人間はなぜ会話をするのか?AIはそれを理解しているのか?
久々に家族でのんびり温泉旅館に泊まりました。
もういい年齢なので、夕食バイキングに「大食い大会」みたいな姿勢で挑まないようにしたいところですが…中々難しいですね。
その温泉なのですが、ジャグジーの露天風呂で若者2人が30分以上?同じ場所でひたすら話をしていました。温泉のお湯はかなり熱いですし、外に出ると夜風で寒いです。そんな中、1時間近く会話に夢中です。
これ、特別な事ではなく、温泉ではよく見る光景なんですよね。
そこで、ふと思いました…
「人間って、何が楽しくて、何が目的で、そんなに長く会話出来るのだろう…?」
まるで自分が人間ではないような言い方ですが…これについては人間だけの話だと思うので、こういう言い方になってしまいますね。
当人たちは当然、会話の目的などは考えずに自然に会話をしていると思います。そういった「無意識の行動」というのは人間には良くある気がします。
例えば、私には小学生の娘2人がいますが、ひたすら「自分が興味を持っている話」を弾丸のようにします。下の娘は、それに対して生返事でもしようものなら「話を聞け!」と殴られます。でも、他人の話は全く聞きません。理不尽です。
…そんな感じで、人間には会話により自分を「アウトプットしたい」という欲求があるような気がして、それについては非常に良く分かります。みな、大人なので他人の話も真面目に聞きますが…基本は「自分の話を聞いてほしい!」というのが本音なんじゃないか…と考えたりしました。
温泉で話をしている2人は、これと同じなのでしょうか?
よく分かりませんので、ChatGPT(GPT-4)さんに聞いてみました。
なんか…どれもしっくりきません。「娯楽」が近い気はしますが…娯楽としてやっている!と言われると…違和感があります。
この違和感は「何かしらの人間の欲求を元に会話してそう」と感じるからなのかもしれません。ならば、質問が悪かったかもしれません。
「人間はアウトプットしたいという欲求がある」という…先程、私が話した事を前提にして質問してみましょう。
今度は良さげな答えが返ってきました。
「進化的な側面」と言われると…会話の欲求が無い人は人間として間違ってる!と言われているみたいで嫌ですが…個人的にはこれが近い気がしました。
つまり、生存と繁栄のために、無意識にその行動に対する欲求が生まれているという事です。納得のいく回答を返したと思われるChatGPTですが、本当に理解しているのでしょうか?
では、会話をする理由が「進化的な側面」であると過程して、お風呂場でどのような会話がされているのかを複数の例を出して、ChatGPTに想像してもらいましょう。
場面: 露天風呂にて①
人物: 男性A(40代、地元の住人)、男性B(30代、観光客)
男性A: 「こんばんは。地元の人間ですか?」
男性B: 「いいえ、観光で来ています。ここの温泉は初めてです。」
男性A: 「そうですか。ここは地元でも評判の良い温泉ですよ。特にこの露天風呂の景色は最高です。」
男性B: 「本当に素晴らしいですね。地元の人にとっても大切な場所なんでしょうね。」
男性A: 「ええ、私たちにとっては社交の場でもあります。普段は忙しいけど、ここに来るとみんなリラックスして話ができるんです。」
男性B: 「都会では考えられないですね。温泉がコミュニティをつなげる役割も果たしているんですね。」
男性A: 「その通りです。こうして温泉に入りながら、地域の情報交換をしたり、仕事の相談をしたりします。」
男性B: 「それは素敵な文化ですね。私も地元に戻ったら、こんな形でコミュニティを作りたいです。」
男性A: 「ぜひそうしてください。温泉はただの入浴場所以上のものですから。」
場面: 露天風呂にて②
人物: 男性A(40代、長年の友人)、男性B(40代、長年の友人)
男性A: 「やあ、久しぶりにゆっくりできるな。」
男性B: 「本当にそうだね。家族と仕事のことばかりで、こうして落ち着く時間がなかったよ。」
男性A: 「家族はどう?子供たちは大きくなったか?」
男性B: 「ああ、もう手がかからなくなってきたよ。でもそれがまた寂しいんだ。」
男性A: 「子育ても一段落したら、また昔みたいに趣味の時間も増やせるだろうね。」
男性B: 「そうだね。でも、お互い年取ったなあ。昔みたいに無茶はできないよ。」
男性A: 「確かに体のあちこちが言うことを聞かなくなってきたよ(笑)。でも、温泉はいいな。ゆっくり話せるし、体もリラックスできる。」
男性B: 「本当に。こういう時間があると、日々のストレスが洗い流されるようだね。」
男性A: 「また定期的にこうして集まろうよ。友達との時間も大切にしないと。」
男性B: 「うん、それいいね。次はどこに行く?」
男性A: 「次は君のおすすめの場所にしよう。」
場面: 露天風呂にて③
人物: 男性A(20代、大学生)、男性B(20代、大学生)
男性A: 「もう1時間も話してるけど、まだ話し足りないな。」
男性B: 「本当だよ。でも、温泉でこんなに長く話すのも珍しいな。」
男性A: 「そうだよね。最近の大学生活はどう?何か面白いことあった?」
男性B: 「ああ、実は新しいサークルに入ったんだ。アウトドア活動に挑戦してるんだよ。」
男性A: 「おお、それはいいね。俺も最近、趣味を見つけたいと思ってたところだよ。」
男性B: 「そういえば、君は音楽が好きだったよね。バンドとか始めてみたら?」
男性A: 「なるほど、それもいいかも。でも、楽器は全然弾けないんだよね。」
男性B: 「最初はみんなそうだよ。興味があるなら、一緒に楽器店に行ってみる?」
男性A: 「それ、いいね!助かるよ。」
男性B: 「お互い、新しいこと始めるのは楽しいよね。若いうちにいろいろ経験しておきたい。」
男性A: 「本当にそう思う。温泉でこんなに真剣な話をするとは思わなかったけど、いい刺激になったよ。」
男性B: 「またこうして話せるといいね。次はどこかで食事でもしながら話そうよ。」
男性A: 「うん、約束だよ。今度は君のおすすめの店で。」
途中までは、意外と理解しているな…と感じましたが、全て会話のオチをつけようとしています。これでは…恐らく会話が1時間も持ちません。(オチ=終わらせるという意味で使っています)
それでは、Claude2ではどうでしょう?
A君:「うーん、この温泉旅行楽しかったね。温泉に入れるのが待ち遠しかったよ」
B君:「うん、俺もだよ。仕事で疲れてたから、温泉に入ってリフレッシュできるのはありがたいね」
A君:「そうそう。今日の昼食もめちゃくちゃうまかったしね。旅館の食事は最高だった」
B君:「同感だよ。あの海鮮丼はクリーミーで美味しかった。旅館の料理長はスゴいね」
A君:「ところで、今日の散策は楽しかった?山の景色きれいだったよね」
B君:「ああ、確かに景色は最高だった。でもちょっと歩き過ぎたかな。足が痛くて」
A君:「あはは、確かにちょっと無理したかも。でも景色を楽しむことができてよかった。次はペース配分しないとね」
B君: 「うん、そうだね。とにかく、この旅行はリフレッシュできて良かった。日頃の疲れが取れた感じがする」
A君:「そうそう、ちょっと贅沢だけど必要な旅だったね。また温泉旅行しよう!」
B君:「そうだね、楽しみにしてるよ」
Claude2でもオチをつけられました。これは、チャット式のAIが問題解決を目的として作られているからでしょうか?
それだとしても、質問に対して、感覚として正しくない回答しているという事ならば…理解しているとは言えない気がします。
では、こういう指示をだしてみましょう。
まずは、ChatGPTの回答です。
場面: 露天風呂にて③
人物: 男性A(20代、大学生)、男性B(20代、大学生)
男性A: 「もう1時間も話してるけど、まだ話題が尽きないな。」
男性B: 「そうだね。温泉いいよね、リラックスできるし。」
男性A: 「最近の大学どう?何か変わったことある?」
男性B: 「いや、特にないかな。あ、でも新しいカフェができたんだよ。」
男性A: 「へえ、どんなところ?」
男性B: 「まあ普通のカフェだけど、雰囲気がいいんだよね。一緒に行ってみる?」
男性A: 「ああ、いいね。でも、最近は勉強で忙しくてな…」
男性B: 「そうか、大変だね。期末試験近いの?」
男性A: 「うん、それがね。でも、温泉来てよかった。ちょっとストレス発散できたよ。」
男性B: 「確かに。でもさ、あの教授の講義、難しすぎない?」
男性A: 「ああ、あれは本当に…」
指摘したら先程より良くなりました。
これは、ChatGPTは人間の本質みたいなものは分かっていないけど、指示すれば、それっぽい答えを作成できるという事ではないでしょうか?
ここで、ひとつ問題がありました…
「そもそも、私は露天風呂で1時間会話する人の気持ちが分からない!」
のです。なので…
「このような会話が妥当かわからない!」
…ということです。困りました。
それでは、Claude2ではどうでしょう?
A君:「この辺りの山ではキノコが取れる場所があるんだって。探してみようか」
B君:「いいね、キノコなら食べられる。採れそうな場所を教えてくれるといいな」
A君:「うん、キノコの生育条件が分かれば、探すのが楽になるよね。調べてみることにする」
B君:「そうだね。キノコ以外にも、食べられる木の実とかをこの辺りから探せるかも」
A君:「山の中を良く知る地元の人に話を聞いて、食べられる自然の恵みを探すコツを教えてもらおう」
B君:「いいアイデアだね。地域の情報を共有してもらえれば、効率的に食料を集められそうだ」
A君:「うん、食べ物だけじゃなくて、危ない場所とかも教えてもらおう。山では安全第一だもんね」
B君:「そうだね、交通事故よりも熊とかの野生動物の方が怖いから注意しないと。情報共有が大切だね」
A君:「そうそう。みんなで知恵を出し合って、楽しく安全な山探訪を目指そう!」
プロンプトの与え方が悪かったのか、20代若者がキノコを食べて本当に生き残るための話をはじめました。こんな話を露天風呂で1時間も会話するなんて…無いとは言い切れませんが…妥当ではありません。
そういえば、Claude2では先程も「食べる」話が主でした。生存=食べる、という理解なのでしょうか?
結論として、AIに正しく伝えていないから、そのように振る舞えない!という事なのかもしれません。そうであれば、この「人間はなぜ会話をするのか?」を理解出来ていないという事になり、その理由を私に教える事が出来ないという結論と言えそうです。少なくとも現時点で、AIは人間の振る舞いについて…
「本質を全く理解していない」
…と言える気がします。
このあたりに、AIでは出来ない…人間にしか出来ない事があるような気がします。