高井たかし
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『デジタル庁』って何?【小学生にもわかる政治講座】
こんにちは。 衆議院議員の高井たかしです。 noteでは、コロナ関連情報をはじめ、補助金・助成金のご紹介、そして国会議論の最新情報や報道されない国会の裏話など、「政治のハナシ」を簡潔にお伝えしたいと思います。 今回のテーマは「デジタル庁って何?」です。 最近、ニュースなどで「デジタル庁」という言葉を聞く機会が増えました。 実は、デジタル庁の設置は、私が総務省で働いていた20年前から議論されていました。 当時、世界中がインターネットなどのIT化が進み始めた頃でしたが、日本のIT化は世界に大きな遅れをとっていたため、それを解消するために「デジタル庁を設置しよう」という議論が起こりました。 そして、当時の総務省と経済産業省は、どちらがデジタル政策の主体となるかで権限争いをしていました。 他の省庁では、教育の情報化は文部科学省、医療の情報化は厚生労働省と、それぞれの省庁が”縦割り”でデジタル政策に取り組んでいました。 そこで、デジタル化を取りまとめる司令塔を作るため、2001年に「e-Japan戦略」が示され、「内閣官房IT総合戦略室」ができました。 しかし、そこには問題がありました。 国の大きな政策を取り扱うには担当者人数が少なく(100名程度)、さらに権限も与えられていなかったため、うまく機能できませんでした。 その後、私は国会議員になりました。 国会審議の中で「デジタル庁を作りましょう」と、当時の菅官房長官(現総理)や平井卓也デジタル改革担当大臣に何度も提案を続けました。 そして、菅官房長官(当時)が総理になり、大きな動きがありました。 菅総理は「国全体のデジタル化」を看板政策とし、司令塔となるデジタル庁を2021年9月1日に発足させる方向性を定めたのです。 これまで、政府のデジタル戦略は内閣官房IT総合戦略室が所管していましたが、デジタル庁はその発展的な新組織体と位置づけられました。 デジタル化推進の障害となっている府省間の縦割りを打破すべく、各府省の司令塔として、首相直轄の組織とされ、各省への勧告権(他の行政機関に対して意見を提出する権利)も与えられています。 また、主任大臣は総理ですが、総理を助け事務を統括するためにデジタル大臣を置き、その下に副大臣と政務官を1人ずつ配置します。さらに事務方のトップに「デジタル監」を置くことで、より権限のある組織ができることになります。 さらに今回は人数も増えることが決まっています。 非常勤職員を含め500人規模とし、そのうち160名を新規採用、また民間人材を100名採用します。 それでは実際、どのような仕事をするのでしょう。 大きく3つの仕事があります。 まず1つ目。 政府のIT(情報技術)関連予算のうち、システム整備に関する予算(8,000億円)を段階的にデジタル庁に一元化する仕事です。今まで各省庁がそれぞれ企業に発注していたシステムを一元化することにより、税の無駄遣いもなくなります。 それから2つ目。 今まで自治体が個別に運用してきた行政システムを標準化・共通化させ、全国規模のクラウドへ移行します。各自治体の独自仕様の乱立によるデータ連携の遅れを解消するという狙いがあります。 そして3つ目は、マイナンバーの一元化です。 これまで、この業務は総務省と内閣官房、あるいはそれぞれのテーマごとの担当が行っていました。例えば、運転免許証は警察庁、保険証なら厚生労働省、銀行口座との紐づけは金融庁等々。今後、これらの業務を一元化してデジタル庁が担うことになります。 以前、コロナ感染症緊急経済対策として10万円の給付金が配られましたが、電子申請をした方でも、なかなか銀行口座に振り込まれなかったなどの問題が起こりました。しかし、今後デジタル庁の設置により、このような問題が解消され、すぐに振り込まれるようになるなど、皆さんの生活の利便性が高まると考えられています。 以上、デジタル庁について説明させていただきました。 今回の内容を動画にもしましたので、よろしければご覧ください。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 https://www.youtube.com/watch?v=J3xco5_EFY0
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選択的夫婦別姓の歴史について【小学生にもわかる政治講座】
こんにちは。 衆議院議員の高井たかしです。 noteでは、コロナ関連情報をはじめ、生活の支えになる補助金・助成金のご紹介、そして国会議論の中身や報道されない国会の裏話など、「政治のハナシ」を簡潔にお伝えしてゆきたいと思います。 第3回目のテーマは「選択的夫婦別姓の歴史」についてです。 選択的夫婦別姓に反対する人たちの意見を聞くと、「日本古来の歴史を守るべき」という方が多いのですが、その歴史を振り返ると、実はそれほど古くからある制度ではありません。 歴史を踏まえると、日本は慣習的に夫婦別姓であった期間のほうが長いのです。 明治31年に民法が制定され、その時に初めて夫婦同姓が決められました。 では、江戸時代より前はどうだったのでしょうか? そもそも庶民には苗字はなく、武士は別姓だったり同姓だったりと、いろいろなパターンがあったようです。例えば、源頼朝の妻として知られる北条政子は、源姓を名乗っていません。いくつかの資料(※)によると、「氏姓は系統を示すものと考えられ、古来から女は結婚で夫の家に入ったとしても、生家の氏姓は捨てなかった。妻は言うなれば『異性の人』であり、夫婦は別氏であった」と記載されています。 そして、明治31年の民法制定から夫婦“同姓”になり、さらにその後、日本が太平洋戦争に敗戦し、昭和22年に民法大改正が行われました。 この大改正の根幹は、「家制度の廃止」です。 「家制度」とは、明治31年の民法で決まった制度で、夫婦は「家」を同じくすることにより、同じ姓を称することとされました。 この頃の日本では、「夫が家長で、家族は家長の命令に従わなければいけない。結婚は、家長の許可を得なければいけない。妻は家に入る」等が民法で規定されていました。 しかし、この制度が「時代遅れ」として昭和22年に改正されましたが、この時、夫婦同姓だけは改正されませんでした。 その後、変化のない状態が平成8年まで続きます。 この間、国連からも「日本の夫婦同姓は男女平等ではないため改正すべき」と勧告を受けました。 平成8年になり、ようやく法務省の法制審議会(法務省がいろいろな意見を聞く学者の方たちの集まり)が「日本も選択的夫婦別姓を導入すべき」との答申を出しました。通常、法制審で答申が出ると、そのまま法改正しますが、当時の自民党の中では反対する議員が多く、結局、選択的夫婦別姓の法案を提出することができませんでした。 その後も、法務省は何度か法案を出そうと試みますが、やはり反対意見が多く、法案の提出には至りませんでした。 そして、令和2年。 大きな出来事がありました。 当時の橋本聖子男女共同参画担当大臣が、第5次男女共同参画基本計画の中で、選択的夫婦別姓を前向きに検討する方針を掲げましたが、これもまた自民党反対派の意見が根強く、基本計画の文中から「選択的夫婦別姓(別氏)制度」の文言が削除され、流れは後退してしまいました。 その結果、夫婦同姓を義務付けている国は、世界の中で唯一日本だけになってしまいました。 私は、夫婦別姓に向けて何度も国会で議論を重ねてきましたが、その度、菅総理大臣と上川法務大臣は必ずこう言います。 「国民各層の意見を聞き、国会での議論を注視しつつ検討していきたい」と。 これは、検討を引き延ばしている言い訳にしか聞こえません。 政府は「まず国民各層の意見を聞き」と言いながら、平成29年の調査で反対意見が多かったことを現在の議論に持ち出しています。 しかし、令和2年に行われた朝日新聞社による最新のアンケートによると前回(平成29年)に行ったアンケート結果と比べ、賛成派が11ポイント増え、反対派が13ポイント減り、この4年間で国民の意見が変わっていることがわかりました。 私は、いますぐ最新の調査を行うべきと政府に訴えています。 それからもう一つ。 政府は「国会での議論を注視しつつ」と言いますが、政府が何もしなければ国会で議論なんて起こりません。 やはり、平成8年のように法務省がまず答申を出して、国会に議論を投げかける。そして、国会で賛成・反対をしっかり議論することが重要だと思います。 国会議員が「男女共同参画」を論じながら、姓の自己決定権を認めないというのは、時代に逆行していると言わざるを得ません。引き続き、私は選択的夫婦別姓を推進すべく、今後も政府に訴えてゆきたいと思います。 以上、「選択的夫婦別姓の歴史」について説明させていただきました。 今回の内容を動画にもしましたので、よろしければご覧ください。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 ※資料 井戸田博史「夫婦の氏を考える」世界思想社 2004年 高柳真三「明治前期家族法の新装」有斐閣 1987年
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日本版PPP(事業規模に応じた給付金)【小学生にもわかる政治講座】
みなさん、こんにちは。 衆議院議員の高井たかしです。 さて、第2回目のテーマは「事業規模に応じた給付金(日本版PPP)」についてお話ししたいと思います。 21日、政府は新型コロナウイルスの緊急事態宣言を全面解除しました。 この間、緊急事態宣言が発令された都道府県で「時短要請」に応じた事業者に対し、1日6万円(一律)の協力金が支払われていました。 この協力金が「経営の支えとなった」という意見がある一方、「不公平だ」との意見もあります。 なぜ不公平なのでしょうか。 「一律6万円」という枠組みが問題です。 例えば、何十人もの従業員を雇っている大規模店舗と、1人で経営している小規模店舗では、経営コストに大きな差があります。しかし、支払われる額は「一律6万円」と同じ金額です。 大規模店にしてみると、「これではとても協力できない」という気持ちになりますし、1人でやっているお店の中には「過去最高の利益」と言う人もいます。 ならば「公平な仕組みをつくろう」と、今回、国民民主党で新たな法案を作りました。 それが、いわゆる「日本版PPP」です。 そもそもPPPとは、「ペイチェック・プロテクション・プログラム」の略称で、コロナで影響を受けた中小企業の雇用を守るため、アメリカで導入された制度です。 米国では「必要なところに、早く補助金を届けること」が重視されました。 迅速に支給するため、まず金融機関が「(全従業員の給料)×2.5ヶ月」の金額を融資します。その後、店が従業員に給料を支払ったことを確認できれば、融資した金額は「返済を免除」する仕組みになっています。 この制度を参考にして作ったのが、国民民主党会派の「日本版PPP法案」です。 この法案も「事業規模に応じた補助金額」を「迅速に届ける」ことを目的にしています。 私たちは、事業規模に応じた補助金を算出するため「家賃+従業員数×10万円」を提案しています。(この10万円の算出は、従業員の「福利厚生費」や「社会保険料」などの法定福利費の平均値を当てています) 「福利費より、賃金を基準にした方がいいのでは?」と思われるかもしれません。 実は、日本には「雇用調整助成金」や「休業支援金」といった「雇用を守ための制度」が存在しています。新しく法律を作るには、これらの制度と重ならない仕組みにする必要があったため、賃金ではなく福利費を入れました。 これにより、事業規模に応じた補助金を届けること、つまり、「一律6万円の不公平をなくす」ことができました。 そして忘れてはいけないもう一つのポイント。 「迅速な支給」です。 これを実現するために取り入れたのが「金融機関との連携」です。 まずは、銀行が事業者に融資する。 そして、事業者が時短要請に応じたことが確認できれば、国がしっかりと精査し、国が金融機関にお金を支払い、融資分と相殺する。事業者は融資分をそのまま使うことができる仕組みにすることで、迅速な支給が可能となりました。 ただし、課題も残っています。 この法律の対象となる「業者・業種の狭さ」です。 今、飲食店だけでなく、飲食店と取引している業者(製氷、製麺、オシボリなど)や、さらに旅行業、宿泊業なども含めてコロナの影響を受けています。 そして、緊急事態宣言の対象ではない全国の他の地域にも、コロナの影響を受けた事業者もいます。 私たちは、これらの業種に対しても「事業希望に応じた給付金」を支給する法案を準備しています。 また、いつ緊急事態宣言が出るかわかりません。 ぜひ政府にはこの提案を取り入れていただき、早急に制度を作っていただけたらと思っています。 今回の内容を動画しましたので、よろしければこちらからご覧ください。 【動画】日本版PPP(事業規模に応じた給付金)【小学生にもわかる政治講座】 | 岡山1区の衆議院議員 高井たかし 公式サイト https://takaitakashi.com/archives/40602 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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看護師さんが辞めざるをえない理由
みなさん、初めまして。 衆議院議員の高井たかしです。 この度、「政治のハナシ」をわかりやすくお伝えしたいという思いから、Noteを始めることにしました。 こちらでは、コロナ関連情報をはじめ、生活の支えになる補助金・助成金のご紹介、そして国会議論の中身や報道されない国会の裏話など、できるだけ簡潔にお伝えしてゆきたいと思います。 第1回目のテーマは「看護師さんが辞めざるをえない理由」についてです。 医療機関で新型コロナウイルスへの対応が続く中、労働環境の変化や、感染リスクなどコロナを理由に、看護師さんが離職するケースがおよそ15%の病院であったことが日本看護協会の調査で分かりました。 さらに、「感染者受け入れ病院」としてコロナ対応の中心を担っている感染症指定医療機関では、21%もの離職があったと回答がありました。 なぜこれだけの看護師さんが辞めざるをえないのでしょうか? もともと日本の看護師さんは、他の国と比べても非常に厳しい環境で働いています。 例えば、100床あたりの看護師さんの数を比較すると、日本が38人に対して、イギリスは200人、アメリカは141人、イタリアは136人もいます。 ただでさえ厳しい環境の中で働いているにもかかわらず、病院経営の悪化などで減給やボーナスカットなどのあおりを受けており、離職の状況は悪化しています。 離職理由の中には、職場環境の過酷さだけでなく、コロナの影響による差別や偏見でやめたという方がいらっしゃるということもわかりました。 現場の看護師さんは疲労が心身ともにピークに達しています。この現状を国は「さらなる支援」が必要と認識し、2020年6月に第2次補正予算で「緊急包括支援交付金」を創設しています。 これは、新型コロナウイルス感染症への対応として緊急に必要となる医療提供体制の整備等について、医療機関がある程度柔軟に使えるお金で、2兆2,370億円出ています。 この予算のうち2,500億を使い、「コロナ対応従事者慰労金」というコロナ対応従事者に対し、勤務内容に応じて5万円〜20万円の慰労金が支払われますが、1人につきたった1回限りです。 その結果、離職者は後を絶たず、ようやく政府は12月に第2次補正予算の予備費(10兆円)のうち、2,693億円を看護師さんはじめ医療従事者の方に人件費を出すことが決まりました。 さらに、2021年1月に国会の第3次補正予算で、「緊急包括支援交付金」(1兆1,763億円)が計上されました。 ただし、この交付金はコロナ対応従事者への慰労金には充てず、病床、宿泊施設の確保、外国人対応の充実のために使うことになっています。 もちろんいずれも大事なことですが、重要なのは、コロナ対応で日々頑張ってくださっている医療従事者、看護師さんへの手当をしっかりと支給することです。 私は、国民民主党会派として、医療従事者の皆さんへ手当を支給する予算を確保するよう、政府に要求し続けます。 以上、「看護師さんが辞めざるをえない理由」について説明させていただきました。 今回の内容を動画にもしましたので、よろしければご覧ください。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。