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連載「差押えコラム。未払金を取り返せ!⑮」 ー 第三者の住民票を申請する方法 ー

※当記事は連載「差押えコラム」の第15回です。第1回から読む方はこちらです。

こんにちは!筆者の渡邉です。このコラムは、私がある会社から、未払いとなった業務委託料を回収するまでの軌跡を記録したものです。初noteでいきなり生々しい体験談ですが、記憶が新しいうちに共有できたらと思い、筆を取らせていただきました。
私のように「会社から給料が払われない」「クライアントがギャラを振り込まない」といった被害にあわれている方にとって、少しでも問題解決の手助けになればという思いで執筆します。
現在は無事に未払金を回収し、元同僚と新たに「合同会社Mauve(モーヴ)」という会社を立ち上げ、アプリケーションやWEBサイトの受託開発を行っています。
※Mauveでもnoteにてコラムを掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/mauve_0210/

登場人物の紹介

私は2020年末から、アプリケーション等の制作会社(以下、A社)で、バックオフィスの仕事を業務委託で請け負っていました。

登場人物2

2021年5月24日 ― 住所探しの旅へ ―

裁判所の指示に従い、A社の社長が現在住んでいる自宅住所を探すことになった私は、A社の登記簿に記載されている自宅住所と、私自身が社長から聞いていた自宅住所の付け合わせをすることにしました。

この時点では、どちらかに住んでいる可能性も、どちらにも住んでいない可能性もあります。

そこで登記上の住所を管轄するB役所と、私が知る住所を管轄するC役所にそれぞれ電話し、現状の説明と住民票が欲しい旨を伝えました。

役所の説明によると、第三者が今回のような理由で住民票を取る場合、以下の3つの書類を持参する必要があるそうです。

① 実際に支払督促をしているという裁判所の通知
② 裁判所に提出した書類の写し
③ 法人登記簿謄本

私はまずB役所で住民票を申請するため、指定のあった書類と、念のためにA社との雇用契約書を加えて提出しました。これは、A社と結んだ雇用関係の上で、未払いの賃金に関する裁判をしているという証拠になるように添えたものです。

住民票は20分ほどの待ち時間で、すぐに手に入れることができましたが、そこにはすでに社長が転居しているということが記載されていました。転居先は案の定、私が知っているC役所管轄の住所です。

C役所でも同じ要領で住民票を申請します。
ここが最新の住所地であれば、これを持って裁判所へ再送達の申請ができるというわけです。

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▼メモ 「申請」と「上申」の違いについて▼

裁判所で申請する再送達の書類は、正式には「再送達上申書」といいます。申請ではなく、上申なのです。
上申は、上官や上役に申し立てるという意味があるため、申請ほど気軽な行為ではありません。

私の推測ですが、「裁判所の方が立場が上にあり、その指示に従え」という暗黙の意味が込められているのかもしれませんね。昔から日本は公権力のほうが立場が上という印象があります。最近でこそ役所の権威は落ちてきていますが、まだまだ公権力は強い力を持っています。その名残が、こういった書類にも残っているのかもしれません。


さて、話を戻しましょう。

2つ目の転居先であるC役所で受け取った住民票を確認したところ、社長の最新の住所地がこの場所であることが確認できました。
私が知っていた住所から転居していなかったというわけです。

すでに転居を重ねている可能性もあると覚悟をしていたので、早々に現住所の確認ができたことに心の底から安堵しました。

さっそく私は、現住所へ支払督促を送るべく、裁判所に再送達の申請を行いました。

ただ、社長がほとんど自宅に帰らないことも知っていましたから、今回の再送達も無駄になるだろうということは予想できました。

法律に則った正当な手段で未払い金を回収するということは、法律で定められた段取りを(無駄になるだろうなぁという気持ちを押し殺しつつ)粛々と遂行するということでもあるんですよね。

ちなみに今回のように支払督促が届かない場合でも、債務者本人が間違いなくこの住所にいると分かっているときは、数名の証人の証言をもとに居住実態があると見なし、郵便が届いたことをみなす制度があります。

今回はそこまでの段階には進まなかったため、どのように証人を用意するかなど詳しいことまでは説明できませんが、こうした制度があることを知っていれば切り抜けられる状況もあるかもしれません。

では、この制度を使わずにどうやって私が支払督促を社長に受け取らせたのか? 次回以降、詳しくお伝えしていきたいと思います。

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