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Luis Barragan -Understanding Space

本日は、以前に個人的にまとめた本の紹介をします。

本日の音楽はPVが今回の主人公バラガンっぽいので Stay Like This / Siamese Catsです。
(PCの場合は、曲を流しながら記事を読めます。)


○本日の一冊「ルイス・バラガン 空間の読解」/ 大河内学+廣澤秀眞+明治大学大河内研究室について
https://www.amazon.co.jp/ルイス・バラガン-空間の読解-大河内-学/dp/4395320422

○概要
バラガンは、植民地以前から現代に至るまでのメキシコの伝統を、西洋文化のより根本的かつ永久的な価値観とともに統合しました。 バラガンの建築はしばしば「エモーショナルアキテクチュア」すなわち「情緒的建築」と表現され、その根底にある 美的意識には宗教・神話・哀愁・沈黙・静寂・神秘・安堵・孤独等の言語があり、それ自体がバラガンが生涯目指した空間の質であるといえます。

○バラガンの建築思考について
 i ) バラガンは自ら図面を描かず、イメージスケッチを伝達手段とし、アシス
 タントが図面を描いたとされています。また、彼の遺したスケッチはほと
 んどがアイレベルから見たパースであったそう。 
ii ) バラガンにとってプランによる理論的な構成は重要でなく、空間の美し
 い“見え” が重要であった。
   (この視点に関しては、メディアの繁栄している今の時代にもかなり意識さ
 れる点になります。写真を撮られることを設計時から意識している建築家
 思い当たりますよね。)
iii ) 工事現場で実際に建てた壁の様子を見て、建てては壊しを繰り返し、実空
 間で細かい検討を行ったそう。壁を立て光の様子を見て、そのあとに色を
 塗るといったことをしたそう。やってみなきゃわからないワイルド系の方
ですね。

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          バラガンの遺したイメージスケッチ

○バラガンが影響を受けた人物
i ) フェルディナン・バック(Ferdinand Bac) 
ドイツ人風刺画家兼作家です。彼は近代主義者として新しいものへの憧れと、歴史的様式の標準的な表現法の節度ある受容との狭間で、文化の伝統
 ( 地中海芸術の伝統 ) の存在を主張しました。

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       レ・コロンビエール / フェルディナン・バック

ii ) ジョルジュ・デ・キリコ (Giorgio de Chirico)
言わずもがなな方、画家です。日常の中の現実の神秘的側面や圧迫感のある情緒的・演劇的な静けさを内包しています。これらの特徴の結果、作品を見る者は、静謐、郷愁、謎、幻惑、困惑、不安などを感じることが多く、このような構成を取り入れることで、自身の作品に時を止めるような抽象性を構築したといえます。また、内向性を感じる点も共通していると思います。

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       通りの神秘と憂愁 / ジョルジュ・デ・キリコ

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       預言者の報酬 / ジョルジュ・デ・キリコ

○奥行性・重層性について
バラガンの構築する空間 ( 特に写真という媒体を通してみる ) は遠近法を誇張するような表現、切り取られた空間に奥行きや重層性を与えるような操作を意図的に行っており、どこか抽象的な絵画的空間を構築していると思われます。 このような技法を裏付けるために「壁」という要素を取り上げ分析されます。バラガンにおける「壁」は住人を静謐と安堵を与えるための遮る壁として、そして次の空間を示唆し誘うものとしてとらえることができ、空間を複雑化させるように巧みに配置されています。

○構図・フレーミング・トリミングについて
以上のような絵画的空間の集合体としてバラガンの空間をとらえるとすると、そのパースペクティブのフレーミング、 すなわちパースペクティブの視点場に空間のつなぎ目・分岐点が存在すると思われます。バラガンのパースのフレーミングは要素をそぎ落とし、広がりを示唆するような抽象的なものだと考えられます。

シーンで考えているということは、 ( 回遊性を持たせ ) 繋ぐということでありそれでいて破綻していないというのがすごいです。

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プリエト・ロペス邸 / ルイス・バラガン

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個人的に共通性を感じる日本の建築。重層性、外を切り取る、抽象性のある壁、荒々しいテクスチャ、反復性、スケールと素材などの共通性を感じます。

青系のチューハイ飲みながら書いていたら酔ってきたので、今日はこの辺で、一旦やめさせていただきます。

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