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「子どもの意見を活かした政策」吉川市(1)。
先日、中原恵人市長のもと、子ども関連の施策で優れた政策を行っている吉川市を視察しました。ここでは、子どもの意見を活かした施策についてご報告します。子育て支援課、吉川美南駅周辺地域整備課の方より、以下の内容について教えていただきました。
〇 現在、こども基本法第10条第2項に基づき、「こども計画」を策定している。同法第11条に「こども施策に対するこども等の意見に反映」が規定されている。市長は、もともと子ども支援のNPOを運営していらっしゃることもあり、いろんな場面で子どものニーズ調査をしている。例えば、児童館、公共施設、子ども関係のイベントの場所へ出かけられ、子どもと交流をし、意見を聞いている。このほか、学校の給食を子どもと一緒に食べ、意見を聞く「ランチミーティング」、特定テーマのミーティングである「市長キャラバン」などを行っている。
〇 今年度は夏に、吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業区域で、新たにつくれられる5つの公園について、市内の全小学生に対してアイデアの募集を行った。募集のテーマは「ナマズの形をした遊具」(ナマズは市の特産)と「吉川市にあった自慢ができる公園」である。審査後、昨年12月に市長の表彰が行われた。5つのうち3つの公園は令和7年度に整備予定である。提出数の全体比は全小学生の17.6%であった。
〇 本市では「公園再生プロジェクト」と題して、古い遊具の撤去や新たな遊具・健康遊具の設置に順次取り組んでいる。公園については、周辺の住民、子ども意見の聞き取りを必ず行っている。一言でいえば、アウトリーチの意見収集の機会が非常に多い。
所感
〇児童館職員と話す機会がありましたが、市長は頻繁に訪問し、保護者、関係職員だけでなく子どもと直接対話されることが多いということでした。また、先方は繰り返し「アウトリーチ」と述べられ、子どもとの交流がかなり多いことが思料されました。こうした交流の量は、質に変化すると思料されます。例えば、子どもの市長への信頼が増幅することにつながるであろうし、市長も子どもへの理解が高まるということ。
〇「子ども真ん中社会」というが、一丁目一番に子どもと直接向き合っているかといえば、そうだといえる首長や議員は多くはないと思います。まちが住民の満足度を持続的に維持していくには、まちにおける様々な領域での人材育成が必要であり、人材育成において、第一に子ども政策、教育の内容が問われてくることになります。それは、法の順守、弱者への労り・助け合い、環境保全・景観維持、文化・スポーツ振興、付加価値労働などの「領域での地域への貢献につながるからです。子どもがしっかり育っている地域では、転入世帯も含めて、大人、地域に必ず正の効用をもたらします。例えば、子どものマナーがよいまち、挨拶をするまちは、大人のマナー向上につながるでしょう。こうした理解に立てば、子どもとどのように関わっていくかは、地域行政の重要な課題であり、子どもと直接的に関わり、その意見を参考とする吉川市の取組は参考とすべきと考えます。