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なぜ人は「犯人の背景や属性」が気になるのか。「納得できる原因と理由」が欲しいから。

深圳の日本人刺殺事件を始め、全ての殺人事件の被害者にご冥福をお祈り申し上げます。
今回の中国の日本人刺殺事件で、メディアの報道に少し疑問があります。

それは「中国政府が日ごろから反日感情を煽っていて、日本国や日本人には何をしてもいいんだという風潮を作ってきたので事件が起きた」という論説です。

これを聞いたときに私は「トランプ大統領の暗殺未遂事件は、トランプが暴力政治を煽動してきたので、彼の言論によってそういう風潮が作られたのだ」という「トランプ自業自得説」がアメリカや日本のリベラル系メディアの論説にあるのを思い出したのです。


>NBCは「ゴルフクラブ事件」と呼び、USA TODAYは「トランプ氏が”自ら暗殺事件を招いた”」と主張する「突飛な」編集者宛の手紙を掲載し、CNNのキャスターはハリス陣営のレトリックは容疑者を動機づけなかったと主張したと指摘。さらに、PBSは、暗殺未遂を扱ったのはわずか30秒未満で、その後は「真の危険である私とトランプ氏に焦点を当てた。彼らによれば、私たちはスプリングフィールドの爆破予告に個人的責任がある」と続け、こうした「ダブルスタンダードは驚くべきことだ」と批判した。



・本当に政治的な動機やヘイトクライム(憎悪犯罪)なのか

地球上では殺人事件は毎日起きています。
たまたま加害者が中国人で、たまたま被害者が日本人だと
「これはきっと日本人への差別感情からのヘイトクライムだ」
とどうしても思いたくなる気持ち分かります。

それは「世の中の理不尽性に耐えられない」からです。
人間の脳は矛盾を嫌い、合理性を求めるからです。
本当に日本国が憎いなら日本大使館を攻撃していたはずです。

多くの人が思っているストーリーがあります。
「自分は悪くない」
「この世は善人が救われて、悪人が罰せられて欲しい」

という「勧善懲悪」と「善人救済」の原理です。
漫画、映画、アニメの内容はだいたいこんな内容ですね。
努力、友情、勝利というやつです。



・人は「納得できるストーリー」が欲しい

トランプ暗殺未遂(2件)にしても今回の刺殺事件もそうですが、人々が求めているのは「納得できるストーリー」なのです。

「罪のない命が、何の理由もなく邪悪な人間によって奪われた」という理不尽性に多くの人が憤っているのです。
なので中国共産党や中国政府が悪いんだという物語性(ナラティブ)が欲しいのです。
そうしないと「合理的でない」「納得できない」からです。

殺人事件がると、みんな犯人の「動機、背景、生い立ち」を知りたがりますよね。
そして「精神疾患があったから」「外国人だから」という納得できる背景が欲しいのです。
そうでないとこの世の不公平・理不尽さに耐えられないからです。


・「邪悪な人間がいる」というのを信じたくない

多くの人が思っていること、それは、「どんな人間も良心があって思いやりがあるんだ」「悪い人も、最初は純粋無垢で良い人だったんだ」というものです。
俗にいう性善説ですね。
しかし世の中には教育とか環境とかはそこまで関係ない、サイコパス(反社会性人格障害)と呼ばれる人も存在しています。

しかし多くの人はこれを認めたくないのです。
「両親から愛情を貰えなかったから」「もっとよい教育を受けていたら」
「この人は寂しいんだ」という納得できるストーリーを求めるのです。


・世の中には「ただ邪悪な人」が存在する

悲しい事に、宗教・人種・民族・国家、関係なく、
「単純に邪悪なだけな人」というのは存在します。

マスコミを騒がせてやりたい、有名人を攻撃したい、
とにかく社会をあっと言わせたい、自分の犯罪をみせびらかしたい、
そういう邪悪な精神の人は生まれるのです。

トランプ銃撃犯も、真相は分かりませんが「トランプのような強くてマッチョな感じの男性を攻撃したい」という歪んだ欲望があったのでは、、と私が邪推します。

異常者の心理は、常識人の常識では決して測れないのです。



まとめ 世界は不平等で不公平である

大人になる、ということはセックスをすることでもお金をたくさん稼ぐことでもありません。
私は、それは「この世界は不平等で、不公平で非合理的だというのを受け入れるか」どうかだと思います。
子どもは「世界は公平で善人でできている」と無条件に思っていますよね。

大人に成るという事は「この世界は不平等で、不公平で、理不尽だ」と受け入れて、それでもなおこの政界を愛することだと思ってます。

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