目次第一部 「 君臨する者 」第一話 言葉を操る者 第二話 原始文明の王 第三話 蒼き稲妻 赤き猛火 第四話 炎を操る者達 第二部 「 対置する者 」「 対置する者-1 」 第一話 事象の地平面 第二話 尊き犠牲 第三話 選択 第四話 それぞれの惑星へ 「 対置する者-2 」 第五話 智将 第六話 鉛色の巨兵 第七話 接触 第八話 深化 第三部 「 運命を歩む者 」第四部 「 神々と呼ばれし者達 」第五部 「 残された者達 」キャラクター紹介第一部 君臨する者 □
第5話 智将 宜《むべ》なるかな、その手に握りし物は、いつしかその手から消え去り、それが幻影であったのかと思う、そんな時が訪れるのであろう 人は希望と言う言葉に至高の価値を見出し、そこにすがろうと抗い、運命をその手に手繰り寄せようとする 求めし希望を手にした者は、その燃やした命の対価に見合う結果を得られたのであろう しかし、それを手にできたとして、それは本当に望んでいた希望なのであろうか その手にしたそれが望んでいた希望ではなく、その望みがその手から零れ落ちた時、人
ー目次に戻る 第1話 事象の地平面 ―ガァーン!! 「六十年じゃなかったのか! 六十年じゃ!」 体格の良い男性が、項垂れながら両腕で目の前のコンソールパネルを激しく叩いた。 その横には美しい黄金色に輝く髪色の女性が、涙を流しながらうつむいている 「クリス、受け入れがたい事だが、これは事実だ」 「嘘だ! 娘が、クレアが、クレアが待っているんだ」 「もう一度! もう一度…」 「クリス!」 背が高く浅黒い男性が、激しく動揺するクリスと呼ばれる男の肩を掴み、コンソール
ー目次に戻る 第一話 言葉を操る者 それは眩い光で大地を照らしていた 惑星を覆った閃光と共に、大地は滾り、赤々とした惑星の命を噴出したその場所に 青い色の光に包まれ、黄金色の光を放つ巨大な大地が浮遊し その前には 先端が丸い洗練された棒を持ち、見た事も無い厚みのある何か、をその身に纏う何者かが整然と並び、静かにその場に佇んでいた ∫ ――ババババッ! 数匹の体毛が薄く、体格が良い生物達が、物凄い勢いで森の中を駆けてゆく。 ―バシュ!! ―バシュ!! ―バシ