連載「差押えコラム。未払金を取り返せ!⑬」 ー 債権者が多い方が有利なのか? ー
※当記事は連載「差押えコラム」の第13回です。第1回から読む方はこちらです。
こんにちは!筆者の渡邉です。このコラムは、私がある会社から、未払いとなった業務委託料を回収するまでの軌跡を記録したものです。初noteでいきなり生々しい体験談ですが、記憶が新しいうちに共有できたらと思い、筆を取らせていただきました。
私のように「会社から給料が払われない」「クライアントがギャラを振り込まない」といった被害にあわれている方にとって、少しでも問題解決の手助けになればという思いで執筆します。
現在は無事に未払金を回収し、元同僚と新たに「合同会社Mauve(モーヴ)」という会社を立ち上げ、アプリケーションやWEBサイトの受託開発を行っています。
※Mauveでもnoteにてコラムを掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/mauve_0210/
登場人物の紹介
私は2020年末から、アプリケーション等の制作会社(以下、A社)で、バックオフィスの仕事を業務委託で請け負っていました。
2021年4月22日 ― 支払督促のその後① ―
前回のコラムでは、A社宛の支払督促の申請書類を準備しました。
その後の4月22日、私と栗田は東京簡易裁判所の窓口にて最終確認を済ませ、正式に支払督促を提出するに至りました。準備から提出までたった2日です。
この督促をA社社長が受け取り、そこから2週間以内に反論がなければようやく差押ができるという流れです。
どういう結果になるか分からない状況でしたが、まずは未払い賃金の回収に向け、一歩進んだことに安堵したのを覚えています。
2021年4月27日 ― 支払督促のその後② ―
この日、東京簡易裁判所より、支払督促が無事に送達されたことを知らせる書類が、申請書のコピー等と一緒に郵送で届きました。
なお、送達された支払督促がA社に到着した際には、あらためて別途、債務者が受け取ったことを知らせるハガキが送られてきます。
そして、債務者の受け取りから2週間以内に、A社社長から何もリアクションがなければ差押えができるというわけです。
この「2週間」という時間はまあまあ長い時間で、この日から数えるとちょうどGW明けの翌週まで待たなければなりません。支払督促にこれほど時間がかかるというのは、予想していませんでした。
はたしてA社社長は反論してくるでしょうか? どのような反応を示すのか、気になりますね。
2021年5月11日 ― 債権者が多い方が有利なのか? ―
さて、支払督促の結果を待っている間に、私と同じくA社の被害にあっているT社の担当者から連絡がありました。
T社では、A社の債権をどこまで取り立てるか社内で話し合いをしていたそうで、その結果をわざわざ教えてくれたのでした。
T社の結論は明快で、「会社としてやれるところまでやる」とのこと。未払い金を取り返すべく、訴訟も視野に入れながら進めていくという話でした。
T社社長は「今すぐには返せなくても、A社の社長がまた何か事業をした時に返してもらえるかもしれない。そのためにも、しっかり社会的責任は取ってもらうことにしよう」と判断されたそうです。
私とT社は引き続き、お互いの進捗状況や情報交換をしながら、債権回収を進めていくことになりました。
これまで個人の立場で債権回収を行ってきた私にとって、T社という目的を同じくした法人の存在は、非常に心強いものでした。ただそのいっぽうで、若干の気がかりもありました。
というのも、もしT社のほうが先に債権を回収できた場合、私と栗田の債権が回収できなくなる可能性もあると思ったからです。
T社は法人なので、債権回収の額も百万円単位です。これに対して私や栗田の債権は数十万円ほど。
仮にA社にまだ資金が残っていたとして、T社と私たち双方に支払い切れるほどの金額があるかというと、かなり不安なところでした。その場合、T社の支払が終わった時点で、A社の支払能力が尽きるということも十分考えられます。
債権回収に動く人数が多ければ多いほど、債務者(つまりA社)へ働きかける力は強くなりますが、そのいっぽうで、全員が納得のいく成果をあげられるかは別問題というわけです。
そういえば、私達が支払督促を出してもう2週間ほど経ちましたが、裁判所からはまだ、支払督促がA社に届いたという連絡はありません。一度、裁判所に連絡しなければ...。