岬の風を感じながら
何度も
見た風景なのに
飽きない
気が向いたら
この丘の上に立って見ている
明石港から渡船に乗ると
二十分ほどで岩屋港に着き
淡路交通バスに乗るのだが
気まぐれに道が細くて
時間がかかる西浦周りのバスに乗ってみた
のんびりと車窓から
道端の民家
鄙びた漁港
頭の上に籠を乗せて歩いていたり
涼み台に座っている子どもを見ながら
海岸沿いをバスは走って行くので
五色浜や
慶野松原辺りまで来ると
小豆島の景色も変わり
寒霞渓が見えていた
湊(みなと)のバス停で乗り換えて
僕は津井から丸山
門崎(とざき)岬から福良へ向かう
鳴門大橋は架かっていなかったので
鳴門海峡を見ながら
運転手さんが
ようまあ……なんぼなんでも
長いこと乗ってはんなあ
どこぞ 行きはんのや
ルームミラー越しに話してきた
福良着いたら国衙まで行って阿万本庄や
淡路島の西半分
バスに乗って見て回ったことが一回だけあった
ずいぶん昔のことで
山本コウタローの唄が流行っていた頃だった