システム手帳を研究・講義ノートに
ここ数か月、研究活動や読書メモ、講義設計にシステム手帳を活用している。
研究や講義に用いる思考のメモを管理する方法は悩ましい。モレスキンやロイヒトトゥルムのノートに集約させていた時期もあれば、すべてNotionなどのデジタルツールで管理しようと試みたこともある。だけど、あまりピンと来ていなかった。一冊のノートでは以下に述べるような問題があるし、デジタルだといまいち記憶に残らなかったり、情報同士の結びつきをイメージできなかったり。うまく言語化できないが、自分には合わないなと思いつづけながらこれまでやってきた。
読書ノートとして
たとえば読書ノートにおけるメモ問題。
職業柄積読は当たり前だし、基本的に「一冊を完読するまで他の本を読まない」みたいなことはほとんどない。本で引用・言及されている文献をチェックしながら読んだり、読書中に思いついた発想について関連書籍にあたったりするから、いつも数冊~十数冊の本を同時並行で読むことになる。論文の執筆中は文献の数ももっと増える。
そうすると、綴じノートでは読む本がコロコロ変わる際に対応が難しい。1ページ目には△△の本についてメモをしていたのに、次のページでは○○の本のメモを書き、3ページにまた△△のメモを……といった具合になるので、一冊のノートとして情報の流れがごちゃごちゃになる。読み直した際に思考や読書の流れを確認できるという点で良さもあるかもしれないけれど、メモの整理という点では自分には微妙だった。
その点、紙の順番を容易に入れ換えることができる点に強みがあるシステム手帳であれば、順番とか本がコロコロ変わることとかを一切気にせず、思いつくままにメモを書いていくことができる。またプロジェクトごとにメモを再分類することだって可能だ。「このページは論文A構想用の場所に移動させて、あのページは来月の分担執筆書籍に使うためにこっちにまとめておこう」といった感じで。
上の写真のように、ロロマクラシックA5サイズを上述した読書・研究ノート、ならびに講義ノートとして使用している。A5サイズでたっぷり書くことができる。
このロロマクラシックは大学院生時代に、当時修士課程であった後輩から頂戴したものだ。当時はロロマクラシックのことをよく知らず、値段も3万円を超えているなんて思いもしないまま、しばらく自宅の本棚に眠らせていた。「研究ノートとしてシステム手帳を使ってみよう。そういえば貰った手帳があったな…」なんてふと思いついて、「そういえばこれ何の手帳だ?」と調べたときの驚きは今でも覚えている。ずっと眠らせていてごめんなさい(いまはめちゃくちゃ活用しているぞ!)
なお画像にあるグレーのものは、楽天で買ったロロマレザーの端切れ(10×15cm)だ。下敷きとして使っている。たぶんレザー下敷きのリフィルの半額くらいの値段で手に入ると思う。色はアージェントで、美しいし手触りも本当に良いので、ロロマクラシック好きにはこれを下敷きとして運用することを強くオススメしたい。リンクもつけておきましょう(アフィリエイトではない)。
講義ノートとして
現在私は5つの大学で講義をもっている。それぞれ別の科目で、形式もゼミや講義、それから事前に講義動画を収録するオンデマンド型講義などバラエティがある。
講義のシラバスは年度がかわる前にあらかじめ決めるが、細かい講義設計は学生のリアクションや進度をみながら調整していくことになる。そうした講義関連の構想やあれこれもまた、同じロロマで運用している。研究や読書と、講義は一連の活動であり、論文や読書をしていて講義内容を思いつくこともあるし、講義で学生から研究のヒントを教わることもたくさんあるのだ。
講義の雑談として話す内容とか、ふと「あ、これあの講義で学生に話したい」と思った内容とかをメモするのに、これまたシステム手帳のカスタマイズ可能性は大いに役立つ。自分はプロッターのプロジェクトマネージャーを活用して、1つのプロジェクトマネージャーに1つの講義メモをまとめ、それらを束ねる感じで使っている。読書メモとしてメモした内容を、後のち講義Aのフォルダに動かしたり、講義Bで話して学生にウケたことを講義Cでも忘れずに言うためにCの講義フォルダに移しておいたりとか。いろいろできる。
A5ロロマはちょっと重い。が、研究や講義のために重い書籍を持ち歩くことには慣れている。とはいえもう少しモバイルな手帳が欲しいなと思って、つい最近ロロマクラシックのミニ6サイズを買ってしまった。ブラックだ。「黒革の手帳」というドラマの記憶がよみがえる(米倉涼子のほう)。黒色はかっこよさもあり、可愛さもあり、とても気に入った。
研究のアイデアはいつ降ってくるかわからない。読書中ならば腰を据えてアイデアの前髪を待ち構えることができるが、散歩中とか何気なく映画や動画をみてダラダラしているときとか、こちらが油断しているときばかりアイデアは降ってくるものだ(余談だが、基本的に読書は、「何が書いてあるか」すなわち「内容」を学ぶことと同じかそれ以上に、「それを読む自分」を読み、自分のリアクションや想起を新たなアイデアの種として獲得しようとする実践として、自分には位置づけられている。あと、「何が書かれているか」よりも「なぜそれが書かれているか」を意識しながら読むことは、学生の読み書きに対して良いトレーニングになるだろう。なぜこのパラグラフがここに必要だったのか。なぜ著者はこの単語をここで選んだのか。「何」ではなく「なぜ」を考えながら読むと、論理をつかむ一助になる。これは会話でも同様だろう。相手が何を話しているかだけでなく、なぜそれを今、私に話しているのか(話さなければならないのか)を考えながら聞くと、相手の言いたいことをより理解できると思う)
このミニ6は一日のスケジュール管理にも使うし、学生などが面談に来た時のとっさのメモにも使う。重要なメモはのちのちA5サイズに張り付けたりしたっていいし、ミニ6にそのまま保管しておいたってよい。メモする道具でもあり、アーカイヴでもある。サイズを問わずロロマの手帳の良さはそこにある気がしている。
なおミニ6も、研究/講義/雑記アイデアといった具合に大まかにメモのセクションをわけて運用している。それと開いたらすぐに白紙のメモに書けるように、冒頭は必ずメモ用紙。
ミニ6は横にすれば意外と大量に書くことができる。これは確か、Juice Up の0.3ミリのペンだ。
経年変化、とても楽しみ。
ロロマはいいぞ