敬老の日の一部
祖父のお盆も命日にも、見事に体調を崩し祖父母の家に行け無かった女だ。
そんな最低な孫であっても、祖母は見捨てずに匠海のことを見守ってくれている。
ある時、祖母から匠海宛に荷物が届いた。
それは金色の馬が9頭の置物が届いた。「うまくいく」と意味があるらしい。
祖母が、意味を調べて「たくみちゃんが元気になりますようにと思って」届けたくれた。
ちょっと失礼なことを言うと、そんな感じで送られてきた置物が既に5体ある。
祖母‥悪いところから買ってないか最近の心配だ。
こんな歳になってまで、匠海より背が低くなった祖母に迷惑をかかているなと思っている。前は見上げていたのに、今は祖母に見上げられる位には体は成長した。
それなのに、まだまだ未熟な孫だ。
敬老の日、やっと祖父母の家に行く事ができた。9ヶ月ぶりだ。
薬の副作用も出ていなくて、安定していたのでとても安心した。
敬老の日なので、「祖母の好きな物を持って行こう!」となった。
好きな果物を買っている最中、花屋で祖母の雰囲気に似た花束を見つけた。
昔、社畜時代に渡していた花束より2回りも小さい花束。喜んでくでるか不安だった。
祖母に会った時、祖母はあたたかく迎えてくれて、リビングに招待された。
祖母に今までより明らかに小さい花束を渡した時、祖母は「匠海ちゃんが、おばあちゃんの事考えてくれた事が1番嬉しいのよ。」と言われて泣いてしまった。
その後ふと祖母がキッチンに立った時、後ろに祖父がいた。学校の制服姿しか知らない祖父が。あの夏ぶりに、見る事ができた。微笑んで匠海を見ていた。(匠海は一応視えるタイプのアレ)
その瞬間「待って!!おじいちゃん!!!」と叫んでしまった。
祖父はスッと消えた。それを見た祖母が「お祖父さん、頑張ってるたくみちゃんに会いたかったのね」と頭撫でながら話してくれた時、涙が止まらなかった。
頑張ってるよ、おじいちゃん。匠海なりに、今を生きているよ。
なかなか行けなくてごめんね。
そして、まだ会いに行けないや、ごめんね。
また、辛いことも、楽しかった事も珈琲を飲みながら話すから、おじいちゃんも聞いててよ。