らカートの商品を取り出して並べていきます。
以前の記事にも失敗談を書きましたがお会計時に店員さんが『サッコ?』や『サケット?』や『ブースタ?』などと訪ねてくるのは、どれも要は『有料のレジ袋が必要かどうか』という確認です。
欲しい場合は『スィ(はい)』、要らない場合は『ノ(いいえ)』と答えましょう。もし、欲しい袋の枚数が決まっているなら『ウーノ(1)』、『ドゥエ(2)』などと具体的に数字で答えても構いません。その場合は数字を伝えた後に『ペルファボーレ(お願いします)』というワードも付け加えたほうがより丁寧で印象が良いかと思います。
会計の終わった商品はレジ台の先の溝に流される(たまに乱雑に放り投げられる)のでお客側が自分で袋に詰めます。もたもたしていると後に列んでいる人の邪魔になるので速やかに詰め込んで退店しなければなりません。
なお、イタリアのスーパーの出入口はほとんどが一方通行になっていますのでレジを終えた後に買い忘れなどが発覚しても日本のように通路を逆走して売り場へ戻ることはできません。一度退店して、また入店ゲートからの出直しとなります。
最初は日本との違いに少し戸惑うかもしれませんが思い切って一度利用してみれば単純な流れなので意外とすぐ理解できます。
僕らのような長期滞在者は日常生活を営むためにも絶対に避けては通れませんし、短期旅行などでお土産を買う場合でもデパートや免税店を利用するよりスーパーを利用した方がお土産向きの安価で面白い商品がたくさん見つかるはずです。
イタリアを訪れた際には、ぜひ積極的に活用されてみてください。
《つづく》
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