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連載「差押えコラム。未払金を取り返せ!」 ー給料日に不穏な空気を放つ社長に要注意ー

こんにちは!筆者の渡邉です。このコラムは、私がある会社から、未払いとなった業務委託料を回収するまでの軌跡を記録したものです。初noteでいきなり生々しい体験談ですが、記憶が新しいうちに共有できたらと思い、筆を取らせていただきました。

私のように「会社から給料が払われない」「クライアントがギャラを振り込まない」といった被害にあわれている方にとって、少しでも問題解決の手助けになればという思いで執筆します。

現在は無事に未払金を回収し、元同僚と新たに「合同会社Mauve(モーヴ)」という会社を立ち上げ、アプリケーションやWEBサイトの受託開発を行っています。
※Mauveでもnoteにてコラムを掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/mauve_0210/

登場人物の紹介

私は2020年末から、アプリケーション等の制作会社(以下、A社)で、バックオフィスの仕事を業務委託というかたちで請け負っていました。
契約上はオフィス勤務を求められていたため、業務は原則オフィスで行っていました。この勤務形態が後々、解決策の道標になるため前述します。

登場人物

2021年1月28日 ―軽口は未来の予言―

この日、勤務を終えた私は同僚の栗田と居酒屋に立ち寄り、他愛もない話で盛り上がっていました。栗田とはA社に勤める以前から面識があり、家も近いことから気軽に飲みに行く間柄だったのです。

同僚同士ですから、仕事の愚痴を肴にお酒も進みます。ほどよく酔いが回ってきた頃、栗田はこんなことを口にしました。

「社長がいなくても、僕と渡邉さん、エンジニアの益子さんがいれば会社は回ると思いませんか? もし僕が会社を立ち上げたら、そうしたいなぁ。」

営業の栗田は人当たりもよく、抜群の営業センスの持ち主。同僚の益子さんもエンジニアとして天才的なスキルを持っている人でした。
栗田の冗談半分の話だとわかっていましたが、3人での起業を想像してみると、なかなか悪くない提案だと思えました。

「いい案だね。益子さんにも聞いてみなよ」と酔いに任せて栗田の案に乗っかって見せましたが、この時はお互いA社に務める会社員です。最後はふたりとも、A社の業績が伸び、一緒に働いているみんなが豊かになれるよう、お互いが得意な分野を活かし頑張ろうと決意して店を出たのです。

この話が、後にMauveという会社を設立するきっかけになるとは、この時は思いもしなかったのです...。今でも、世の中何が起こるのか本当にわからないと思っています。

2021年1月29日 ―運命の給料日―

この日は業務委託料の支払日だったのですが、社長はどうも忘れっぽい性格のようで、なんとなく「支払いを忘れてしまうんじゃないのかな?」という予感がしていました。

本来、お金に関わることは簡単に忘れてはいけないのですが、人間長所もあれば短所もあるわけで、そこは覚えている人がアラーム機能のごとく伝えてあげれば良いと思っています。
というわけで、私は出社早々、社長に委託料の振り込みがいつになるのかを確認し、「午後には振込む」と口頭で約束を取り付けました。

しかし午後になっても社長は銀行へ行くそぶりも見せず、委託料を振込む気配がまったくないのです。それどころか社長は、なんとなく物々しい雰囲気を漂わせ、私、栗田に加え、社長の知人であり業務の手助けをしてもらっている田上の3名を呼ぶではありませんか。
このとき、嫌な予感がしたのを覚えています。自慢ではないですが、私のこういう勘はよく当たるのです。

案の定、社長は「お金がなく、委託料の支払いが困難になった」と言い出しました。当然、「じゃあ仕方ないですね~」とは誰も思いません。では、いつ支払ってくれるのかと、私達は社長に尋ねました。

「即金を希望であれば、弊社の株式1口につき委託料1ヶ月分で購入してくれれば、その金額で委託料を支払う」云々。

これは、とんでもない提案です!

何が問題かというと、1口あたりの時価総額が資本金よりも大きいことから、実際にないものをあるように見せる投資詐欺に該当すること。
つぎに、そもそも投資しただけの金額を回収できる見込みがA社にはないことです。

これも後にわかったことですが、A社は設立からこの時まで売上らしき売上はなく(!)、全て社長の貯蓄からやりくりしていたらしいのです。

私達はもちろん、そんな話に乗るつもりがない旨を回答し、次回勤務日である2月1日(月)までに業務委託料を支払うよう社長に伝え、この日の話は一旦終了となりました。

余談ですが、私達と社長の戦いの火ぶたが切って落とされたこの日は、私の誕生日でした...。最低最悪の誕生日だなとこの時は感じたものですが、ここから起業という道を歩むことになったと考えると、転機となる大切な日だったのかもしれません。

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