検査・感染状況・実効再生産数、感染状況と陽性割合の県別比較(2022/9/25)
統計は、同じ定義で継続してデータを集めることが重要です。どうしても定義などを変える必要がある場合は、本来しばらくの間、2つの異なる条件で計算し、一定期間は参考値としての公表を行います。GDPの定義の見直し時、株の指数の計算方法変更時などがその例です。
明日9月26日から、感染者数の全数登録がなくなります。これによって何が起きるのか。65歳未満の基礎疾患のない妊娠していない人の医療フォローアップはどうなるのか。今でも、若く基礎疾患がない人が急に重症化する例があります。今後も迅速に把握できるのか。後遺症に関するデータはとれるのか。これは統計データから見た疑問です。
個々人から見ても、急な容体悪化時にどうすればよいのか。各県での対応も違うようだし、複雑そうだし、大混乱すると思います。(現在松戸市の市議会議員DELIさんの発信(9月25日)を見ながら、その複雑さに絶望しています。)
その前のデータとして、何度も確認している検査数、陽性確認数などの現状を確認してみました。
これまでの優等生、全数把握見直しを先行で実施した鳥取の動きが変になっています。先行実施した他の3県(宮城、茨城、佐賀)でもすでにデータが乱れています。一旦、実行再生産数が増加し、その後減っているのは、この4県のみです。
1 北海道
2 青森県
3 岩手県
4 宮城県
5 秋田県
6 山形県
7 福島県
8 茨城県
9 栃木県
10 群馬県
11 埼玉県
12 千葉県
13 東京都
14 神奈川県
15 新潟県
16 富山県
17 石川県
18 福井県
19 山梨県
20 長野県
21 岐阜県
22 静岡県
23 愛知県
24 三重県
25 滋賀県
26 京都府
27 大阪府
28 兵庫県
29 奈良県
30 和歌山県
31 鳥取県
32 島根県
33 岡山県
34 広島県
35 山口県
36 徳島県
37 香川県
38 愛媛県
39 高知県
40 福岡県
41 佐賀県
42 長崎県
43 熊本県
44 大分県
45 宮崎県
46 鹿児島県
47 沖縄県
ソースは東洋経済のページ。
4つのグラフの見方:
左上:検査数(折れ線青)、陽性確認数(棒緑)、推定される陽性率(点線赤、右軸)のグラフです。
青い折れ線グラフが緑の棒グラフからできるだけ離れていることが望ましいし、本来なら少なくとも検査数が陽性確認数より必ず上に来るはずが、そうなっていない県もあります。無料検査を発表する検査数に入れるかどうかなど、県毎に違いがあるものと思われます。
右上:陽性確認数とその移動平均を片対数グラフで示したもの。片対数グラフなので、感染拡大が指数関数的か確認できます。
左下:実効再生産数=\displaystyle e^{\frac{2}{7}\times{\log(a/b)}}, a=ここ1週間の陽性者数, b=その前1週間の陽性者数。(定数は東洋経済が採用しているものを使用)
実効再生産数は、中央の陽性確認数が増加している時は1より大きく、減少している時は1より小さくなります。わかりやすくするため、1に青線を入れました(時期がわかるように奇数月のみ)。
実効再生産数が0.95の時は1週間で15%減。
実効再生産数が0.90の時は1週間で30%減。
右下:横軸が陽性割合、縦軸が人口10万人あたりの陽性確認数を散布図として示したものです。5月は緑、6月オレンジ、7月グレー、8月青、9月はピンクです。最新の点はオレンジの点で示してあります。
理想は散布図が左下に集まること。陽性者数が少なく、陽性割合も低い状態です。
散布図が右上に伸びている時は、感染拡大で検査が追い付いておらず陽性割合が増加していることを意味します。つまり陽性者の捕捉ができていないことがわかります。陽性割合が減り、陽性者数も減っていたら、本当に減っているのだろうと理解できます。散布図は左下に動いていきます。
但し感染減少期に右周りになる県(典型は東京)は、感染者数減少以上に検査が減少していることがわかります。