作家ってどうやってなるんだっけ?
時計の針は深夜0時を回り、すでに家族全員が寝静まっている。
飼い猫は膝の上で丸まり、呑気にあくびをするだけだ。
毎日、毎日、空いた時間でPCと向き合い、物語をああでもない、こうでもない、と唸りながら捻り出す。
『あれ?作家って、どうやってなるんだっけ?』
書き続けて、いつの間にかもう直ぐ三年。
猫に訊いても、ゴロゴロと喉を鳴らすだけ。まさか、このゴロゴロを翻訳できたら、作家への近道を教えてくれているのか?
コーヒーを片手に、書斎の天井をぼんやりと見つめる。
突然、先輩からのLINE。
『書くことが好きなら、こんな記事があるよ』
それがキナリさんのnoteの記事で、『キナリ杯の開催』のお知らせだった。これをnoteを始めるきっかけにしよう。
うん。これは運命に違いない。もしかしたら、キナリ杯の何かの賞の受賞が、作家へのスタートになりましたって誇れる未来が来るかもしれない。
もちろんnoteのアカウントもなければ、用意している記事もない。
おい、どうするネコたちよ…。
視線を落とせば、さっきまで眠っていたはずの膝の上の猫と目が合った。また謎のゴロゴロを繰り返すだけ。
有名な獣医の先生でも、この猫撫で声の秘密は解明できていないとか。
猫はきっとこう語りかけてくれている。
『良いから書きなよ。面白い記事なんて書けなくたって良いじゃん。とにかく作家に繋がっていそうなことは、全部やってみるんだ。キナリさんだって、きっとこんな時期があったはず』
茶白トラにそう言われた気がして、今、この記事を書いている。足元では、記事を書き始めると同時に、白黒ブチが嬉しそうにくるくると八の字に回る。
夢があるだけで幸せだと言ってくれる人もいるけれど、やっぱり自分の力で一つくらい叶えたい。
今まで何一つ掴み取って来れなかったのは、自分の意思が弱いからだ。
でも、物語を書くことだけは辞めないと決めた。
いつか作家になる方法が分かったら、飼い猫二匹を物語の中で思う存分に贅沢させてやる。お前たちが主人公になる日も遠くないかもしれない。
毎日、クラシックを聴きながら、高級ネコ缶で朝食を。
身体の模様をベタ褒めされながら、家来の人間たちがブラッシングで見出しなみを整える。
エメラルド・グリーン色に輝く海を目の前に、ふわふわのハンモックで、昼寝もさせてやる。
夜は海で釣ったマグロを解体しながら、つまみ食いも許してやろっか。
キャット・タワーは1000階建てだって構わない。月を傍で眺めて、地球を見下ろそう。
だから、今だけはもう少し狭い膝の上で我慢しておくれ。
物語の中はいつも夢で溢れているし、何より自由だ。書き続けた先に作家としての未来が1ミリでもあるのなら、自由時間はもう要らない。
全部、夢に費やして、それでダメならネコ達と縁側で眠るだけ。
それでいい。
僕にとって物語を書くことは、何よりも面白い。時には苦しいけれど、それでもやっぱり面白い。
家族や飼い猫たちが元気なうちに夢を叶えて、叫びながら報告したい。
作家にはこうすればなれるんだって!
お祝いに高級ネコ缶パーティーするぞって!
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