「街とその不確かな壁」はいつ読むべきか…
村上春樹の新作を読むための気持ちが一向に整いません。
先日、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を観ましたが、まるで村上春樹の冒険ものの作品をアニメ化したような印象を受けました。集大成という意味でも近いものがあるかもしれないと思い気持ちが少し動いたのですが、またすっかり落ち着いてしまいました。
多くの人がそうであるように、私もまた20代の頃は村上作品に大変熱中し、その世界観に浸りながら主人公の「僕」に共感し(女ですが)、現実世界の自分を正当化したり肯定するための拠り所のようにしていたような気がします。
村上作品のリアルファンタジーな世界観や、ものの考え方は好きです。舞台となる場所やシチュエーション、季節、音楽などが現実世界とリンクするので、普通の暮らしがまるで村上ワールドに身を置いているかのように感じられるのも醍醐味ですよね。
「羊をめぐる冒険」の北海道といるかホテル、「ねじまき鳥クロニクル」の夏の路地と鳥の彫像、「1Q84」の首都高、「騎士団長殺し」の小田原の山中…
そのような楽しみ方も含めて、なんだかんだで今回の新作も、ワクワクしながらどんどん読める充実した作品なのでしょうか。
つべこべ言わずに読んでみればいいとは思いつつ、結局のところ、往年の名作と同じように今回も似たようなテーマを少し違う角度から、違うけれど似た感じで掘り下げ、あっち側とこちら側を行ったり来たりする感じなのかなと思うと、今はまだいいかな…と思ってしまいます。
若くなくなってくると、どうも欲深くなっていけませんね…
さっさと読んでみるか、その時が来るまで寝かせておくべきか…
いつかの秋にもう一度騎士団長殺しが読みたいとずっと思ってるけど、結局読まなそう。